むがしあったけど。男が山の畑がらもどって、村の沼のそば通ったどぎ、松の枝さ、ええ匂いの着物、掛げであったもんだから、その着物もらってきたど。そいづぁ、5人で天から村の沼さあそびに来てだ天女のものだったがら、その天女は天にもどれなぐなって、しかだなぐ、その男の(※)おっかになったんだど。
2人の間さ男の子が生まっだ後、たまたまたんすの隅さあった天女の衣を見つけで、天女は天に戻ったけど。男の子が5歳になったどき、紙が降ってきて「会いだがったら、この蔓草の種蒔いで、(※)馬の沓100足ば、肥料にして天さ登ってこい」て、書いであったど。
男の子も喜んだげんども、それ以上に、夫も喜んで、村中から馬の沓拾い集めだげんど、99足しかなくて、1足たりながったんだげども「まあ1足ぐらい、ええでないが」て、蔓草の肥料にしたば、毎日するするど伸びで、天さ届いだようだったがら、男の子ば頭の上さのせで、蔓草ば登って行ったど。したら、天女が「よぐ来た、よぐ来た」て、子どもを(※)ひょいら、抱いで引きとったげんども、夫の方は肥料が1足たりないので、届がねんだど。
そのうぢ風が吹いできて、蔓がぐらぐらして、夫はふり落どさっで、村の沼さびしゃんと落ちて、粉々になって、それが鮒コになって、今でも村の沼に泳いでいるんだど。(※)どろびん。