昔、とんとあったけど。昔、あっどごさ大酒飲みで、威張てばりえる侍えだけど。ほの侍ぁ、何時も何がて言うど、刀振り上げで、町の人達どごおどして、金どが物どがとって威張てえだけど。
町の人達ぁ「(※)何じょがして仇とっだえ」て思たげども、相手ぁ刀差してえる侍だっす、何じょも仕様なえて、がまんしったけど。
ほうすっど、あっどぎなぁ、町さ(※)八づ目売り来たけど。「八づ目、八づ目。んまえ八づ目えらねが」て歩えっだれば、ちょうど具合悪ぐ、道の曲がり角で、ばったりあの威張り侍どぶつがてすまたけど。
ほうすっど、侍、真っ赤えなて(※)ごしゃえで、「無礼者。太え奴め」て叫んだけど。ほんでも、八づ目売りぁ、何んにも知しゃねふりして「太え八づ目ぁ(※)十文。細え八づ目ぁ(※)五文」て言って、すたすた行ってすまたけどぁ。ほうすっど、侍ぁ馬鹿えさっだど思て、いぎなり刀抜えで、「無礼者、斬ってしまうぞ」て、かがてきたけど。
町の人達ぁ「あっ危なえ、危なえ、早ぐ逃げろ」て言ったげども、八づ目売りぁ、前ど同ず、平気な顔して「(※)切り売り御免、切り売り御免」て、行ってすまたけどぁ。ほんで、威張り侍、みんながら笑わっだけど。
とんびすかんこなえけど。