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クマ肉出荷を県内一部解禁・小国 マタギ文化継承に安堵

2016年03月18日 12:34
今月完成した小玉川食肉処理施設。冷凍冷蔵庫などが整備されている=小国町小玉川
今月完成した小玉川食肉処理施設。冷凍冷蔵庫などが整備されている=小国町小玉川
 東日本大震災に伴う原発事故による影響で出荷が制限されていた本県のクマ肉について、政府の原子力災害対策本部は17日、県の申請に基づき、制限を一部解除することを認めた。有害鳥獣駆除として捕獲された個体のうち、放射性物質検査で基準値以下であることが確認された肉のみ出荷を許可するもので、クマ肉では全国で初めて解除された。

 出荷制限が解除されたのは、有害鳥獣駆除を目的に猟友会で組織する「鳥獣被害対策実施隊」が捕獲した個体のうち、特定の食肉処理施設で処理し、放射性物質検査で放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレル以下だったクマ肉。

 県は野生鳥獣の肉について安全を確認するため、2011年10月からツキノワグマ、イノシシ、野ウサギ、キジ、ヤマドリ、カルガモの放射性物質検査を実施。12年4月に上山、米沢両市内で捕獲されたクマから基準値を超える放射性物質が検出され、原子力災害対策本部は同年9月から県内で捕獲されたクマ肉の出荷制限を指示した。

 ただ、出荷制限を解除するには、1カ月間に県内全市町村で3頭ずつ捕獲し、全頭が基準値を下回る必要があった。このように全市町村でクマを捕獲することは現実的に不可能。13年4月20日以降、基準値を超えた個体はないことや、伝統文化であるクマ肉の活用に向け、小国町は解除のための別の条件を求めていた。

 「これまでの活動が実を結んで良かった」。条件付きではあるがクマ肉の出荷制限が一部解除されたことを受け、マタギの里の人たちからは安堵(あんど)と喜びの声が上がった。クマと共に生きてきた小国町小玉川地区では毎年5月、「小玉川熊まつり」が開催されている。これまで目玉の一つである熊汁を提供できずにいたが、今年は4年ぶりに復活する見通しが立った。

 祭りには、熊汁を楽しみに来る人たちが多かったが出荷制限後は年々、来場者が減っていた。高齢化などの影響もあるが、県猟友会小国支部のメンバーはこの4年間で15人から10人に減った。このままでは地域の伝統であるクマを捕り、食べる文化が途絶えてしまうのではないかと、地元の人たちは危機感を募らせていた。

 同支部は出荷制限の解除を求めて昨年3月、1431人分の署名を県に提出。一方、出荷制限の一部解除を見据え、安全性の確保のために必要となる食肉処理施設を整備した。こうした地元住民やハンターたちの取り組みが解除につながった。

 放射性物質検査は、鳥獣被害対策実施隊が捕獲し、同施設に持ち込んだ全頭で実施される。基準値以下であることが条件だが、町内では祭りだけでなく、宿泊施設などでもクマ肉を提供できるようになる。民宿を経営する横山隆蔵さん(52)は「クマ鍋を楽しみにしている宿泊客にやっと食べてもらえる。命を余すことなく食すマタギ文化を継承し、外に発信できる」と喜んだ。

 食肉処理施設を運営することになる小玉川食肉処理施設管理組合の舟山真人組合長は「衛生管理も徹底し、安心して食べてもらえるクマ肉を提供したい」と語った。

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