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保育園長など務めた阿部さん(山形市)が講話 「声」を大事に、触れ合って

 アナウンサーや大学教授、保育園長を務めた阿部康子さん(77)=山形市東青田3丁目=が3月27日、同市のまりあこまくさ支援センターで「『声』の秘密と楽しい『朗読』」と題して講話した。子育て中の母親に「人との関わりの中で声は大切な要素。声を大事にして子どもを育てていってほしい」と呼び掛けた。

「私も子育ては反省ばかり。みんなそうなのよ」と話す阿部康子さん
「私も子育ては反省ばかり。みんなそうなのよ」と話す阿部康子さん

■声の役割

 これまで幅広い年代のさまざまな立場の人に出会った。人間関係やコミュニケーションを築く上で、どう話すかということを意識しがちだが、その前に声が大切。保育園でたくさんの子どもたち、お母さん、お父さんと触れ合い、子育てにも声の果たす役割は大きいと感じた。

 今は声の社会から文字の社会になっている。声の大切さから遠ざかっている。子どもは発達の過程で、どのように声を習得していくのか。内なる世界と外の世界をつないでいく時に、どうやって親と子の関係をつくっていったらいいのか。声が発達していく仕組みから考えてみたい。

■声の発達

 どんなふうに赤ちゃんを抱っこする? 大体の人は赤ちゃんの頭が左の肘にくるように抱っこする。そうすると赤ちゃんの右耳がお母さんの心臓に近い所にきて、音やリズムが聞こえる。左耳ではお母さんの声を聞く。

 おなかに胎児でいた時と同じ。羊水の中だからもしかすると「ぶわんぶわんぶわー」っていう響きかもしれないけれど、お母さんの声を聞いていた。その状態になると赤ちゃんはとっても落ち着く。右耳と左耳それぞれで違う音、声を聞き分けて、外とのつながりを持ちながら大きくなっていく。

 生後5週ごろに、お母さんが話し掛けるとほほ笑むことがある。お母さんの顔を見て笑ったのではない。それはおなかにいた時に聞き慣れていたお母さんの声だから。「あ、お母さんの声だ」と思ってほほ笑むのではないかという研究結果がある。

 やがて抱っこして「いい子、いい子ね」と言うと「うっくん、うっくん」などと発する。これを喃語(なんご)といい、お母さんから話し掛けられて「うれしいなあ」と反応するもの。段階を踏んで発達していく。

 お母さんと交流できたうれしさが、子どもの次の能力を引き出していく。6、7カ月ぐらいになると、舌の筋肉が丈夫になり「ぶぶぶぶぶぶぶ」と声の実験を始める。これは歯の生え初めでかゆいからじゃないかというが、それよりも音を出してみるという実験なんだと思う。その後、声の高さの調節ができるようになって、母国語の音を覚えていく。

■声の影響

 声の秘密について話していきたい。お母さん2人にここで試してもらう。一人は優しい、普通、いらいら、楽しくてたまらない、怒り-のいずれかの感情を込めて「おはようございます」と言う。もう一人はどの感情で言っているのかを当ててほしい。

 顔を見合わせていたから表情で分かったかもしれないけれど、もしこれが電話だと伝わりにくいことがある。よく勤め先で、電話はにっこり笑いながら話すようにと言われるのはそういうこと。口角の上げ方もあるけれど、顔の表情も声に影響している。

 コミュニケーションで与える影響は表情55%、声の調子38%、言葉7%という研究結果がある。どんな声が子どもに届いているか自分では分からない。でも声が4割ほどを占めるのなら、どんな声で話し掛けるかというのはとっても大事なこと。声の秘密を親子で共有して、快い時間を持ってほしい。

■朗読は心のやりとり

 私の子どもが小さい頃に出張があると、お話をテープに吹き込んで夜に聞かせててねと夫にお願いした。子どもは最初は聞くけれど「あとは嫌だ」と言うそう。ママか、その代わりにパパに語ってもらいたい。肉声がいいのね。

 絵本が持てるようになった子どもは、同じ本を何回も読んで読んでと持ってくる。ママは子どもが成長してくるとそろそろ自分で読みなさいと言ったりする。私もかつて言ったことがある。もちろん本の内容が面白いというのもある。でも子どもは読んでもらう時間、ママとの心のやりとりこそが楽しい。次々と本を買わなくても、ずっと同じ本で構わないと思う。

■信頼関係は「いい気持ち」から

 発達の過程で、親子の信頼関係が生まれることが大事。子どもが「いい気持ちだな、あやされてうれしいな」と感じると、一番身近な人への信頼が育まれる。その信頼がないと、外の世界の人と信頼関係を結ぶのに、とても戸惑ってしまう。

 だから子どもが何かを指さしたら受け入れ、同意し、共感し、「そうね」って言ってあげる。もう少し大きくなったら、例えば空を指さしたときに「白い雲ね」と言ってあげる。それは雲を教えてあげるんじゃなくて、同感、共感のために言うという認識でいいのかなと思う。立派な言葉、正しい言葉で言って聞かせる必要はない。

子育て中の母親が声の大切さを実感した講話=山形市・まりあこまくさ支援センター
子育て中の母親が声の大切さを実感した講話=山形市・まりあこまくさ支援センター
2019年4月2日掲載
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