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【駅伝】熱走305.4キロ、その差18秒 第62回県縦断駅伝最終日

2017年04月30日 15:36
最終区で酒田・飽海の鈴木亮平(右、法大)が先頭を走る南陽・東置賜の伊藤翼(左、高畠町役場)に並び、その後に突き放す。中央は山形の籾山雄介(JAF山形支部)=上山市
最終区で酒田・飽海の鈴木亮平(右、法大)が先頭を走る南陽・東置賜の伊藤翼(左、高畠町役場)に並び、その後に突き放す。中央は山形の籾山雄介(JAF山形支部)=上山市
 第62回県縦断駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会など主催)は最終日の29日、長井―山形間の8区間、80・2キロでレースが行われ、南陽・東置賜が4時間13分40秒で2位となり、3日間合計タイムを16時間19分52秒として、6年連続の総合優勝を飾った。この日のレースは酒田・飽海が4時間12分30秒の大会新記録で制したが、合計では16時間20分10秒で2位となった。酒田・飽海の各日優勝は、2010年の第56回大会の最終日以来となる。

 最終日は山形が3位でゴールし、天童・東村山が4位、長井・西置賜が5位、上山が6位となった。以降は北村山、寒河江・西村山、新庄・最上、鶴岡・田川、米沢の順でフィニッシュした。総合順位では3~5位が最終日順位と同じ。6位が寒河江・西村山、7位が北村山、8位が新庄・最上、9位が鶴岡・田川、10位が上山、11位が米沢だった。

 この日は区間新記録が三つ出て、今大会を通じた区間記録更新は12となった。

 【評】南陽・東置賜は第2日までつくった1分28秒のリードが生きた。最終日は酒田・飽海との総合トップ争いが緊張感を帯び、前に位置して迎えた最終29区で逆転されたが、粘りを見せ総合リードを守った。酒田・飽海は若手を中心に猛追も、総合タイムでは届かず涙をのんだ。山形は終盤に一時、1位に押し上げた爆発力が光った。地元入りの上山はエース級を複数投入しこの日6位。一方で同じく地元を走った米沢は浮上できなかった。

自分たちには力がある
 酒田・飽海 阿部亮監督 今大会に出場できなかった大学生もいる中、実業団の選手が多い南陽・東置賜を相手にこれだけの勝負ができたのは、自分たちに力があるということ。来年、またチャレンジしたい。

一騎打ちの結末、最後まで見えず
 わずか18秒差で決したドラマだった。第2日を終え、合計タイムの差は1分28秒。総合順位争いでリードする南陽・東置賜と追う酒田・飽海の一騎打ちは、最後の最後まで結末が見えなかった。最終日のゴールに先に飛び込んだのは酒田・飽海だった。それでも2位の南陽・東置賜が総合タイムで上回り、辛くも総合6連覇をつかんだ。

 流れが動いたのは高校生区間。前を行く南陽・東置賜を酒田・飽海が追い上げた。25区(上郷―亀岡)の荒生実慧(酒田南高)が区間新記録の快走。その後、一般区間の27区(高畠―南陽)で南陽・東置賜の大津吉信(中央学院大)が区間トップタイムで巻き返す。山形も絡み抜きつ抜かれつの先頭争いが繰り広げられた。

 そして迎えた最終29区(上山―山形)。南陽・東置賜の伊藤翼(高畠町役場)が先頭の山形をとらえ、視界が開けた直後だった。猛然と追い掛けてきた酒田・飽海の鈴木亮平(法大)が、伊藤の横に付いた。上山中継所で40秒近くあった差を詰めていた。伊藤は離されまいと対抗。だが、この日の鈴木のスピードは“別次元”。足の運びは力強く、引き離して独走した。

 総合Vを巡る戦いはここからだった。前日までのタイム差「1分28秒」を守りきれるか、詰められるか―。

 監察車の指示は熱を帯びた。酒田・飽海の阿部亮監督は「1分28秒しっかり行こう」、南陽・東置賜の小野正晃監督は「残り3キロ、あと30秒」。ある者には遅く、ある者には早く時間が流れる中、鈴木が拳を握り締めてフィニッシュした。ラストスパートをかけた伊藤が姿勢を崩しながらもゴールに駆け込んだのは、その1分10秒後。トータル305.4キロ、29区間でたすきをつないだ戦いは、秒差で決着した。

