昔、とんとあったけど。昔あっどごさ長者ど一人娘えで、2人仲良ぐ暮らしったけど。ほの家さは、まだ、真っ白な大けな馬えだけど。娘ぁこの馬大好ぎで、毎日草食しぇだり、体洗たりしったけど。ほのうず、馬、娘どご好ぎなて、娘の食しぇる餌すか食ねぐなたけどぁ。
ほうすっど、長者(※)ごしゃえで「(※)畜生のかんまえして娘さ惚れるなて、とんでもなえ。殺してける」て言って、殺してすまて、その皮ば柿の木さ下げっだけど。娘ぁ馬どご(※)むずさくて、毎日柿の木んどさ行って泣えっだけど。
ほのうず、あっどぎ、ゴウーて大風吹えできて、馬の皮ば柿の木がら落どしてすまたけど。ほうすっど、馬の皮、娘どごクルックルッて包んで、ブーンて空さ飛んで行ってすまたけどぁ。長者(※)動転して「早ぐ下っで来え」と叫んだげども、娘下っで来ねけど。ほのうず、空がらごま粒みだえな小ちゃこえ黒え粒、一杯降ってきたけど。長者、何だべと思て、(※)おながまさ聞えだれば、おながま、「これぁ娘ど馬の生まれ変わりで、(※)蚕の卵だ。これさ桑の葉っぱ食しぇっど大けな蚕なて、立派な繭こしぇっさげ大事して育でろ」て言うけど。
ほんで、長者毎日桑の葉っぱ食しぇっだれば、真っ白な大けな繭できだけど。長者、この繭がら糸取って、機織り機械で織ってみだれば、ほれごそすばらすえ絹織物でぎだけど。長者、この布で娘の着物こしぇで、毎日拝んでえだけど。んださげ、いまでも蚕(※)おぐどきぁ、その部屋さ真っ白な馬さ乗ったお姫様の掛軸かげんなだど。とんび すかんこ なえけど。