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疑問―県立3病院システム統合(中) 業者変更に「系列の壁」

2018年01月21日 09:13
提出された公開質問状などのコラージュ。病院システム統合事業には、「メーカー系列の壁」というIT業界の特殊性が少なからず影響を与えている(写真はイメージです)
提出された公開質問状などのコラージュ。病院システム統合事業には、「メーカー系列の壁」というIT業界の特殊性が少なからず影響を与えている(写真はイメージです)
 県立3病院(中央、新庄、河北)のシステム統合を巡り、新庄病院の現システムを運用するYCC情報システム(山形市)から公開質問状が出されたのは昨年10月だった。市場の自由競争を妨害する「特定メーカーありきだ」と、強い文言で県病院事業局の進め方を批判した。

■フライングでは
 質問状には、昨年5月に入札された河北病院の医療情報システム更新に対する疑念が盛り込まれていた。3病院のメーカーを統一させる前に、あるメーカーが筆頭株主で現行システムを担う事業者が約7千万円で落札した入札だ。「『ありき』を裏付ける『フライング』ではないか」―。

 IT業界には「メーカー系列の壁」があるという。基本的に、あるメーカーが納入した機器を他のメーカーや系列の事業者が運用しようとしても、稼働はままならない。県内のIT業者は「別のメーカー系列の事業者は、そのままでは機器を使えない。もしシステム統合が(河北病院の事業者と)別のメーカーになったら、機器を買い直した方が安い」と説明する。もしそうなら、約7千万円をかけた機器が無駄になる。

 県側は質問状に対し「今回更新したハードのメーカーが次の医療情報システム入札で有利になることはない」と回答しているが、IT業界の実情に合っているとは言い難い。県内の複数のIT事業者が、メーカーの壁があることを認めている。「仕事を請け負うことが決まったその日から、次の更新時期に向けて営業活動し、意見を交わしながらシステムを調整していく。メーカーを変更させないためだ」という事業者もいる。

 更新時期などに合わせてメーカーを変更するには、現状に不具合がある場合を除き、発注者側も受注者側もリスクを覚悟しなければならない。実際、メーカーの変更で事業が滞ったケースがある。

 県は2008年度、庁舎内のシステム事業で、それまでとは異なる事業体と契約した。10年4月には総務事務システムの一部を稼働させ、各種システムの導入に着手する予定だった。しかし事業は失敗した。約8億円が返還され、さらに遅延に関わる費用などで約12億5千万円が県に支払われた。結局、元の事業者がシステムを再構築している。

 県内のある事業者はシステムを引き継ぐ際に、前の事業者から膨大な金額を要求された。「そのプログラムを作った業者にしか対応できない『ブラックボックス』的なところはどうしてもある」。メーカー側からすれば、膨大な費用をかけて開発したシステムだ。導入の際に広く参加できるように汎用(はんよう)性を担保させるとしても、簡単に“提供”することはできない。

■厳しすぎる要件
 不可解な点は他にもある。河北病院の入札は広く国内外の業者も参加してもらうため、国際協定に沿って行われた。求められた参加要件は「過去3年以内に180床以上ある2以上の医療機関」で同様の業務を受託した実績があること。事実上、県内業者が受注する道を閉ざす要件だった。「協定に沿い、地元要件を付けられないのも分かる。それにしても厳し過ぎでは」。IT業者の中からは、そんな声も聞こえた。

 河北病院の「フライング」入札は、メーカー系列という業界の“縛り”がある以上、年度内の入札を予定しているメーカー統一の方向性に強い影響を与えることになる。そこからは、事実上の「特定メーカーありき」の構図が浮かび上がる。
(県立3病院システム統合問題取材班)

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