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山形市~迫る中核市移行(中) 保健所新設で生活向上

2018年08月17日 09:48
新保健所の指揮を執る加藤丈夫保健医療監(右)。来年4月の開所に向け、準備が進む
新保健所の指揮を執る加藤丈夫保健医療監(右)。来年4月の開所に向け、準備が進む
 中核市移行に対する山形市民の声は大方これに尽きる。「メリットは何か」。単なる県からの事務移譲に終わるなら、市民目線の利点を見いだすのは難しいだろう。市民生活の向上を希求すべき自治体として、山形市は市民のメリットに結びつく施策を探り、保健所の新設を柱に据えた。

 人口当たりの病院診療所数が東北トップレベルの同市が、「健康医療先進都市」の構想を打ち出したのは2016年度。中核市への準備とタイミングが合い、他の都市では移行の一条件にすぎなかった保健所設置に付加価値を付けた。他市が苦労する建設費は霞城セントラルという既存施設の活用で負担を軽減。健康課と保健センターを統合して業務を一元化する。

 その上で全国に類を見ない取り組みの準備が進む。市民の長寿命や健康増進に貢献する「シンクタンク機能」の確立だ。指揮するのは初代所長に就く加藤丈夫市保健医療監。山形大医学部内科学第三講座の主任教授を務め、17年に退任するまで、神経や代謝、血液内科学について研究、実績を残した。この見識を生かし、市が有する健診データを市民の健康増進に活用する。

 これまで健診データは健康課で保管し、例えば「血圧の上がる塩分の取り過ぎに気を付けよう」など、傾向から鑑みた諸注意を促す程度だった。しかし、新保健所は統計学的手法でデータを解析し、その結果を基に医学的根拠を示して市民の健康にアプローチする。減塩ならば、「みそ汁に塩分は多く含まれるが、脂肪組織が分泌する善玉ホルモン『アディポネクチン』が血中の塩分を相殺し、老化を防止する」との視座を見いだし、アディポネクチンを増やす対策を考える。

 「行政ではどう扱っていいか分からなかったいろいろなデータがある。このままでは宝の持ち腐れ。有効に使うことで市民に還元できる」と加藤医療監。特に▽認知症▽脳卒中▽運動器疾患―について各種データを分析し、健康寿命を延ばすための対処や予防に活用する。歯周病と認知症、筋力トレーニングと骨の強さの関連性なども、数値で示すことができそうだという。

 加藤医療監は現在、専用ソフトで統計、解析をこなせるスタッフ育成のさなかにある。「行政機関であるとともに研究機関として知見を出したい。データで得た結果で、例えば、転んでもけがをしにくい歩道など、街づくりにも生かせるようになればいい」。来年4月1日の新保健所の開所を前に準備は着実に進んでいる。(報道部・進藤和美)

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