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【2017衆院選】戸惑いの決戦(2) 農政―振り回され未来憂う

2017年10月13日 08:20
日々忙しく牛の肥育に励む矢久保翔さん。「大切なのは選挙後にどういった政策をするかだ」と注文を付ける=長井市
日々忙しく牛の肥育に励む矢久保翔さん。「大切なのは選挙後にどういった政策をするかだ」と注文を付ける=長井市
 稲穂が揺れる水田地帯を候補者名を連呼しながら選挙カーが走り去っていった。くしくも今回の総選挙は本県主要農産物の収穫期と重なった。多くの農家は田んぼや果樹園で選挙カーを目にし、マイクから流れる候補者名を聞いている。村山市の富並地区で刈り取り前の水田を見ていた農家高橋利男さん(68)はつぶやいた。「今後も安定してコメ作りを続けていくことができるのか…」

 前回総選挙では環太平洋連携協定(TPP)をはじめとする「農政」が大きな争点となった。今回は消費税増税や外交・安全保障、改憲などが目立ち、農政は陰に隠れている。

 高橋さんの田んぼは今夏の日照不足などが影響し、1週間ほど稲の生育が遅れていた。思わずつぶやいてしまったのは生育の心配ばかりでなく、近年、変化が激しい国のコメ政策に対する不安があった。

 戸別所得補償制度が導入されたかと思えば政権交代を経て、2018年産から主食用米の生産調整(減反)が廃止されることになった。高橋さんはこれまで交付金で賄ってきた農機具の更新といった設備投資が難しくなることなどを予想し「経営に大きな打撃になり得る」と悩む。

 それでも、生産したコメの一部を輸出し、新たな販路開拓に挑戦するなど、長男と共に稲作継続へ前を向く。「頑張っている農家をしっかり支援しようとしている候補者、政策、政党を見極めたい」。そんな思いを1票に託すつもりだ。

 TPPが主要争点となった前回総選挙では、牛の肥育農家が大きな関心を持って推移を見守っていた。長井市内で最多となる約90頭の米沢牛を肥育する矢久保翔さん(24)も、その一人だった。

 たった3年でTPPを取り巻く状況は大きく変化した。「米国が抜けて当時とは状況が変わったこともあるが、今回は話題にすらなっていない」と今回の選挙戦を皮肉る。「(TPPは)仕方なく入った感じもあるが、肥育農家としては反対。もう一度議論し、見直してほしい」と注文を付けた。

 「子牛を仕入れる時の補助を手厚くしてほしい」と訴えるが、「正直、どこが与党になっても現状は変わらないと思う」と諦めものぞかせる。各党とも公約に並ぶのは聞き心地の良い言葉ばかりと感じる。「大切なのは選挙後にどういった政策をするかだ」と訴えた。

 「平年並みの収量になりそうだ」。収穫が迫るラ・フランス園地を見回っていた高畠町三条目の佐藤尚利さん(39)は笑みを見せた。9月の台風による落果は1割程度にとどまり、胸をなで下ろした。

 国は農家の大規模化を推し進めている。「効率性だけを求めた先に農家の幸せはあるのだろうか」。佐藤さんは危ぶむ。

 一方で補助金頼みの農業とは「決別すべきだ」と断じた。「保護がないと成り立たないなら農業に未来はない」。農政が争点に上がらないことに寂しさは感じるが「国に振り回されるのはもういい。農家自身が農業の魅力を高めなければ」と言葉に力を込めた。

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