わいわい子育て

アラカルト

産後のママ、支えたい 県が委託「宿泊型・広域型」モデル事業展開

 産後のママは心身の休養、母体や赤ちゃんのケア、育児…と気に掛けなければいけないことがいっぱい。県は、母親たちが安心して子育てを始められるように「産後ケア事業」の構築を目指している。本年度は民間の施設に宿泊する「宿泊型・広域型」のモデル事業を展開。今月からモニター利用がスタートした。

宿泊型産後ケアは助産師などが母親(右)に24時間付き添い、育児や授乳のアドバイスをする=上山市
宿泊型産後ケアは助産師などが母親(右)に24時間付き添い、育児や授乳のアドバイスをする=上山市

 モデル事業はNPO法人やまがた育児サークルランド(野口比呂美代表)が、県の委託を受け実施。利用対象は産院退院後から子どもが生後4カ月未満までの母親で、自宅での育児や授乳に不安のある人、育児や家事を手伝ってくれる家族がいない人など。治療中の疾患がないこと、利用後にアンケートに協力することも条件になっている。

 1組目のモニターとなったのは、9月22日に第2子となる長女を出産した山形市在住のママ(30)。会社員の40代夫、長男(3)と4人暮らしだ。夫婦ともに関東出身で、昨年8月に仕事の都合で引っ越してきた。応募のきっかけについて「頼れる人や親しい人が近くにいない。長男が赤ちゃんの時に泣いてばかりいて苦労したというのもあり、サポートを受けたら気分転換できるかなと思った」と語る。

 今月9~11日にかみのやま温泉(上山市)の旅館別館に家族4人で宿泊し、産後ケアを体験した。初日は入室後、助産師の酒井由美子さん(68)=上山市=と昼食を食べながら和やかにオリエンテーションを実施。2泊3日の期間中、酒井さんら助産師3人が交代で付き添い、ママの乳房ケア、赤ちゃんの発育のチェック、授乳や沐浴(もくよく)指導などをした。

 助産師は施設内の別室に宿泊するため、「赤ちゃんが泣きやまない」など夜間に心配なことがあっても安心だ。体験したママは「助産師と朝から夜まで一緒に過ごすことで、これもあれもと聞きたいことがどんどん出てきた」と振り返る。具体的な授乳の仕方や赤ちゃんの手のひらの洗い方、おむつのつけ方を夫婦で共有することなど育児のさまざまなコツを学んだ。

 さらに赤ちゃん返りしていた長男への接し方についても、毎日抱き締めたり、長男だけに向き合う時間をつくったりするなどのアドバイスをもらった。ママは「この3日間で助産師さんたちに支えてもらい、疲れが癒やされた。こんなに手を掛けてもらったのだから、明日からまた頑張れそう」と笑顔を見せた。

【助産師・酒井さんに聞く】母子の生活、総合的に見える

助産師の酒井由美子さんに宿泊型の産後ケアについて聞いた。

 -宿泊型のメリットは。

 核家族が増えており、ママたちは精神的にも肉体的にも余裕がなくなってきている。自ら相談できる人はいいが、誰にも言えないでいる人は心身ともに疲れており支援を準備して待つだけでなく、こちらから「届ける支援」が必要。宿泊型だと、母子の生活が断片的でなくトータルで見える。ママを見て「こんなやり方もあるよ」とアドバイスできる。

 -具体的にはどんな助言をするの。

 おっぱいを飲ませる角度とか、食生活のこととか、この時期に赤ちゃんが泣くのは仕方のないことだよねと話しながら伝えるとママはほっとする。それを一緒に過ごす時間の中でできたらいい。産後なるべく早く伝えることで、命の大切さも分かってもらえると思う。

 -1組目のモデル事業を終えての感想は。

 より良い支援を考えながらのサポートだった。今回は、第2子で産後1カ月半のため、ママの生活リズムがだいぶできていた。また家族一緒の宿泊だったこともあって、日々の流れがよく見え、その中で気付いたことをアドバイスできた。

【県の取り組み】支援が必要な人へのケア、充実へ

 県は妊娠から出産、子育てまで切れ目ない支援の充実を図る。妊娠期は14回程度の妊婦健診があり、医療機関との関係が密になる。子育て期は乳幼児健診のほか、母親同士のサークルや支援センターなどが充実。一方で産後すぐは母親が心身共に不安定な状態だが、本県では助産所や産後ケアに取り組む医療機関が少なく、支援が十分とはいえない。

 このため、県は産院退院後から産後3、4カ月ごろまでを「支援の手薄な期間」と位置付ける。産後ケア事業では母親が赤ちゃんと一緒の生活に早く慣れるよう、助産師や保健師、看護師が授乳や子どものケアなどに対してアドバイスする。実施方法として日帰り型や訪問型も考えられるが、本年度は宿泊型のモデル事業を展開。さらに幅広くノウハウを活用するため「広域型」とし、地域間での連携を図る。

 来年度以降の事業化は市町村が主体となる。県の構想としては、市町村は保健センターなどに支援機関同士をつなぐ「母子保健コーディネーター」を配置し、若年層や一人親、経済的に困難な家庭などを妊娠期から把握。妊娠や出産に不安を抱え、支援が必要な人に対する産後ケアを充実させたいとしている。

メモ

 宿泊型産後ケアモデル事業は5組限定で実施。基本的に2泊3日だが、希望者は最大6泊まで宿泊可能。上山市の旅館別館のほかに、山形市中心部のビジネスホテル、同市の研修施設の計3カ所から選べ、2泊3日の費用は食費込みで5000~1万5000円。問い合わせは「やまがた育児サークルランド ままカフェ@home」023(687)1720。

2016年11月15日掲載
文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2018年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2018年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から