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【平昌五輪】「蔵王を世界に」挑戦 斯波選手、郷土愛胸に滑り切る

2018年02月25日 10:18
 「世界の蔵王」、今度は僕が―。24日に平昌冬季五輪のスノーボード男子パラレル大回転に出場した斯波正樹選手(31)=RIZAP・山形南高出=は、地元の蔵王を背負う覚悟で競技に臨んできた。アルペンスキーの名選手トニー・ザイラーさんが蔵王の魅力を世界に伝えたのが半世紀以上前。斯波選手は「蔵王を世界にアピールしたい」との思いを込め、五輪の舞台で戦った。

 山形市の蔵王温泉スキー場の温泉街に入ると、斯波選手の父久一郎さん(68)と母郁子さん(58)が経営するレンタルスキー店「しばスキー」、飲食店「しばママのお店」が見えてくる。斯波選手は両親が店を継ぐために9歳の時に東京から引っ越し、ここでスノーボードを始めた。

 休日にはおにぎりを持って1人でゲレンデへ。なじみとなったリフト小屋では、汁物を分けてもらい、昼寝をし、滑り続けた。多くの人がかわいがってくれた。その土台が世界への道をつくった。

 プロになり、高校卒業後にカナダで武者修行。世界を転戦しながらも、オフシーズンは蔵王に戻ってトレーニングを積んだ。地元のお祭りや音楽イベントにも顔を出し、盛り上げに一役買った。「正樹は蔵王を愛している」。両親は口をそろえる。

 蔵王はザイラーさんの主演映画「銀嶺の王者」(1960年公開)の舞台となり、樹氷や雪質の良さが世界に知られた。斯波選手は幼い頃から「世界の蔵王」が誇りだった。今年1月、初の五輪代表に選ばれると、「表彰台に上がれば注目される。そこで蔵王をPRしたい」と誓った。温泉街で飲食店「桃園」を営む沖津俊行さん(39)は「スキー場の象徴的な存在」と語る。

 現地で見守った郁子さんは「涙があふれてきた。ここに来られたことに感謝し、次に向かって歩いてほしい」と感慨深げに語った。

父母や友人、現地で声援
斯波正樹選手(RIZAP・山形南高出)に声援を送る家族、友人らの応援団=平昌
斯波正樹選手(RIZAP・山形南高出)に声援を送る家族、友人らの応援団=平昌
 【平昌=報道部・五十嵐聡】現地には斯波選手の家族や親戚、友人、選手仲間、所属先の関係者らが駆け付けた。多くの人と関わり愛されてきた斯波選手の人柄を表すような多彩な顔ぶれの応援団が、熱い声援で背中を押した。

 父久一郎さん、母郁子さんをはじめ、友人ら総勢33人が陣取った。地元の「応援する会」が用意した青色のタオルマフラーを持ち、斯波選手の出身小中学校などから贈られた寄せ書きを掲げ「正樹、正樹」と声を張り上げた。

 斯波選手の叔父で、応援する会事務局長としても支えてきた徳正賢一さん(56)は「(2010年の)バンクーバーから3度目のチャレンジでやっと五輪に出場できた」と感無量の様子。仙台市に住む兄太佑さん(34)は「ずっと目指してきた五輪で全てを出せるように頑張って」と願った。

 観客席にはかつての“戦友”の姿も。いずれも元選手で、13年に東日本大震災被災地支援の意味も込めて北海道から東京まで斯波選手と自転車トレーニングを敢行した吉岡健太郎さん(29)、W杯混合戦でペアを組んだこともある家根谷依里さん(33)が、斯波選手の挑戦を見守った。

【斯波選手PV】祖母、在校生が集う
パブリックビューイングでは斯波正樹選手の祖母・徳正和子さん(中央)らが声援を送った=山形市・山形南高
パブリックビューイングでは斯波正樹選手の祖母・徳正和子さん(中央)らが声援を送った=山形市・山形南高
 斯波選手の母校・山形南高(山形市)では、パブリックビューイング(PV)が行われ、斯波選手の祖母・徳正和子さん(82)をはじめ在校生、関係者約250人が応援した。

 レース前には吹奏楽の演奏に乗せ、後輩たちが声を合わせて斯波選手を激励。和子さんもその気迫に負けじと、孫の出走時には床に両膝を付き、声を張り上げて奮闘を後押しした。2回目のレース中には斯波選手が映るモニターに歩み寄るほどに思いがあふれた和子さん。「五輪の晴れ舞台で堂々と滑ってくれて、ばあちゃんはうれしい」と優しい笑顔を見せた。

 「応援する会」会長の高野修司さん(74)は「正樹らしい滑りで勇気と希望を与えてくれた。感謝の気持ちでいっぱい」。斯波選手の同級生で、同校教諭の舩山直樹さん(31)は「高校時代から世界で戦ってきた同級生が本当に誇らしい。胸を張って帰ってきてほしい」とねぎらった。

 同校2年の古原成人さん(16)は「2回目の攻めた滑りが格好良かった。先輩を誇りに思う」と語った。

【師円選手PV】80人が奮闘に拍手
ウイリアムソン師円選手(日本電産サンキョー・山形中央高出)の滑りを見守るパブリックビューイングの参加者=山形市・霞城セントラル
ウイリアムソン師円選手(日本電産サンキョー・山形中央高出)の滑りを見守るパブリックビューイングの参加者=山形市・霞城セントラル
 山形市の霞城セントラルでは、スピードスケート男子マススタートに出場したウイリアムソン師円選手(22)=日本電産サンキョー・山形中央高出=のPVが行われ、約80人が奮闘に拍手を送った。

 同所で行われた計4回のPVで、迫力のエールを披露した山形中央高2年の応援団長・佐藤駿樹さん(17)は「少しでも力が伝わればとの思いでエールを送った。先輩たちの滑りは素晴らしかった」と納得した表情。スピードスケートで同校出身の4人が四つの入賞を果たした今大会を振り返り、孫田淳校長は「4人ともタイムには納得しても、順位には納得していないのでは。次のステップにつなげてほしい」と激励した。

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