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県内企業・団体 頼れる、うちのイクボス

 部下の育児や介護への参加など家庭生活を応援し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)の充実を促す上司を「イクボス」と呼ぶ。本県では吉村美栄子知事らが発起人となり、昨年12月に「やまがた企業イクボス同盟」を設立。5月末現在で136企業・団体が賛同している。イクボスって何者? ミドリオートレザーと県信用保証協会に取り組みを聞いた。

■ミドリオートレザー

斎藤慎夫工場長
斎藤慎夫工場長

 -イクボスの役割は何ですか。

 加勢邦雄総務部長(59)「周囲に気を配り、悩んでいる様子がないか見つけるのも一つです。ルーティンに追われて相談を受けられないようでは上司として失格です。組織が従業員一人一人を理解しなければ、問題が発生しますし、社員のやる気がなくなります」

 斎藤慎夫工場長(56)「仕事の悩みは大抵人間関係です。工場内を巡回し、なんか変だなと思ったら『おぅ』と声を掛けます。それをきっかけに悩みを話してくれることもあります」

 -斎藤工場長は業務改善したそうですね。

 斎藤工場長「会議が多く、責任者が現場を見られないという状況があり、会議を削りました。毎日、前日の報告があるのですが、半日拘束から20分間に短縮しました。これで5時過ぎてから本格的に仕事をするという悪循環、不効率はなくなりました」

 -イクボスは自分も仕事と家庭を両立します。

 斎藤工場長「若い頃は子供の幼稚園や小学校の行事で会社を休んでいました。昔からおおらかな社風でした。親子遠足に行くと、パパはバス4台に2人くらいでしたけど。実母を介護した時期もありますし、育児や介護、家のことをするのは『普通』ですね」

 -家庭のことで仕事を休むのは気が引ける人もいそうですが…。
加勢邦雄総務部長
加勢邦雄総務部長

 加勢部長「グループで仕事を共有し、技術職を除いては1人だけに集中しません。急に休むこともあれば、子供の学校行事など休みがほしいときもあります。社員に『お互いさま』という意識が常にあり、非常にいい雰囲気だと思います。家族などを犠牲にした上で仕事をしていては、業績は伸びません」

【企業メモ】

 乗用車のシートなど高級皮革の製造販売業で、カーシートで世界3位のシェア。ミドリ安全グループで、国内外に工場を持つ。厚生労働省が認定する従業員の子育て支援に取り組む企業「くるみん」を受けている。

所在地:山形市三社
社員:約350人(女性約90人)
就業時間:午前8時10分~
     午後5時15分

 出産・育児で退社する女性は皆無で、ほとんどが子供が1歳になるまで育児休業を取得している。男性の育休は第2子出産のタイミングなどに合わせ、期間は1カ月の場合が多い。

■県信用保証協会

加藤優平総務統括課長補佐
加藤優平総務統括課長補佐

 -イクボスは始まったばかりですね。

 加藤優平総務部総務統括課長補佐(41)「横沢正昭理事長が『仕事一辺倒になるな』と力を入れ、これを機に意識改革しようとしています。まず部署ごとに宣言書を作りました。ワーク・ライフ・バランスを充実させる行動計画です。『見える化』され、雰囲気が変わり、積極的に休暇を取得するようになりました。土日と合わせて連休をつくり、家族と旅行に出掛けた同僚もいます」

 -周知されていますか?

 「最初はピンと来ていない人も多かったですが、宣言書は課内全員で話し合い、全員で決めました。これが意識付けのきっかけになったようです。早帰りデーは社内メールで全員に知らせています。課長や支店長は月1回の会議で、イクボスの進捗(しんちょく)状況を聞かれますし、休暇取得を促し、不要な残業をしないよう、声掛けするように言われています」

 -家族と過ごす時間は長くなりそうですか?

 「毎日午後8~9時まで仕事している人もいます。忙しい部署でも、宣言書の後押しを受けて、家族のために使う時間を増やしていきたいですね」

 -男性の育児休業はこれまでなかったそうですね。

 「育児休業は取れる期間が限られます。男性も活用すれば、家族がさらに仲良くなれるのではないでしょうか。周囲が、本人が取りやすいと思えるよう声掛けするのも重要です。家庭にも力を注ぎ、相乗効果で仕事がはかどるように期待しています」

【団体メモ】

所在地:山形市城南町1丁目 職員:82人(女性20人)
就業時間:午前9時~午後5時10分
信用保証協会法に基づく特殊法人。中小企業が金融機関から貸し付けを受ける際に公的な保証人となって事業を支援する。県内に5支店ある。

 イクボスの取り組みは今年4月から。各セクションで「平日1回は家族みんなで夕食を」「家族の誕生日に休暇を取る」などと宣言書を作った。月1回の「早帰りデー」は全員が定時で帰宅。男性の育休1号は今年8月に2週間取得する。

 「イクボス」はNPO法人ファザーリング・ジャパン(東京、安藤哲也代表理事)が提唱。部下に理解を示しサポートするだけでなく、組織の業績アップも、自らの仕事や私生活を楽しむこともできる上司と定義している。職場の雰囲気づくり、仕事での決断力や指導力も期待される。

■イクボス10カ条

  • 1.理解-部下が子育てや介護に時間を充てることを理解する
  • 2.ダイバーシティ-家庭に時間を割く部下を冷遇しない
  • 3.知識-社内制度や法律を知る
  • 4.組織浸透-積極的に家庭にも時間を割くことを推奨する
  • 5.配慮-転勤や単身赴任に最大限に配慮する
  • 6.業務-休業中に業務を滞らせないよう情報共有し、チームワークを醸成する
  • 7.時間捻出-会議や書類の削減、意思決定の迅速化を進める
  • 8.提言-さらに上の上司や人事部に部下の人生を重視した経営をするよう呼び掛ける
  • 9.有言実行-イクボスが業績を向上させると実証する
  • 10.隗より始めよ-自ら人生を楽しむ

県子育て支援課は「やまがた企業イクボス同盟」に賛同する企業経営者を募集している。問い合わせは同課023(630)2668。

2016年6月23日掲載
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