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流産や死産繰り返す「不育症」 原因と治療、一瀬白帝山形大教授に聞く

 妊娠しても何らかの原因で赤ちゃんが育たない「不育症」を知っていますか? 流産を複数回繰り返した場合は血液や染色体に原因があることもあり、適切な治療をすれば不育症に悩む女性も高確率で出産できる。厚生労働省の研究班によると、全国で年間3万人以上の患者がいると推定され、原因や治療についての研究が進められている。村山市が治療費を補助する制度を設けるなど、県内でも関心が高まっている。厚労省研究班メンバーで、血液学を専門とする一瀬白帝(いちのせ・あきただ)山形大教授に、不育症の原因や治療について聞いた。

Q 不育症の定義は?

「流産が続いても自分を責めず、まずは相談して」と話す一瀬白帝教授=山形市
「流産が続いても自分を責めず、まずは相談して」と話す一瀬白帝教授=山形市

 A 日本では2回以上連続して流産や死産(22週以降)、早期新生児死亡(生後1週間以内の死亡)を繰り返す場合をいいます。不育症の約9割は早期流産(妊娠12週未満)です。1人目を問題なく妊娠、出産していても、その後に流産が続く場合も同様です。普通に生活していて複数回の流産、死産があった場合は主治医に相談することをお勧めします。

Q 流産はよくある?

 A 流産はどんな女性にも起こる可能性があるので、心配しすぎないでください。妊娠反応があっても赤ちゃんの袋が見える前に流産してしまう化学流産は30~40%起きているとされ、気付かない人がほとんどです。化学流産は不育症には含まれていません。

Q 不育症の原因は?

 A さまざまな原因が考えられます。ホルモンの異常、染色体の異常、免疫の異常、血液の固まりやすさ、子宮の形の異常などがあります。このうち、血液では、血液を固めるタンパク質や自分の体に対する抗体(抗リン脂質抗体)が原因となっている場合があります。赤ちゃんと母体をつなぐ胎盤の血液が固まり、循環しなくなると、赤ちゃんが死んでしまうのです。卵子や精子の染色体に異常がある場合でも、何回か妊娠すると出産に至る均衡型転座もあります。

Q 原因はどこで調べられる?

 A まずは主治医や産科医に相談してください。不妊治療を行っている医師は不育症にも詳しいと思います。山形大医学部付属病院では20年以上前から研究を続けています。ただ、科学的に完全に解明されていないので、詳しく調べても原因不明のことも多いです。

Q どんな治療をする?

 A 原因に応じた治療が必要です。流産したことで精神的に大きなダメージを受けているので、ストレスが強い場合はカウンセリングが有効なこともあります。子宮奇形の場合は手術することもあります。血液に原因がある場合は、固まりにくくなる薬を注射するなどの治療法があります。このヘパリンカルシウム自己注射は昨年末から、ようやく保険適応になりました。治療法の研究は進んでいますが、ほとんどが自費診療で経済的負担も軽くはありません。

Q 出産できる?

 A 原因に応じた治療や家庭や社会生活の中でサポートを受けることで、不育症に悩む女性の約85%は、無事に元気な赤ちゃんを出産しています。ですから、流産しても自分を責める必要は全くありませんし、周囲の理解も必要です。諦める前に専門医に相談してください。

メモ

 一瀬教授が参加した厚労省研究班(現在は終了している)が不育症について紹介するホームページ(HP)「Fuiku-Labo(フイク ラボ)」がある。原因や治療について詳しく説明している。アドレスはhttp://fuiku.jp/index.html

2012年7月3日掲載
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