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資料保全の大切さ引き継ぐ 山形ネット・大震災の作業完了へ

2019年01月07日 12:37
リストを確認しながら資料を梱包していく参加者=米沢市・県立米沢女子短大
 東日本大震災の発生から3月で丸8年。「山形文化遺産防災ネットワーク(山形ネット)」が発生後から行ってきた歴史資料の保全作業が年度内で完了する見込みとなった。多くの市民や学生らの手で守られた推計2万点の資料は、地域の文化遺産として次世代に引き継がれる。今後は、作業を通して芽生えた資料保全の意識を県内での仕組みづくりにつなげていく。

 山形ネットは新潟県中越地震をきっかけに県内外の歴史資料を守る目的で2008年に発足した。特定の大学や機関が主体となっている他県のネットワークと違い、民間主導で誰でも自由に参加できる緩やかな枠組みが特徴だ。11年の震災発生に伴い、福島、宮城、岩手各県の被災文化財の緊急保全処置作業に従事。宮城県立農業高同窓会や岩手県陸前高田市立博物館が所蔵する古書や研究ノート、はがきといった資料保全を主に手掛けてきた。

 津波に襲われた紙資料の保全は実に地道だ。最初の3年は乾燥させた後に泥を払い落とすクリーニングが中心。時間がたつほどに劣化が進むため、週4日ほど県内数カ所の会場で人手を投入して作業を進めた。その後はバラバラになった資料をリスト化して整理。この息の長い作業は週1~2日、ほぼ通年で行われた。「来られる時に来て、できることをやる。役割分担し、日常生活の中に組み込んでやってきたからこそ続けてこられた」と事務局の小林貴宏さん(47)は話す。

 最終返還に向けた集中作業が先月末、米沢市の県立米沢女子短大で行われ、約20人が新聞資料のリスト化や梱包(こんぽう)に取り組んだ。昨年度から参加する同短大2年横山史名乃(しなの)さん(20)は「現地に行くだけが支援じゃないんだと知ることができた。モノを残す手伝いができ、貴重な経験になった」、11年の震災発生直後から関わる広重美術館学芸員の土屋明日香さん(40)は「そこにしかない手紙や写真を守ることは大切。山形で災害があったときに、このノウハウは生かせると思う」と話した。

 小林さんは「多くの人が作業に関わり、経験してもらえたことが一番の収穫」と胸を張る。災害で水にぬれても歴史資料は救うことができる。それを知る人が増えた分、守ることができる資料も増えるからだ。

 この7年余りで資料保全の理解は進み、全国でも30ほどのネットワークが活動するようになった。地域同士の連携や国の支援も強化されつつあるという。一方で、比較的災害の少ない本県はまだまだ後進地。「行政や大学との連携も視野に、備えのための態勢づくりを進めたい」。一区切りを目前に、さらに先を見据える。

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