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国際標準へ“顔”変わる県産ワイン 新表示基準に合わせ発展的刷新

2017年11月12日 10:49
ワイン表示の新ルールに伴い、タケダワイナリーでは「蔵王スター」を「タケダワイナリーシリーズ」へと刷新する=上山市
ワイン表示の新ルールに伴い、タケダワイナリーでは「蔵王スター」を「タケダワイナリーシリーズ」へと刷新する=上山市
 国税庁は、国産ワインのラベル表示について新たなルールを設定し、銘柄として地域名などを表記する場合は、ブドウの産地や醸造場の所在地に限るなど、消費者に分かりやすい表記を義務付ける。県内の各ワイナリーも対応を求められ、長年親しまれた地域銘柄を変更するケースもある一方、産地名の厳格化により、全国的に評価が高まっている県産ワインにとって、ブランド化の好機ともなりそうだ。

 県内13ワイナリーが加盟する県ワイン酒造組合の大沼寿洋理事長(月山トラヤワイナリー社長)は「輸入果汁利用ワインと差別化でき、消費者の誤認も避けられる。総論としては大歓迎」と受け止める。一方で「既存ブランド名が使えなくなるケースが出るのは思惑違いだった」と明かす。ただ現場に大きな混乱はなく、各社とも1年後に迫った適用を見据え、準備を進めている。

 タケダワイナリー(上山市)は新ルールに先駆け、今シーズンから主力ブランド「蔵王スター」を「タケダワイナリーシリーズ」に改名する。蔵王スターの原料は上山、天童両市産ブドウ。年間約12万本を出荷している。ただ、国から「天童は蔵王に含まない」と指摘され、「蔵王」を冠するには産地基準を満たさないと判断した。

 ブドウの産地を上山、山形両市に限れば、引き続き「蔵王」の名は使えた。だが岸平典子社長は「天童市の農家とは約100年の付き合い。絆を捨ててまで仕入れ先を切り替える選択肢はない」と言い切る。「農業を守り、大きくするのがワイナリーの役目」との信念を貫いた。「前向きな発展的刷新」と岸平社長。

 多くのワイン好きに親しまれてきた「蔵王スター」だけに、名前の変更を残念がる声も出た。だが、これを機に品質改善に向けた提案が従業員からあり、容量も国際標準の750ミリリットル入りに変更した。岸平社長は「ラベルはワインの顔で少し寂しさはあるが、化粧直しのようなもの。中身は当社のワインで変わらず、品質は毎年改善している。新たな挑戦のチャンス」と前向きだ。

 他ワイナリーも対応を急ぐ。「原料は鶴岡市産で、醸造地は鶴岡市。表示に特別な変更はない」とはJA庄内たがわ月山ワイン山ぶどう研究所(鶴岡市)。ラベルに「月山山麓」と表記する月山トラヤワイナリー(西川町)は、月山山麓が醸造地であることを表示する。「天童ワイン」を展開する天童ワイン(天童市)は、社名として明記する方向で検討中だ。

 新ルールには、日本ワインのブランド力を高め、海外輸出を後押しする狙いがある。しかし、本県は全国4位のブドウ産地ながら、ワイン製造に十分な収穫量には届いてないのが現状で、輸出による恩恵は限定的だ。大沼理事長は既に定着した名称、表示の変更は「大きな覚悟が必要」としつつ、「将来を見据え、この機会を山形ワインの飛躍につなげたい」と話した。

◇ワインの新表示基準 国内で収穫されたブドウのみを原料とし、国内で製造された果実酒を「日本ワイン」と表示するルール。大きく三つのパターンがあり、例えば新庄市で収穫したブドウを85%以上使い、新庄市内で醸造すれば「新庄ワイン」と表示できる。新庄など地名が示す範囲内のブドウを85%以上使った場合は「新庄産ぶどう使用」と表示可能。新庄市以外で収穫したブドウを使い、醸造が新庄市内のケースは「新庄醸造ワイン」とした上で「新庄はぶどう収穫地ではない」などの表記が必要となる。これまで公的基準がなく、新基準は純国産の保護と分かりやすい表示普及が目的。来年10月30日出荷分から適用される。

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