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アンカー猛然、山形奪冠 県女子駅伝

2017年11月20日 10:11
山形の田中幸(スポーツ山形21、左)が5区で一気に2人を抜き去りトップに立つ=山形市
山形の田中幸(スポーツ山形21、左)が5区で一気に2人を抜き去りトップに立つ=山形市
 県内11チームが上山市本庄地区公民館前をスタートし、山形市の山形メディアタワー前をゴールとする5区間20.5キロで競うヤマザワカップ第34回県女子駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会主催)は19日に行われ、山形が総合タイム1時間8分3秒で3年ぶり15度目の優勝を果たした。

 山形は1区で3位に食い込むと、2区で2位に浮上し、3、4区は3位をキープしてリレーした。最終5区はエース田中幸(スポーツ山形21)が区間賞の快走で2人を抜いてトップに立ち、独走した。

 酒田・飽海は3区和賀楓(酒田四中)が区間賞の走りを見せるなど常に上位のレース展開だったが、最終区で山形に逆転を許した。5区で2人をかわした南陽・東置賜が3位、2~5区途中までトップで好走した上山は4位に入った。5位は鶴岡・田川、6位は寒河江・西村山だった。

 【評】山形はエース田中がアンカー勝負で2人抜きの好走を見せ、地力の高さを示した。2位の酒田・飽海は各年代トップクラスの人材を擁し、安定感のあるレースで常に上位をキープ。南陽・東置賜は1区区間賞の長沢、5区で2人をかわした安部と山形城北高勢の力走が光った。

【ハイライト】今回で「卒業」の田中、有終の美
 舞い続けた小雪はいつの間にかやんでいた。山形のアンカー田中幸(スポーツ山形21)は猛然と駆け出した。1.6キロすぎ、先行する上山と酒田・飽海を一気に捉える。酒田・飽海の今野まどか(酒田市陸協)の視線は一瞬、田中に向けられたが、鬼気迫る表情の田中は前だけを見据えていた。

 「出場10回目の今回を区切りに県女子駅伝は『卒業』しようと決めていた」。レース後、田中は今回の走りに込めた思いを明かした。上山と41秒差、酒田・飽海とは17秒差でたすきを受けた。「追われるより、追う展開が好き。2大会連続で優勝を逃していて、今年勝てなければいつ勝てる」

 マラソン挑戦に向け、体の軸がぶれない腕の振りを目指してフォームを改造するなど、いまだ進化を続ける本県長距離界の第一人者。圧倒的な走りの29歳は、2位に35秒差をつけて歓喜のゴールに飛び込んだ。「この大会に成長させてもらった。全てを出し切った」と、あふれる涙をぬぐう田中。鈴木泰子監督は「有終の美の走りが見られてうれしい」とたたえた。

 山形は3年ぶりの頂点。1区岸汐理(東海大山形高)が区間3位、2区川田愛佳(同)が区間2位と高校トップレベルの実力を示し、中学生の狩野琉姫(山形四中)、村山彩華(同)も3位を維持する粘りで逆転勝利につなげた。来年のレースは「田中抜き」になる。1年生の川田は「もっと積極的な走りができるように力をつけたい」と語り、鈴木監督は「チームを一からつくり直す。今日がそのスタート」と宣言した。

プラン通りのレースできた
 鈴木泰子山形監督の話 やっと頂点に返り咲くことができた。1、2区で流れをつくり、中学生がつないで5区の田中に託すというプラン通りのレースができた。田中が(県女子駅伝では)ラストランとなるのは残念だが、最後に素晴らしい走りを見ることができてうれしい。

酒田・飽海の2区伊藤夏織(酒田市陸協、左)が3区和賀楓(酒田四中)にたすきを渡す=第2中継所
酒田・飽海の2区伊藤夏織(酒田市陸協、左)が3区和賀楓(酒田四中)にたすきを渡す=第2中継所
【スポット】酒田・飽海、完敗2位―上位維持の展開も「貯金」足りず
 3連覇を狙った酒田・飽海は、1区から上位をキープするほぼ思惑通りの展開だった。しかし、山形の追い上げは想像を超えていた。アンカーまでの“貯金”が足りなかった。住石智也監督は「もう少し見せ場をつくりかった。完敗です」。選手の力走をたたえながらも悔しさが上回った。

 昨年も好走した和賀楓(酒田四中)や今野まどか(酒田市陸協)らを擁し、前回と遜色ない布陣で臨んだ。1区大場愛里紗(酒田南高)が区間2位で走り、幸先よくスタート。3区和賀も区間トップのタイムで先頭との差を詰めた。

 「それぞれが勝負を仕掛けた」(住石監督)走りを見せたが、最終区の今野までに山形と30秒差を付けるプランは、17秒差にとどまった。2位でたすきを受けた今野は猛追してきた山形に太刀打ちできず、「予想よりも早く足音が聞こえた。去年よりも強かった」。

