県内ニュース

大沼再建へ「身を切る覚悟」 新社長に永瀬氏、3億円目標に出資募る

2019年03月24日 13:00
記者会見で大沼再建への決意を語る永瀬孝新社長(左)=山形市・山形グランドホテル
 経営再建中の百貨店・大沼(山形市)の経営権を投資ファンドから取得し、親会社となった地元幹部社員による株式会社「大沼投資組合」は23日、山形市内で記者会見を開き、大沼社長に執行役員の永瀬孝氏(65)が就任したことを明らかにした。永瀬社長は「大沼を従業員に取り戻すため行動した」と強調。3億円を目指して県内から広く出資を募る方針を示し「身を切る改革を覚悟している」と再建への決意を語った。

 大沼投資組合は県内有志からの融資を原資に、投資ファンドのマイルストーンターンアラウンドマネジメント(MTM、東京、早瀬恵三社長)の債権を投資会社から取得。債権は大沼全株式が担保となっており、経営権を手にした。

 永瀬社長は会見で「MTMには何度も(追加投資などの)約束を破られた。このままではさらに信用を失い、経営を維持できないと判断した」と“経営権奪取劇”の狙いを説明。佐藤孝弘山形市長、清野伸昭山形商工会議所会頭らが記者会見で市民に買い支えを呼び掛けたことが大きな力になったとし「心から感謝したい」と述べた。

 法人、個人を問わず出資を募るとともに、速やかに新たな再生計画を作り、金融機関の支援を得て再建を加速させる考えを表明。手付かずの山形本店の改装については「投資効果を見極めながら検討する。まずは十分な資金を確保する」と述べるにとどめた。

 MTMが自社に還流させた再生資金のうち約4300万円が未返済で、投資会社から譲渡を受けた債権分2億円と合わせ、MTMに返済を求める考えという。「返済されなければ法的手段を取る」とした。

 親会社となった投資組合は大沼の地元幹部社員9人で設立した。22日に大沼の臨時株主総会、取締役会を開き、早瀬社長らMTM出身の取締役4人、監査役1人を解任。投資組合から永瀬社長ら取締役4人、監査役1人を新任した。従業員には23日朝、臨時の全体朝礼で一連の経緯を説明したという。

 永瀬社長は山形市内の家具メーカーから2010年11月に大沼に入社。総務部長、執行役員営業支援本部長を経て昨年7月から執行役員経営企画室長を務めていた。

【経済界、行政、市民の声】
 大沼の親会社が地元資本の「大沼投資組合」に代わったことについて、経済界や行政、市民から23日、歓迎や期待の声が上がった。

 山形商工会議所の清野伸昭会頭は「地元幹部が新たに経営を担うことになり良かった。大沼を思う強い気持ちからの行動だろう。期待している」と語った。ただ、経営者が変わっても、これから出資を募る計画で、厳しい状況は変わらない。「新たな再建計画がどのようなものになるか注目したい。商工会議所としては引き続き市民の皆さんに応援をお願いしていく」と述べた。

 佐藤孝弘山形市長は「今回の動きには驚いている」とした上で「新体制は大沼の地元幹部社員の主導ということで、今後は経営陣と従業員が同じ方向を向き、地元に愛される百貨店経営がされることを望む。市民の皆さんには市内唯一の百貨店への温かい支援をお願いしたい」と話した。

 吉村美栄子知事は「大沼は中心市街地のにぎわい創出に欠かせない存在であり、経営が再建されることを願っている。県としてどのような支援ができるか検討を進める」と語った。

 妻と山形本店に買い物に訪れた男性(58)は「何とか頑張り、山形を元気づけてほしい。応援する」と話し、同市の女性(80)は「経営を悪化させた会社から代わったなら良いこと。これからも買い物に来て支援したい」とエールを送った。

 大沼社員は今回の動きを冷静に受け止めた。女性社員の一人は臨時朝礼で永瀬孝新社長から説明を聞き、MTMの影響力が排除されたことに「良かった」と胸をなで下ろした。買い物客からの反応はなかったというものの、「今後を思うと身の引き締まる思い。県民の皆さんから支援をいただけるよう、これまで以上に頑張らなければならない」と表情を引き締めた。

この選択は間違い-MTM・早瀬氏
 MTMの早瀬恵三社長は23日夜、山形新聞の取材に応じ、「MTMが大沼の親会社を続けた方が良い道だったと分かる時がいずれ来る。この選択は間違いだ」と語り、地元幹部社員らによる経営権取得を批判した。

 現段階で大沼投資組合側の行為に法的問題があるとは考えていないとしたものの、「われわれは昨年から、一部の人たちに信用が損なわれるような行為をし続けられ、資金調達、再建を妨害された。そこでの違法行為の有無を含め、事実関係は必ずはっきりさせる」と明言。法的手段に訴えることも検討するとした。

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から