県内ニュース

地元に刻んだ「強豪谷地」 男女4種目制覇

2017年08月11日 08:45
 全国高校総体夏季大会「南東北インターハイ」は第14日の10日、山形、宮城、福島の3県で行われ、県勢はカヌースプリント200メートルで、男子カヤックシングルの佐藤旭をはじめ、谷地勢が計4種目で頂点に立ち、入賞は14を獲得した。500メートルと合わせて優勝7、準優勝4、入賞28の活躍。学校対抗では2014年以来、3年ぶり2度目の男女優勝を成し遂げた。

 男子カナディアンペア(荒木岳樹、伊藤真大)と女子カヤックフォア(佐藤友香、中村天音、吉田奈未、中村静玖)はそれぞれ500メートルと合わせて2冠。男子カヤックフォア(設楽勝太、小野隼人、佐藤旭、鈴木海渡)は500メートル2位の雪辱を果たした。

 男子カナディアンフォア(荒木、斎藤翼、小林雄飛、伊藤真大)は準優勝。

〈カヌー男子スプリント・カヤックフォア200メートル決勝〉力を出し切り笑顔を見せた谷地(左から小野隼人、設楽勝太、鈴木海渡、佐藤旭)=西川町・月山湖カヌースプリント競技場
〈カヌー男子スプリント・カヤックフォア200メートル決勝〉力を出し切り笑顔を見せた谷地(左から小野隼人、設楽勝太、鈴木海渡、佐藤旭)=西川町・月山湖カヌースプリント競技場
【ハイライト】男子K4・執念「やっと勝てた」
 カヌー男子カヤックフォア200メートル決勝は、谷地が2日前の同種目500メートルで敗れた隣県のライバルを下し、頂点に立った。両日とも僅差の激戦。「やっと勝てた」(佐藤旭)。執念の勝利に4人の表情は充実感に満ちていた。

 先の500メートルは、首位の中新田(宮城)に0秒779差で惜敗。この日、4人は一つの思いに燃えた。「200こそは」。スタートダッシュを決めた設楽勝太は「いつも以上の力を出した」とこん身のパドリング。後半に疲れが出たが、それを感じ取った後ろの鈴木海渡がラストの粘りで支えた。2位中新田との差は0秒411。みんなが人さし指を大きく突き上げ、雄たけびを上げる中で、感極まった小野隼人は顔を覆った。艇を下りた3人が駆け寄り、肩を抱いた。

 3年生の佐藤と鈴木、1年生の設楽と小野のチーム。学年差はあるが、鈴木は「上下関係はあまりない」と語る。小野も「言うべきことは先輩にでも言う」。互いをアスリートとして尊重し、高め合ってきた。1年生の2人は、この精神を受け継いでいく。「来年は全て優勝する」「圧倒的な差で勝ちたい」。勝ってなお貪欲に。谷地が強豪たる礎がここにある。

〈カヌー男子スプリント・カヤックシングル200メートル決勝〉終盤、相手と競り合う佐藤旭(谷地)
〈カヌー男子スプリント・カヤックシングル200メートル決勝〉終盤、相手と競り合う佐藤旭(谷地)
男子K1佐藤、有終男泣き―「頑張ったかいがあった」
 直感で負けたと思った。しかし、場内アナウンスで最初に聞こえたのは自分の名前。「うそだろ」―。カヌー男子カヤックシングル200メートルで、谷地の佐藤旭はIH初のタイトルをつかんだ。「今まで頑張ったかいがあった」と万感の表情だ。

 レース前、シングルの後に控えるフォアのことばかり考えていた。「シングルは勝てるかどうか不安が大きかった」。胸が苦しくなるほどの緊張。ほぐしてくれたのは、意外にも他選手のフライングだった。張り詰めた糸が緩み、気負いがなくなった。レース順番が変更され、30分後に仕切り直し。優勝候補と意識していた八橋巧(福岡・三潴)と並んでフィニッシュ。直後は喜ぶことができず、勝利は半信半疑だった。実感はゆっくり込み上げた。

 1、2年時はIHに出場すらできず悔しい思いをした。今大会で佐藤は同フォアでも優勝し、最終学年で2冠を達成。最初で最後のインターハイは、うれし涙と一緒に素直な気持ちがあふれ出た。「良かった。とにかくうれしい」

