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「ソシュウ」あの熱気 閉店したキャバレー、山形の渡辺さん取材

2017年05月18日 09:18
著書を手にする渡辺大輔さん=山形市小姓町
著書を手にする渡辺大輔さん=山形市小姓町
 高度経済成長期、山形の夜を彩りながらも、時代の流れにあらがえず閉店したグランドキャバレー「ソシュウ」。オープンから60年の節目に合わせ、山形市小姓町で料理店を営む渡辺大輔さん(36)が、当時の店関係者や客ら約40人への取材を基に「キャバレーに花束を」を出版した。100人超のホステス、大物歌手のショー、そして舞台裏…。「ソシュウを知らない人たちが当時の熱量に触れ、奮起するきっかけになれば」と語る。

 遊郭街だった小姓町に1957(昭和32)年5月16日にオープン、84年まで営業したソシュウ。ピークには100人以上のホステスが客を迎え、淡谷のり子、欧陽菲菲などそうそうたるスターがショーで登場した。訪れるのは社長や役人、文化人。大人の社交場で、接待でもよく使われ、人々の憧れの場所だった。

 ソシュウがあったのは渡辺さんの店から数十メートル南。「体育館二つ分くらいの大きさがあったそうです」。渡辺さんは今はコインパーキングになっている跡地を指さしながら説明する。

 同市出身の渡辺さんがソシュウを知ったのは2011年春、料理店を開いて間もなくのこと。あまりに客が来ないため店の外に出てみると、街自体、だれも歩いていない。近くのスナックのマスターが「(今は)小姓町は静かでだめなんだ」と言いながら、ソシュウがあったころの街の活気を教えてくれたという。

 現在の市内の繁華街からは想像もできず、現実感がなかった。その後も店を訪れる年配の客が決まり文句のように、誇らしげにソシュウのことを話すのを聞くうちに興味が湧き、昨年2月、同市のセブンプラザでグランドキャバレー再現イベントを開いた。

 イベントを機に、渡辺さんに当時の情報が集まるようになった。もともと作家を志していたこともあり、「ソシュウを知る人が健在のうちに本にまとめたい」という思いが芽生えた。仲間と共に、当時のホステスやボーイ、初代支配人の娘、通い詰めた客など、ソシュウに関わった60代から80代の約40人を取材した。

 著書は、24人の証言という形でソシュウの誕生から終わりまでと、華やかさの裏にある人間ドラマをつづっている。「ミス京都」の通り名で人気を集めた新庄出身の元ホステスは「店は連日満席で、在籍ホステスは200人を超えていた」と絶頂期の熱気を話し、ホステスの身の上話を聞いた客の男性は「華やかさと悲しさが入り混じったような空間にすっかり魅入られていた」と振り返る。

 接待需要が減り、店自体が大衆化する中、終わりが近づくさまを肌で感じていたホステスらの話からソシュウの舞台裏も垣間見られる。今日より明日が良くなると信じていた時代の象徴とも言える「ソシュウ」。渡辺さんは「そのパワーに触れてほしい」と話す。

 140ページ、1382円。山形市内の書店などで取り扱っている。問い合わせは渡辺さん023(665)4290。

オープン当時のソシュウ(「キャバレーに花束を」より)
オープン当時のソシュウ(「キャバレーに花束を」より)

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