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豚の体外受精胚、生体材料を完全排除 機能性ペプチド研究所(東根)などがキット開発

2012年06月19日 15:12
 機能性ペプチド研究所(東根市、鈴木俊幸社長)と農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所(茨城県つくば市)は18日、生体材料を一切含まない豚の体外受精胚の保存液キットを開発したと発表した。完全合成ガラス化保存液キットで、これを使って超低温保存した豚の体外受精胚を雌豚に移植し、受胎・出産させることにも既に成功。胚の培養液も化学合成材料を使っており、生体材料を完全に排除し、体外受精で出産まで成功したのは世界初のケースという。

 機能性ペプチド研究所によると、現在の豚の繁殖方法は、自然交配と、種豚から採取した生の精子を使った人工授精がほとんど。体外受精胚の移植による繁殖は研究段階にすぎず、同研究所は今回のキット開発によって病気の感染リスクが軽減し、実用化に弾みがついたとしている。

 家畜など哺乳動物の胚をマイナス196度の液体窒素中に長期保存する技術は既に確立されているが、豚の胚は他に比べて特に超低温保存に弱く、融解後の生存性が低い。近年、豚の胚の超低温保存にガラス化保存液を使う技術が有効であることが分かり、血清などの生体材料を添加した保存液が用いられてきたが、病原体混入の恐れや品質の安定性が課題となっていた。

 このため、両研究所の共同研究チームは2009年、生体材料を排除し、既知の成分を化学的に組み合わせた完全合成ガラス化保存液を作り、超低温保存した豚の胚を移植して出産に成功させた実績がある。ただし、この時は体内受精させた胚を使っており、受精胚の培養液や、超低温保存後の加温・融解処理に用いる加温・希釈液には生体材料を添加していた。その後、生体材料を一切使わない培養液のフルキットを開発、10年に商品化している。

 今回開発した保存液キットは、胚を超低温保存に適応させるための1次平衡液と2次平衡液、ガラス化液、加温・希釈液の4種類から成り、いずれも生体材料を使っていない。このキットを用いて約1カ月間保存した体外受精胚を受胚豚6匹に移植した結果、4匹が妊娠。計18匹の子豚が生まれた。

 今回の取り組みは、農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター(さいたま市)から、イノベーション創出基礎的研究推進事業として約3000万円の支援を受けた。機能性ペプチド研究所の星宏良所長は「半永久的な胚の保存が可能で、受胚豚の準備や排卵の時期などに合わせて移植できるため、繁殖の作業効率が上がる。海外市場も視野に、来春を目標にキットの商品化を進める」と話している。

ガラス化保存液 高濃度の凍結保護剤を含んだ液で、この中に胚を入れると急速に脱水され、胚の細胞質内の水分が凍結保護剤と置き換わる。この状態で液体窒素による超低温処理を施すと、細胞質自体は凍ることなく、水あめのような状態(ガラス化)となる。細胞質内に氷の結晶が形成されないため、超低温処理や加温・融解処理によって細胞質が破壊されることなく胚を保存できる。

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