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意欲や不安交錯、人を裁けるか心配も 「県内第1号」裁判員の候補者

2009年11月30日 18:25
選任手続きを前に、裁判員候補者らは「選ばれたら責任を持って役目を果たしたい」などと語った=山形市・山形メディアタワー前
選任手続きを前に、裁判員候補者らは「選ばれたら責任を持って役目を果たしたい」などと語った=山形市・山形メディアタワー前
 県内初の裁判員裁判となった山形市の現住建造物等放火容疑事件。呼び出しを受けた裁判員候補者たちは30日朝、スーツやジャケットなどの普段着で山形市の山形地裁に入った。取材に応じた候補者たちには、裁判員に選任されることへの意欲と不安が交錯。仕事を休むことへの抵抗や、特に庄内地方の候補者は移動距離などの負担を感じている様子で「自分に人を裁くことができるのか」と心配する声も上がった。

 裁判所に来たのは初めてで「まったく未知の世界」と話した米沢市の会社員男性(33)。最初は不安だったとしたが「今は、いい経験かな、選ばれたいという気持ちはある」と話した。同市の会社員男性(46)も刑事裁判が身近な存在ではなく「想像もつかない」と口にする一方、「選ばれたら公正な目で貢献したい。専門的な知識はないので、普段の知識で考えたい」と続けた。

 天童市の調理師女性(48)は「責任を感じているので、選ばれた場合はしっかり頑張りたい」と裁判員に選任されることを希望。「なぜ放火するような気持ちになったのか、家族や周囲の人たちのことを考えなかったのか、法廷で質問してみたい」と語った。

 一方、刑事裁判に参加することに戸惑う候補者もいた。「まさか、自分が」と話した鶴岡市の男性会社員(43)は「本当に自分にできるのか」と自問してきたとし「選ばれたくないという気持ちもある」と不安をのぞかせた。同市の会社員男性(55)も「その人(被告)の気持ちになったら、裁きたくない。プロではないし、選ばれたくない」と語った。

 南陽市の自営業男性(65)は、質問票で「体調が悪い」などと辞退を希望したが認められず、選任手続きであらためて辞退を申請するといい「仕事も忙しいし、人を裁くことなんて」と続けた。朝日町の会社員男性(34)も「人の人生を左右することにかかわりたくない」と戸惑いの表情。会社の了承はあるものの「仕事が忙しく、4日間休むことに抵抗がある」とし「辞退を申し出るつもり」と話した。

 酒田市の会社員男性(45)は、バスで29日に山形市入りし、市内のホテルに宿泊。この日朝の登庁時、4日分の着替えなどを詰めたボストンバッグを持参した。「庄内から山形市まで来るのは負担が大きい。選任手続きは事前に、最寄りの裁判所でやるなど、軽減措置が必要と思う」と注文を付けた。

 三川町の製造業男性(27)は、裁判所から届いた書類の中にホテルや保育所の一覧があり、今回の選任手続きで参考にしたという。「仕事を休むことが一番の負担。選ばれたら4日間になるし、同僚にしわ寄せがいく。(裁判所から)遠い人は手続きの前日、ホテルに泊まらなければならない。正直、遠い人は選んでほしくない」と本音を漏らした。

地裁前に多くの報道陣
 山形地裁前には30日早朝から、裁判員候補者や100人近い報道陣が詰め掛けた。

 地裁敷地内では取材が規制されたため、報道各社は地裁を訪れた裁判員候補者に取材依頼。了承した候補者を、地裁隣にある山形メディアタワー前の特設ブースに案内した。

 特設ブースにはカメラがずらりと並び、大勢の記者が候補者を囲んだ。各記者は「呼び出しを受けた感想は」「裁判員に選ばれたいと思うか」などと質問。普段の朝とは違う光景に、通勤途中の市民は興味深げに通り過ぎていった。

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