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魅力発信、努力実った・日本遺産認定

2017年04月29日 09:27
全国の北前船寄港地から約250人が出席し、日本遺産認定を祝った=酒田市・ガーデンパレスみずほ
全国の北前船寄港地から約250人が出席し、日本遺産認定を祝った=酒田市・ガーデンパレスみずほ
 酒田市が7道県11市町で申請した北前船寄港地と、鶴岡市のサムライゆかりのシルクが文化庁の日本遺産に認定されたことを受け、それぞれの地域で喜びの声が上がった。

◆酒田市◆次は世界遺産へ
 酒田市のガーデンパレスみずほでは、全国から寄港地の関係者ら約250人が集い、祝賀会が開かれた。北前船寄港地日本遺産登録推進協議会長の丸山至酒田市長が、受け取ったばかりの認定証を掲げて会場入りすると、出席者から大きな拍手が湧き起こった。

 寄港地交流は、2006年に酒田市内で開催された「北前船コリドール(回廊)会議」が始まりだった。経済や文化が東京に一極集中する一方で地方都市が疲弊していく中、北前船でもたらされた繁栄の歴史に光を当て、再び日本海側を活性化させようと、新田嘉一平田牧場会長と石川好(よしみ)元秋田公立美術短期大学長が提唱。07年には全国の寄港地、行政、経済界の関係者が参加して「北前船寄港地フォーラム」を発足した。これまで約20回、各地で討論会などを重ねる。

 祝賀会で新田会長は「北から南まで、みんなが幸せになる社会にしようという私の提案に、驚くほど多くの方が賛同してくれた。次は世界遺産を目指そう」とあいさつ。来賓らが「10年を超えるフォーラムの活動が認定につながった」などと祝辞を述べた。

 今後は各寄港地がそれぞれの魅力を発信しながら、共同でのホームページの作成、誘客事業など、活性化策を検討していく。

かつて出航時の天候を見た日和山公園の中央には、北前船の模型(縮尺2分の1)が鎮座している=酒田市
かつて出航時の天候を見た日和山公園の中央には、北前船の模型(縮尺2分の1)が鎮座している=酒田市
北前船が運んだ文化
【荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間―北前船寄港地・船主集落(酒田市ほか)】

 江戸、明治時代、北海道から東北、北陸と西日本を結び、日本経済の大動脈だった西回り航路で積み荷を売買した北前船にまつわる遺産。船乗りたちは熟練の操船技術で「板子一枚下は地獄」の嵐を乗り越え、莫大(ばくだい)な富を地域にもたらした。各港町には商家や、港中心の特徴的な町割り、京など遠方に起源がある祭礼、節回しの似た民謡、出航前に天候を見た日和山などが残る。

 日本海側航路の中央付近に位置する酒田には、最盛期は年間2500隻もの船が寄港し、花街も栄えた。本間家本邸や旧鐙屋(あぶみや)、相馬樓(ろう)などが遺産群。

◆鶴岡市◆保存継承に一丸
 3度目の申請で日本遺産認定を手にした鶴岡市の絹文化。松ケ岡開墾場を中心に点在する文化財を物語でつないでおり、外国人も引きつける魅力があると評価された。地元住民や関係者が一丸となり、歴史や伝統の保存継承に取り組んできた努力がようやく実った。

 旧庄内藩酒井家18代当主の酒井忠久致道博物館長(71)は「関係者の頑張りが認められた。松ケ岡地区は柿や桃などを栽培しており、食と歴史、シルクを発信する拠点にしたい」と話した。山田鉄哉松ケ岡開墾場理事長(70)は「蚕室は相当古く、修復してもすぐに別の箇所が壊れるなど苦労しながら維持してきた。全国的に認知されてうれしい」と喜んだ。

 絹文化を学び、ドレス製作などに取り組む鶴岡中央高シルクガールズの3年高村里紗代表(18)は「シルクは布の優しい風合いが良い。今年は草木染に挑戦しており、新たな魅力を引き出したい」と語った。「産地として大きなインパクトになる。鶴岡産シルクのブランド価値も上がるはず」と氏家昇一鶴岡織物工業協同組合理事長(70)。酒田市で製糸業を手掛ける松岡の社長でもあり、「国内産繭の生産が減り厳しい状況だが、この地のシルクの火を消さないよう続けていきたい」と決意を述べた。

庄内藩士が開拓し、絹産業発展のきっかけとなった松ケ岡開墾場。蚕室5棟が現存しており、絹の歴史を紹介する記念館やイベントなどに活用されている=鶴岡市羽黒町松ケ岡
庄内藩士が開拓し、絹産業発展のきっかけとなった松ケ岡開墾場。蚕室5棟が現存しており、絹の歴史を紹介する記念館やイベントなどに活用されている=鶴岡市羽黒町松ケ岡
日本最北の絹の産地
【サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ(鶴岡市)】

 庄内藩士が1872(明治5)年に開拓した松ケ岡開墾場(鶴岡市)をきっかけに、日本最北の絹産地に発展した庄内地域。蚕室群が現存し、養蚕から織物まで一貫生産できる国内唯一の地であり、絹産業の歴史や文化を継承するとともに新たな価値創出に取り組んでいる。

 遺産群は同開墾場のほか、▽養蚕が行われていた多層民家▽明治時代の釜を使い、絹織物の精練などを手掛ける羽前絹練▽財政面で絹産業を支えた風間家の旧宅丙申堂―といった鶴岡市内の関連施設で構成され、日本の近代化を進めた原風景を体感できる。

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