昔、あっどごさ大っけなお寺さまあっけど。ほごさ毎晩誰が来て「ズイトン、ズイトン」て、入り口の戸ただぐなだけど。ほんでも、なんぼ待っても誰も家ん中さ入えて来ねけど。
ほんで、小僧「不思議だな。誰だべ」て、ある晩、脇さ隠っで見っだれば、大っけな狐来て、くるっと後向ぎなて、背中ば戸さ当でで「ズイ」てこすて、ほして、今度ぁ手で戸ば「トン」て叩ぐなだけど。ほんで「ズイトン、ズイトン」てゆう音すんなだけど。
小僧「畜生、(※)狐のかんまえして人どご馬鹿えしてえる。んだら俺狐どご叩えでけねんね」て、次の晩、戸の脇さ隠っでえだけど。ほうすっど、まだ狐来て「ズイトン、ズイトン」て、戸叩えだけど。ほんで小僧、狐「ズイ」て背中こすて、「トン」て叩ぐどぎ、いぎなり戸ばガラガラて開げだけど。狐ぁあんまり力入っでだもんださげ、ドドッて家ん中さ入てきたけど。
ほんで、小僧「こん畜生」て、棒で狐どご叩えだけど。狐たまげで「キャンキャン」鳴えで逃げで行ったけどぁ。んださげ、あんまり人どごだまさんなえもんだど。とんびすかんこなえけど。