総合優勝の南陽・東置賜、これが駅伝―常勝軍団に火
 南陽・東置賜は総合6連覇するも、完全優勝は飾れなかった。ゴール直後、責任を感じ、アンカー伊藤翼(高畠町役場)は涙した。その頭に手を置いて慰めた小野正晃監督。「最終日に負けたことは良かったのかもしれない。このままでは駄目だと思えた」。“常勝軍団”には悔しさが漂うが、新たな一歩のきっかけとなった。

 総合タイムの差が1分28秒しかないという共通認識。これが選手の粘りにつながった。序盤から酒田・飽海に先行するレースプランだった。23区(川西―米沢)の渡辺清紘(NDソフト)が先陣を切った。「酒田・飽海の位置を気にした」と、2位でたすきを受け、ハイペースで突き進んだ。ライバルとの総合タイム差を3分超まで広げてみせた。

 中高校生区間後、27区(高畠―南陽)を区間1位で走った大津吉信(中央学院大)は「(後半につなぐ)大事な区間。どれだけ差を付けるかだけを意識した」。28区(南陽―上山)の大谷克(南陽市役所)は、腹痛に顔をゆがめながらも足を前に運び続けた。最終29区(上山―山形)の伊藤は先着を許したが、最後は自らを奮い立たせてスパートをかけ、酒田・飽海の総合優勝を水際で阻んだ。王者らしさはなかったかもしれない。だが思いはつないだ。「これぞ、駅伝だと伝わったはずだ」(小野監督)。

 過去3年間、3日間いずれも優勝してきたチームにとって、今大会の酒田・飽海はレースを楽しくしてくれた存在。そして危機感も強まった。「さらに強化してくるだろう」と小野監督。伊藤は「火が付いた。みんなでレベルアップしたい」。次回の栄冠をつかむため、落ち着く暇はない。

最終日Vの酒田・飽海、来年こそ―一層たくましく
 トップでゴールテープを切った直後、酒田・飽海の阿部亮監督は感極まって涙を流した。中高校生、大学生、社会人の全員が力を発揮し、手繰り寄せた最終日優勝。「選手たちは我慢して戦って成果を出してくれた」。総合優勝にわずか届かなかった無念さもある一方で、南陽・東置賜の後塵(こうじん)を拝し続けた昨年までとは違う姿をしっかりと見せた。

 3位でたすきを受けたアンカー鈴木亮平(法大)。見据えていたのは先行するランナーだけではなかった。前日までに南陽・東置賜につけられた総合タイム差という“見えない敵”に集中し、「十分に総合優勝できると思っていた」。今年の箱根駅伝にエントリーされた実力者は、猛烈な追い上げで2人を捉え、一気に独走態勢に入った。

 プラン通りのレース運び。ただ誤算は残り5キロにあった。「43分ぎりぎりぐらいのタイムを狙っていたが、風が強くて伸びなかった」。優勝の喜びを爆発させた直後に目の当たりにしたのは、総合王者の座を死守した南陽・東置賜の歓喜の瞬間。「本当に悔しい」と唇をかんだ。

 ただ、大会を通してみればチームとして十分に胸を張れる。「去年までだと2日目が終わった時点で『勝負あり』だった。チャレンジして最後にトップでゴールできたのは大きかった」と阿部監督。若手は奮闘し結果と自信を手にした。高校生区間の25区(上郷―亀岡)の荒生実慧(酒田南高)が新記録の力走。中学生区間の26区(亀岡―高畠)で1位タイムの阿部真珠(酒田東部中)は「一人が1秒でもタイムを詰めれば王者を下すことができた。来年につなげたい」と力を込めた。苦さも残る経験がチームをさらに強くする。

山形の27区高橋拓海(左、山形大)からたすきを受け、勢いよく駆けだす28区森谷修平(山形市役所)=南陽中継所
山形の27区高橋拓海(左、山形大)からたすきを受け、勢いよく駆けだす28区森谷修平(山形市役所)=南陽中継所
プラン通り山形総合3位
 山形は最終日、終始安定したレース運びを見せ、総合順位と同じ3位でフィニッシュ。阿部和幸監督は「昨年は二つの区間でミスがあり悔しい思いをした。今年は大きなブレーキがなく、3日間とも先頭争いができた」とプラン通りの展開にうなずいた。

 輝きを見せたのは28区(南陽―上山)の森谷修平(山形市役所)。4位でたすきを受け取ると、序盤に難所の鳥上坂が待ち受ける重要区間で果敢に攻め、区間記録にあと4秒に迫る快走で一気にトップに躍り出た。それでも「新記録を取りたかった」と悔しそうな表情を見せ、エースの自覚をのぞかせる。森谷は大会初日の1区(遊佐―酒田)でも飛び出し、チームの1位スタートを飾っている。その高い実力を最終日もいかんなく発揮し、再び見せ場をつくった。

