昔、京の都さ、渡辺綱ていう強い侍いだけど。そのころ都の(※)羅生門さ鬼出はって人どごさらっていぐうわさ広がったけどや。
仲間の集りでその話聞いだ綱、「このにぎやがな都さ鬼出るはずね」て言ったばみんな反対したさげ、「よし、んだば今夜おれ羅生門さ行って見でくる」て約束したけど。
綱、夜なってがら羅生門さ馬走らせだけど。羅生門は真っ暗闇で、なんぼ待えでも鬼出でこねけど。綱、戻ろうとしたば、後ろからかぶとを(※)ワニッとつかまえらたけど。綱見だば、赤鬼、目ランラン、口は耳まで裂げでにらんでいだけど。
綱「うわさの鬼だが。許しておがえね」て切りかがったけど。鬼も鉄棒振り回して戦いなったけど。綱「南無八幡」て神様に祈って刀振り下ろしたば、鬼の腕スパッと切れで、鬼「ギャアー」と飛び上がって逃げでいったけど。
綱、その腕(※)たがいで帰って見せだば、みんながら「さすが綱だ」てほめらえだけど。綱はその腕、奥座敷さしまってだれさも見せねでおいだけど。
それから10日もたった雨の降る晩げ、綱の所さ、1人のばあさん訪ねできたけど。そして「おれはお前小さい時、乳のませだうばだども、珍しい鬼の腕どうが見せでくれ」て頼むけど。綱、なんぼ断わっても、ばあさん泣ぎながら頼むさげ、どうもならなぐなってばあさんさ見せだけど。
ばあさんジッと見でがらその腕サッとつかんで、たぢまぢ鬼の姿なって、外さ飛び出したけど。綱、刀抜いで(※)ぼっかげだども、鬼は黒雲に乗って見えなぐなったけど。それから鬼は二度と京の都さ出なぐなって、綱の名前は都中鳴り響くようなったけど。トッピンカラリネッケド。