昔、昔あったけど。
仙台の殿様が「家来を遣わしてほすえ」というので、山形の殿様は仙台の殿様に家来を遣わしてやるごどにしたけど。
選ばれだ家来は「殿様がらの命令で、仙台の殿様に使いに行ぐのだ」と仲間に大いばりしておったけど。
殿様がら呼び出され「これこれ家来、仙台の殿様どさ行ったらこれを渡せ」ど言われだ手紙をもって、出がげだけど。
家来は喜んで途中走って行ったので、殿様がら渡された手紙を落どしてすまったけど。
ちょうどその時は雨降りの日であったので、気がついだ時は、手紙がすっかり濡れでしまったけど。家来は手紙を拾って、火をたぎながら、手紙を乾がしておったけど。
そごを通りかがった1人の旅人が、手紙をちょっと見で「おまえ字が読めないのが」と聞ぐので「俺ぁ字読まんなえ。何と書いである」ど聞いだら「『この家来を差しあげますので、思う存分新刀で試し切りしてください』どいう手紙だ」ど教えだけど。
それがら家来は「世には恐ろすえごどもあるもんだ」ど言い、仙台の殿様どごさ行がねで、どごさが行って長生ぎしたけど。ドンビン。