 また、最終日のスタートとなる22区(長井―川西)では、森優太(順大)が区間3位と好走。「他の選手のペースをうまく利用し、上位集団に食らい付けた。終盤で粘れなかったのが課題」と、冷静にレース状況を分析。若い実力者が存在感を示した。

 チームが今大会に掲げた目標は総合2位以内。あと一歩届かなかったが、選手たちは地力の高さを示した。今後の目標達成に向け、視界は良好だ。

天童・東村山の26区秋保松平(左、天童三中)が25区東海林雄斗(東海大山形高)からたすきを受け走り出す=亀岡中継所
天童・東村山の26区秋保松平(左、天童三中)が25区東海林雄斗(東海大山形高)からたすきを受け走り出す=亀岡中継所
天童・東村山あと一歩、総合4位に「満足できない」
 第2日までの合計タイムで3位山形との差は1分50秒。射程圏だったが、あと一歩が遠かった。トップ3を狙って最終日に臨んだ天童・東村山。選手が力走するも上位との差は広がり、総合4位にとどまった。「流れに乗れなかった」。中村展人監督の言葉に悔しさがにじんだ。

 好機はあった。主将の遠田将人(天童市役所)は10位で受けた23区(川西―米沢)で、痛む脚を懸命に前に出し6位でリレー。その後7位に落としたが、中学生区間の26区(亀岡―高畠)で秋保松平(天童三中)が2人を抜き、区間3位のタイムで駆け抜けた。

 一方、順位を上げても、上位3チームと競り合う場面には持ち込めなかった。最終的に合計タイムは山形と6分21秒差まで開いた。3日間を通じて大きく崩れることはなかったが「満足はできない」と遠田も秋保も口をそろえる。「全力の相手に、うちは実力を出し切れなかった」と指揮官。主将は「個々の力を引き上げ、来年は結果を出す」と前を向いた。

長井・西置賜総合5位、起爆剤はオンサリゴ
 総合5位に食い込んだ長井・西置賜。起爆剤はやはりジョセフ・オンサリゴ(那須建設)だった。13キロの22区(長井―川西)で後続を1分23秒引き離す区間新記録で1位スタート。最終日のたすきリレーに勇気を与えた。

長井・西置賜の22区ジョセフ・オンサリゴ(左、那須建設)が区間記録を更新するタイムで23区中津川遥也(東北福祉大大学院)にリレーする=川西中継所
長井・西置賜の22区ジョセフ・オンサリゴ(左、那須建設)が区間記録を更新するタイムで23区中津川遥也(東北福祉大大学院)にリレーする=川西中継所
 南陽・東置賜から新加入し大会初日も区間新。レース後は「うれしい」と柔和な笑顔だが、走りは圧倒的だ。長井・西置賜のメンバーは刺激を受け、引っ張られるように力を出した。たすきを受けた23区(川西―米沢)の中津川遥也(東北福祉大大学院)は踏ん張り2位とし、「一人だけに頼ってはいけない気持ちがメンバーに広がっている」。

 今後を期待されるホープも力走し、26区(亀岡―高畠)で区間1位の志釜璃久(長井南中)は「後半に粘りを発揮できた」と誇った。オンサリゴが順位を押し上げる力になり、他選手は自覚と自信を得る―。長井・西置賜の今後が楽しみになってきた。

総合6位寒河江・西村山、若い力成長
 若手の成長が頼もしい。寒河江・西村山は総合順位は6位。吉見政俊監督は「この日は序盤の速い展開に出遅れたが、選手全員でその遅れを埋めることができた」とチーム力を評価した。

上郷中継所に駆け込む寒河江・西村山24区の木村快斗(陵南中)=米沢市
上郷中継所に駆け込む寒河江・西村山24区の木村快斗(陵南中)=米沢市
 24区(米沢―上郷)の木村快斗(陵南中)は、初出場ながら安定感のあるフォームで力走し、順位を維持した。「声援の中で走るのは楽しかった。緊張したが、その中で全力を出すことができた。もう少しタイムを上げたかった」と、次への意欲を燃やす。

 吉見監督は「若手の実力もしっかりしている。総合5位の長井・西置賜との差を48秒まで縮めたことは、一つ上の順位が現実的だということ」。来年へ手応えをつかんだ大会だった。

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