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“空飛ぶ車”も夢じゃない 米沢市内の企業、新技術開発し特許取得

2018年10月25日 12:08
新技術を反映させたエンジンのモデル。振動抑制効果で、台座を固定しなくても跳びはねることはない
新技術を反映させたエンジンのモデル。振動抑制効果で、台座を固定しなくても跳びはねることはない
 人を乗せて空を移動する「空飛ぶ車」の実現が前進するような新技術を米沢市内の企業が開発し、日本、米国の特許を取得した。エンジンの振動を千分の1に減らす仕組みで、応用すれば車体の大幅な小型軽量化が可能という。開発に参入するベンチャー企業などの構想はモーターの使用が主流だが、電池の重量などがネックだ。実績があるガソリンや軽油エンジンの方が実現性が高いとして、夢を膨らませている。

 この企業は機械設計製造のZメカニズム技研(吉沢匠社長)。新技術はピストンの往復運動によるエネルギーをスライダーと呼ばれる装置を使って横と縦の2方向に分離し、回転運動に変える同社独自の「Zメカニズム」を発展させた。鏡に映った状態のように2基のピストンを対に設置。同じような振動がぶつかり合うことで、振動を打ち消す効果が生じ、安定性が大幅に向上する。

 一般的なエンジンは振動による損傷を抑えるため丈夫な部材が使われる。さらに複数の気筒が必要になることから重量が増し、大型になる傾向にあった。振動の問題が解決すればエンジンの小型軽量化が可能となる。理論上、一般的なプロペラ式飛行機の仕組みで「空飛ぶ車」を作った場合と比べ、エンジンとシャフトなどの動力部分の重さは半分まで減らすことが可能という。吉沢社長は「エンジンを動力とした空飛ぶ車に応用する道筋が開けた」とする。

 空飛ぶ車の出発点とも言われる市販の小型無人機ドローンは、モーターに直結したプロペラが機体の四隅に設置してあるのが主流。4基の回転が同じなら真上に上昇する仕組みで、それぞれの回転速度を変えることでバランスを取り、上下左右の動きも可能としている。新技術では1基のエンジンに左右反転するプロペラ2枚(二重反転プロペラ・CRP)を取り付け、一般的なドローンのプロペラ4基と同じ効果を得ることも可能にした。

 吉沢社長によると、バッテリーを電源とするモーターのドローンでは数十分の飛行が限界とされる。バッテリーの性能は加速度的に進んでいるが「現時点で、人を乗せて飛ぶ用途にはまだまだ使えない」と指摘する。対して、新技術を応用し、ガソリンや軽油を燃料とするエンジンなら「長時間の飛行も可能。コストも軽減でき、より普及しやすい将来性を持っている」と話している。

メモ】一般的なエンジンはピストンの往復運動をクランクに伝えて回転運動に変える。クランクが回転する際、斜め方向の力が加わるため、往復する度にピストンの縁が筒内にぶつかり続け、これが振動やエネルギーロスの原因となっている。「Zメカニズム」は、この振動やロスを独自の装置で大幅に軽減する。

 空飛ぶ車 人を乗せて空を高速で移動する乗り物。日常生活や災害支援への利用が想定されている。軽量化や電池性能の向上といった技術開発、安全性確保などが課題となる。ベンチャー企業や技術者集団が開発に参入。政府による官民協議会が8月に発足し、2020年代の実用化を目指している。

空飛ぶ車のイメージとエンジンの機構図
空飛ぶ車のイメージとエンジンの機構図

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