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県の先輩ママ事業1年目の成果 信頼築き、不安除く

 専門的なスキルを身に付けた子育て経験者“先輩ママ”(ビジター)が、悩みを抱える子育て中のママを訪問する県の「先輩ママの家庭訪問支援モデル事業」が、県内4地域で展開されている。先輩ママはボランティアで、子育て中のママに寄り添い、話を聞くのが大きな目的。子どもと遊んだり、子どもと一緒に通院する手助けも行う。村山地区を担当するNPO法人やまがた育児サークルランド(山形市)は今月、市総合福祉センターで事業報告会を開いた。初年度の成果を聞いた。

先輩ママの家庭訪問について1年を振り返った事業報告会=山形市総合福祉センター
先輩ママの家庭訪問について1年を振り返った事業報告会=山形市総合福祉センター

 村山地区では先輩ママ6人が奮闘中。想定を超えて利用希望者が多く、急きょ養成講座を開催、今月までにさらに10人が講座を修了した。

 利用したのは山形市内の家族らで、利用件数は25件。核家族がほとんどで、東日本大震災のため福島県から避難している家族の利用は5件あった。初めての出産に不安を抱えていたり、近くに頼る人がいない場合に加え「双子や兄弟がいることで外出するのにエネルギーがいる」「下の子に手が掛かり、上の子を甘やかせない」などと悩んで利用するママもいた。

 利用した母親の約9割が30代。子どもの数は2人が最も多く13件。1人が7件、3人は4件、4人は1件。先輩ママに求めるものは、ニーズの高い順に(1)応援してくれる仲間が欲しい(2)外遊びなどで子どもの成長を促したい(3)心の安定が欲しい(4)子どもが多い悩みを軽くしたい(5)子どもの心の健康をつくりたい-となった。

 先輩ママと利用者の間を取り持つオーガナイザーの田中博子さんは「狙いは子どもの健やかな成長と、ママが潜在的に持つ力の引き出し。孤立し自信をなくしたり、外では頑張っているけど実は大きな悩みを抱えているママたちが利用するようだ。これまでは大きな問題もなく、ビジターが利用者と信頼関係を築き、不安を取り除いている。利用後、明るく振る舞うようになるママは多い」と成果を語った。

【先輩ママの声】傾聴に徹し、助言は我慢-伊藤節子さん(64)=山形市関沢

伊藤節子さん
伊藤節子さん

 訪問すると、せきを切ったように考えや感情を吐き出してくれるママもいる。言ってもらえることがありがたい。不安を抱えているママたちのところに行くのだから、傾聴に徹することが大事で、相談を受けた場合は「一緒に考えよう」と伝える。私は普段はおしゃべりで、アドバイスしがちな性格だけれども、それはぐっと我慢。定期的に会うことで相手の緊張を解きほぐし、安心感、信頼感を与えるようだ。

 訪問した母の中には「自分がしっかりしなきゃ」と気を張ってしまっていっぱいいっぱいの状態の人も。普段は不安や心配を隠して過ごしているようだ。一方で、自分の時とは異なる現代の子育てを身近に感じるのが面白く、ボランティアは自分の経験も豊かにしてくれる。

【先輩ママの声】褒めて認め、自信つける-黒田真由美さん(36)=山形市緑町3丁目

黒田真由美さん
黒田真由美さん

 依頼するママたちが同世代なので、共感できる部分も多い。私は長男(12)と夫の3人家族で、転勤も経験した。「何でもない話ができる友達が欲しい」「自分が不安定な時は子どもの行動についイライラしてしまう」など、ママにも不安はあるし、心細くなることもある。子育て中は人として認められる言葉が少ない時期。「頑張ってるね」と褒められ、気持ちが満たされると自信がつくし、子育てにも余裕が出るのでは。

 私が訪れた家庭のママは子どもと真剣に向き合おうとしている印象だった。パパは子育てや家事に関して「ママがやって当然」と思うこともあるだろうけれど、褒められるとうれしいもの。ボランティアでできることは限られるが、やれることを続けたい。

メモ先輩ママの家庭訪問支援モデル事業

イギリス発祥の「ホームスタート」がモデル。先輩ママ(ビジター)と利用者をコーディネートするオーガナイザーが、利用者から事前にニーズを聞き取る。先輩ママは2~3カ月かけて4回訪問、延長(さらに4回まで)も可能。先輩ママは訪問時、利用者の要望に沿って約2時間を共に過ごし、悩みを聞いたり、利用者の提案で出掛けたりする。4回の訪問が終わると、オーガナイザーが利用者から感想などを聞き取る。


2012年3月27日掲載
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