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山形の雪に育まれ、ついに夢舞台 平昌冬季五輪、代表決定

2018年01月23日 10:28
 平昌冬季五輪代表に22日、スノーボード男子パラレル大回転の斯波正樹選手(31)=RIZAP・山形南高出、フリースタイルスキー女子ハーフパイプの鈴木沙織選手(28)=城北信用金庫・山形中央高出=がそれぞれ選ばれた。今は世界で活躍する両選手だが、アスリートとしての原点は小さい頃から親しんだ県内のスキー場にある。期待に応えられなかった。けがにも泣いた。それぞれ厚い壁にはね返されながらも歩み続け、ついに夢舞台への扉を開いた。

■斯波選手
 斯波選手は、小学3年の冬から本格的に競技に取り組んだ。ホームは山形市の蔵王温泉スキー場。両親がスキーレンタル店を継いだのが縁だった。店近くの中森ゲレンデなどで、当時、蔵王スノーボードスクール校長だった山本耕志さん(52)=秋田市=らに基礎をたたき込まれた。

 「初めから体の軸やばねに良いものを持っていた。吸収も早かった」。山本さんは振り返る。斯波少年は黙々と練習に励んだ。程なくして一緒に滑ると、プロとしても活動していた山本さんに遅れずついてきた。

 世代別の国内大会で敵なしを誇り、蔵王一中時代にはジュニア世界選手権で日本勢初優勝。五輪を意識し始めた。山形南高卒業後は武者修行でカナダに留学。ワールドカップにも参戦し、日本の第一人者となった。しかし、出場が期待された2010年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪は成績が残せず出場はかなわなかった。

 蔵王温泉で飲食店を切り盛りする母郁子さん(58)=山形市蔵王半郷=は「今まで残念だったが、今回が五輪と出合うべきタイミングだった」と感慨深げ。「正樹の出場を通じ、彼が大好きで拠点にしている山形や蔵王を多くの人に知ってほしい」と願った。

「支える側も全力投球」
 斯波選手を2009年からサポートする「応援する会」の高野修司会長(74)=山形市=は「やってくれた。ありがとうという気持ち」と喜び「応援団派遣や市民に呼び掛ける寄せ書きなどの準備を本格化させる。支える側も全力投球でいく」と意気込んだ。山形南高スポーツOB会の板垣隆会長(77)=同=は「山形南高卒業生では夏季も含めて初の五輪出場。文武両道で頑張る学校なだけにうれしい」と語り「現役高校生も自信を持って励んでほしい」と期待した。

■鈴木選手
 鈴木選手は、3歳の時、上山市の蔵王ライザスキー場で初めてスキーに触れた。母●子さん(62)=長井市今泉=は「姉の練習がメインで沙織は勝手に滑っていた」と記憶を手繰る。活発な少女は雪の感触、スピードの魅力に取りつかれた。

 蔵王温泉スキー場の急斜面を「滑りたい」と大泣きしたこともあった。小学校低学年のころは毎週末、地元の長井市から飯豊町の手ノ子スキー場に通い、朝から夕方まで滑った。小学5年からは地元チームで本格的に技術を磨いた。

 ポジティブで失敗を恐れない性格だ。山形中央高で指導した、県全国高校総体推進課の田村崇主査(44)は「どんな難しいコースも100パーセントで攻める。女子には少ないタイプ」と語る。3年時の県高校大会では優勝目前で痛恨のコースアウト。しかし周囲が励ます必要もないほど、気持ちを次に切り替えていた。

 卒業後は美容師となったが、五輪の夢は捨てられなかった。それまでのアルペンからフリースタイルに転向し、競技に復帰。海外転戦の費用をアルバイトで稼ぎ、膝の大けがも乗り越えた。「少し休めばいいのにとは思うが、昔から何でもチャレンジする子だから」と●子さん。平昌で最大の挑戦が待っている。

五輪出場が決定した瞬間、会場から大きな拍手と歓声が起こった=長井市・豊田地区公民館
五輪出場が決定した瞬間、会場から大きな拍手と歓声が起こった=長井市・豊田地区公民館
地元・長井で決定の瞬間見守る
 鈴木選手の地元・長井市豊田地区の公民館では出場決定を見守る会が開かれ、集まった関係者約30人が歓喜の瞬間を分かち合った。

 テレビで出場決定の速報が流れ、会場は大きな歓声に包まれた。発起人代表の五十嵐英治市体育協会長は「鈴木選手が五輪でいい成績を収められるよう、精いっぱい応援したい」と活躍に期待した。母親の●子さんも駆け付け「納得のいく滑りができれば結果はついてくると思う。楽しんでもらいたい」と安堵(あんど)の表情。県スキー連盟の勝見新助教育本部長は「スキーがマイナーな地域から五輪選手が出たのが最高の喜び。これを機に長井、さらに山形のスキー人気が高まることを期待したい」と笑顔で語った。

●=示ヘンに羊

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