 レース内容が悪くなかっただけに、山形の力強さ、南陽・東置賜など他チームの押し上げは脅威となった。2大会連続で奮闘した和賀は「自分も含め実力が足りなかった」と結果を受け止め、「また努力して1位を取り返したい」と決意を口にした。

躍進南陽・東置賜3位―失意のエース力走、チーム最高位導く
 南陽・東置賜はチーム歴代トップのタイムをマークし、3位と躍進した。最終区のエース安部日和(山形城北高)が2人を追い抜き、第1回大会以来となるチーム最高位に導いた。

南陽・東置賜の4区高橋彩那(赤湯中、右)からたすきを受け、アンカー安部日和(山形城北高)が走りだす=第4中継所
南陽・東置賜の4区高橋彩那(赤湯中、右)からたすきを受け、アンカー安部日和(山形城北高)が走りだす=第4中継所
 主将として臨んだ先月の県高校駅伝競走大会でも安部はアンカーを担った。区間新のペースでゴールに飛び込んだが、直前に妨害行為があったとされ、チームは失格になった。20年以上続いた連覇は途切れ、気持ちはどん底まで落ちた。「今もまだ完全に切り替えられない」というが、同校の吉田進監督の言葉に救われた。「これで終わりではない」。前を向くきっかけをもらい、今大会に臨んだ。

2区で5人抜きの快走を見せた上山の石沢希らら(山形城北高、左)=上山市
2区で5人抜きの快走を見せた上山の石沢希らら(山形城北高、左)=上山市
 5位でたすきを受け取り、3キロすぎに3位の選手をかわした。表情を全く崩さず「自分らしく」。目標とし高校の先輩でもある山形の田中幸(スポーツ山形21)に次ぐ区間2位のタイムでフィニッシュした。幼い頃から地区内の練習で刺激し合ったメンバーらと健闘をたたえ合い、「改めて駅伝の楽しさを知った」。そのひと言に実感がこもった。

「台風の目」上山4位
 ○…上山は、2区石沢希らら(山形城北高)が圧巻の5人抜きで1位に踊り出ると、続く3、4区もトップで走り、今大会の「台風の目」となった。昨年の順位を上回る4位入賞に、伊藤智彦監督は「レースをかき乱せたかな」と笑顔を見せた。

 「あくまで焦らず走ることを意識した」。6位でたすきを受けた石沢は「順位を一つでも上げよう」と、先を行く背中を着実に追い掛けた。16秒差を縮めて一気にトップに立つと、2位に10秒差をつけてたすきを渡した。「気持ち良かった」と振り返りながらも、「目標タイムに及ばなかったので出来は60点」と、2年生は謙虚に語った。

 伊藤監督は「メンバーは小学生の頃から市の代表として戦ってきた。今後の核となる小中学生のメンバーも育っており、来年が楽しみだ」と期待を込めた。

鶴岡・田川奮闘も5位
 ○…前回準優勝の鶴岡・田川は中学生区間での奮闘も及ばず、5位となった。坂井正則監督は「できれば3位以内に入りたかったが、選手一人一人が力を出し切った結果」と冷静に振り返った。

 1区を担ったキャプテンの五十嵐徳子(東北福祉大)は「けがで思うような練習ができなかった」(坂井監督)と、7位でリレー。その後は5~6位を争う中で、4区加藤恋(鶴岡五中)が「調子が上がっていたので狙っていた」と、区間賞の力走で意地を見せた。

 前回から順位を落としたが、坂井監督は「レース内容には満足している」と手応えを感じた様子。「一人一人の力を伸ばし、来年は優勝争いに食い込みたい」と目標を語った。

若い力寒河江・西村山6位
 ○…高校、中学生ともに1、2年生で構成する寒河江・西村山が6位に入賞した。細谷弘信監督は、1~4区を4位でリレーしたことに触れ「強豪ぞろいの5区にもう少し上の順位で託せればよかったが、若いチームなりに力を尽くせた」と語った。

 各チームともエース級をそろえた1区で佐竹結衣(東海大山形高)が先頭集団に食らいつき、4位で2区大沼亜衣(山形城北高)につないだ。粘りの走りで4区まで順位をキープしたが、最後は昨年の4位に及ばなかった。「経験が浅い分、苦しい戦いは覚悟していた。パワーアップして戻ってきたい」と、細谷監督は来年を展望した。最高学年となる佐竹は「さらに力をつけて上を目指す」と誓った。

【長期出場者表彰】
 ▽監督 坂井正則(鶴岡・田川)住石智也(酒田・飽海)=10回、細谷弘信(寒河江・西村山)=5回▽マネジャー 外堀真一(北村山)=10回、大石亜衣(寒河江・西村山)=5回▽選手 田中幸(山形)五十嵐悠(天童・東村山)=10回、本間未来(北村山)伊藤夏織(酒田・飽海)=5回

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