〈カヌー女子スプリント・カヤックフォア200メートル決勝〉優勝しガッツポーズを見せる谷地(左から佐藤友香、中村天音、吉田奈未、中村静玖)
〈カヌー女子スプリント・カヤックフォア200メートル決勝〉優勝しガッツポーズを見せる谷地(左から佐藤友香、中村天音、吉田奈未、中村静玖)
【ヒロイン】女子K4・心一つ「出し切った」
 カヌー女子カヤックフォアのレース前。谷地(佐藤友香、中村天音、吉田奈未、中村静玖)の4人はがっちりと円陣を組んだ。佐藤と中村天が出たシングル、4人全員が出場したペアはいずれも3位が最高で、頂点に届かなかった。「優勝するぞ」。心を一つにこぎ出した。

 スタートの合図とともに的確に水を捉え、矢のように湖面を伸びた。トップスピードに乗せる技術に秀でた佐藤、パワフルでスタートのうまい中村天、双子の妹で巧みにリズムを合わせる中村静、力強いパドリングで推進力を生む吉田。持ち味を結集した42秒間のパフォーマンス。ペアで優勝した不来方(岩手)に0秒308の差で先着した。500メートルとの2冠、そして佐藤と中村天にとっては昨年に続く優勝だ。

 シングルで高校トップクラスの力を持つ佐藤は「力は出し切った。今後のことは何も考えられない」。個人種目では勝てずに涙を流したが、きっちり上位に食い込み、学校対抗優勝に貢献した。「(佐藤に)引っ張ってもらった」(中村天)。その姿は紛れもなくエースだった。

 唯一の2年生の吉田は、3年生3人と組んだ試合や練習の日々を「技術を盗めたし、試合へのムードの高め方など学ぶことが多かった」と振り返る。そして「来季は自分が引っ張らないと」。強豪の魂を受け継ぐ覚悟だ。

〈カヌー男子スプリント・カナディアンペア200メートル決勝〉ラストスパートする谷地の荒木岳樹(左)と伊藤真大
〈カヌー男子スプリント・カナディアンペア200メートル決勝〉ラストスパートする谷地の荒木岳樹(左)と伊藤真大
男子C2信じ合って平常心―「勝てる。声援が思わせてくれた」
 自分を信じ、仲間を信じ、夢中でこぎ切った。500メートルと合わせて2冠を達成したカヌー男子カナディアンペアの谷地。荒木岳樹と伊藤真大は、今までやってきたことをやれば勝てると確信していた。「仲間や先輩、地元の声援がそう思わせてくれた」と感謝した。

 距離が短い分、全力でこぎ続ける体力と勢いが求められる200メートル。他県の選手に比べ小柄な2人はパドルを水に入れる角度、体の使い方など細かい技術を磨いてきた。「いつも通りやれば大丈夫」。スタート前、互いに確認し合い平常心で挑んだ。序盤からスピードに乗り、他チームをリード。「絶対勝つという気合が乗っていた」と芦野貴士監督も納得のレースだった。

 続くフォアでは「この勢いを生かす」と荒木。2日前の500メートルは序盤に艇に水が入り8位だった。悔しさをばねに、終盤にバランスを崩しながらも2位に食い込んだ。しかし、そこに喜びはなく、レース後の斎藤翼や伊藤は泣き崩れた。2年生3人は、IH最後のレースとなる3年の小林雄飛に「何とか金メダルを掛ける」と誓っていたからだ。

 そんな後輩に小林は「こんなに自分を思っていてくれたのか」と感謝し、「悔いはない。来年につないでほしい」と、果たせなかった思いを託した。「必ず自分たちが果たす」。3人が誓った。

関連写真

  • 〈カヌー女子スプリント・カヤックシングル200メートル決勝〉力強いパドリングで3位に入賞した谷地の佐藤友香
  • 〈カヌー男子スプリント・カナディアンフォア200メートル決勝〉パワフルなパドリングで準優勝した谷地(左から荒木岳樹、斎藤翼、小林雄飛、伊藤真大)

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

週1回配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2017年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2017年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から