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本開いて感情豊かに 東北文教大短期大学部・川越ゆり准教授児童文学に聞く

 例年通りなら東北地方はもうじき梅雨を迎える。あいにくの天気でレジャーの予定が台無しに…。そんなときは自宅で本を開いてみては? 子どもを楽しませるコツや、お薦めの本を児童文学の専門家に紹介してもらった。

東北文教大短期大学部・川越ゆり准教授
東北文教大短期大学部・川越ゆり准教授

 考えること、想像すること、表現すること。子どもは本を通じて、生きる上で基礎となる力を磨くことができるという。「特に注目したいのは感情体験。本は感情を豊かにしてくれる」と山形市の東北文教大短期大学部准教授・川越ゆりさん(児童文学)は話す。

 そこでお薦めなのが物語絵本。例えば「ぐるんぱのようちえん」(作=西内ミナミ、絵=堀内誠一、福音館書店)。大きなゾウのぐるんぱは街で働くが、大きな物を作って失敗ばかり。寂しい思いをするが、最後に居場所を見つける。

 「自分の存在が受容されるうれしさを追体験させてくれる」と川越さん。悲しい場面も、身近な大人の声を通せば安心。「しがみつきながらちゃんと聞いてくれるはず」。そんなスキンシップも大切という。

 絵本から励ましを得ることも。「しょうぼうじどうしゃじぷた」(作=渡辺茂男、絵=山本忠敬、福音館書店)は小さな消防車に活躍の機会が訪れる物語。「次男のお気に入りだったという話も聞く。年下の自分と主人公を重ねたのかもしれない」と指摘する。

 書店にも図書館にも絵本や児童書はたくさんあって選ぶのに困るが、成長過程が一つの目安になる。

 物語を理解する以前の0~2歳ごろはオノマトペ(擬声語)を繰り返したり、体を動かしたりする絵本で「言葉の音の豊かさ、楽しさに触れさせて」と川越さん。節を付けて歌うなど「大人も自由に楽しんでほしい」と助言する。

 「これ何?」と名前を聞いたり呼んだりする命名期には、物の名前を扱う絵本がお薦め。身近な物をシンプルな絵で紹介する「赤ちゃんにおくる絵本」(作・絵=とだこうしろう、戸田デザイン研究室)は0歳から楽しめる内容だが、名前に対する関心が増すので親子のやりとりが広がる。

山形市立図書館で開かれている読み聞かせ会「絵本とあそぼう」。童歌などを交え、親子が伸び伸びと楽しんでいる
山形市立図書館で開かれている読み聞かせ会「絵本とあそぼう」。童歌などを交え、親子が伸び伸びと楽しんでいる

 3歳ごろからは簡単なストーリーを理解できるように。「どろんこどろんこ!」(文=渡辺茂男、絵=大友康夫、福音館書店)など「くまくんの絵本」シリーズをはじめ、身近な場所、題材を扱った物語なら入り込みやすいという。

 想像力が育つ5歳ごろからは非日常的なファンタジーも楽しめる。川越さんのお薦めは冒険もの。主人公になりきって大人の元をちょっとだけ離れる追体験が、子どもの自立心を刺激するという。子どもが慣れてきたら、絵の少ない幼年童話にステップアップ。想像力が養われ、1人での読書にもつながっていく。

 「紹介したものはあくまで目安」と川越さん。本は親子のコミュニケーションツール。「親子の距離を縮めて自由に、楽しい時間を分かち合って」と話している。

川越准教授お薦め「自宅で子どもと読む本」

0~2歳児向け

★くっついた (作=三浦太郎、こぐま社)
★おしくら・まんじゅう (作=かがくいひろし、ブロンズ新社)

「どちらも言葉の響きを楽しめる。歌ったり体をくっつけたりスキンシップも図れる」

言葉遊び

★しりとりしましょ! たべものあいうえお(作=さいとうしのぶ、リーブル)

「次は何が出てくるかヒントを与えながら読み進めるとより楽しい」


★どうぶつはやくち あいうえお(作=きしだえりこ、絵=片山健、のら書店)

「覚えやすい文章で、かるたにすると家族のだんらんにも活躍しそう」

参加型

★ねえ、どれがいい?(作=ジョン・バーニンガム、訳=松川真弓、評論社)

「ゾウに風呂のお湯を飲まれちゃう-など選択肢が奇想天外。どれを選ぶか親子で盛り上がれる」

ユーモア

★だいこんと にんじんとごぼう(再話・絵=つるたようこ、アスラン書房)

「野菜の色を題材にしたなぜなぜ話で、質問期にぴったり。お風呂の話が有名だが、こちらは山登り編」


★ながいながいへびのはなし(文=風木一人、絵=高畠純、小峰書店)

「とても長いヘビの頭と尾が再会。ぎゅっと絡まるイラストのように子どもを抱き締めてあげたい」

幼年童話


★どろんここぶた(作=アーノルド・ローベル、訳=岸田衿子、文化出版局)

「よかれと思った行為が不満。飼い主と子ブタの関係が親子に重なる。分かり合う過程に胸が温まる」

冒険


★おっきょちゃんとかっぱ(文=長谷川摂子、絵=降矢奈々、福音館書店)

「1人でカッパの国に出掛け、帰ってくる。冒険的要素を含むファンタジーで、いろんな感情体験をさせてくれる」

2017年6月6日掲載
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