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東日本大震災から5年~忘れない3・11[完] 教訓をどう生かす(下)学校・行政編

2016年03月10日 14:59
津波を想定し、避難経路を確認する子どもたち。酒田市教委は各校独自の防災マニュアル作りを目指している=2015年7月2日、酒田市浜中
津波を想定し、避難経路を確認する子どもたち。酒田市教委は各校独自の防災マニュアル作りを目指している=2015年7月2日、酒田市浜中
 東日本大震災で児童・教職員計84人が死亡、行方不明となった宮城県石巻市立大川小。全校児童の7割が災禍に巻き込まれた要因に初動の不備が指摘されている。高台に避難させず、校庭で待機を続けた責任を問う訴訟が係争中。震災を教訓に、酒田、鶴岡、遊佐の3市町では津波による防災マニュアル作りが急がれている。

 酒田市で津波対策が必要な小中学校は14校。うち津波避難ビルに設定されている8校で、市教育委員会は校舎屋上を緊急避難場所とする方針を決めた。地上からの高さ9~12メートルの屋上ならば、被害を回避できると判断。近隣住民が逃げ込む侵入口の設定を終え、2015年度までに計3校で屋上フェンスを設置した。

 一方、鶴岡市教委は12年度から防災教育アドバイザー派遣事業をスタート。専門家が小中学校を訪れ、各校に合わせた防災マニュアルの作成や避難訓練などをアドバイスしている。

高いところへ
 この中で、海岸から直線で約1.3キロで、降矢川沿いにある豊浦小(工藤健一校長、137人)は統合前の三瀬小時代、震災を機に避難指針を見直した。授業時間中に地震が発生した際の避難場所をグラウンド(海抜16.3メートル)から校舎3階(同25.9メートル)に変更。地震が起きたら高いところに逃げる―を「意識づけている」と工藤校長は話す。

 遊佐町内で津波被害が懸念される吹浦地区。避難所に指定される吹浦小(岸純一校長、76人)は海抜27.5メートルにある。同校が重視するのは登下校時に津波を伴う大地震が発生することへの対策だ。県津波浸水想定・被害想定検討委員会により津波の第1波到達時間が9分と示された鳥崎地区から通う児童もおり、同校は登下校時を想定した訓練を展開している。

 遠足などの学校行事の際も「最寄りの避難所はどこか」などと児童に問い掛け、意識を高めている。岸校長は危険予知と危機回避能力を培いたいとし「自分の命は自分で守るという考え方を持ってもらう必要がある」と力を込める。

 次は大規模災害が起きたときの公共施設が果たす役割に関し、この5年間で各市町村が取り組んだ対策を見ていきたい。

最低限の電源
 震災発生時、本県は広範囲で停電となり、市民生活に大きな影響が出た。災害時に情報収集や対策を指示する市役所、町村役場も例外でなかった。「通信がダウンして状況把握に苦労した」。当時のことをこう、振り返る行政職員は多い。震災後、各市町村ではパソコンやプリンタなどのOA機器やインターネット、電話が使えるだけの最低限の電源を確保する取り組みが進められた。

 具体的には役場はもちろん小中学校や公民館などにも非常用発電機を設置。再生可能エネルギーの有効活用の動きも相まって役場庁舎の屋根や壁面などに蓄電池を備えた太陽光発電パネルを整備した。通信網を保つ電力は供給できる見込みという。

 建物倒壊や火災など地震による被害が比較的、軽微だった本県には太平洋側の近隣県から多くの人が避難した。県、各市町村は体育館や公民館などの公共施設を開放したが、前例がない避難者数に、受け入れ先は混乱した。

 こうした経験を踏まえ、山形市では15年度、市総合スポーツセンターは大人数収容専用、山形テルサと市民会館は帰宅困難者専用、総合福祉センターは災害ボランティアの活動拠点―などのように分担を決めた。同市の担当者は「災害発生前に機能分担を決めておくことで、管理、運営が円滑に進むと考える」と話している。

(この企画は整理部の松田直樹、報道部の三沢秀樹、安達一智、坂本由美子、近岡国史、三浦光晴、伊豆田拓、酒田支社の田中大、吉見勇希、鶴岡支社の佐々木亨、木村友香理、尾花沢支社の沢幸蔵、米沢支社の橘拓が担当しました)

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