県内ニュース

12市町村議選・戦いを振り返って(1) 山形、米沢、新庄、上山、長井

2019年04月23日 10:40
 県内統一地方選の後半戦となる12市町村議選が21日投開票され、計188人の当選者が決まった。有権者にとって最も身近な選挙戦の攻防を振り返る。(敬称略)

【山形】自民系が過半数を確保
 33議席を巡り、現職29、元職1、新人11の計41人が激しくぶつかった。自民系が公認の現新12人、推薦の新人2人が当選し、公明3人と合わせて過半数の17議席を確保した。非自民系は現職2人が落選。市議会の与野党の勢力図は逆転し、市長佐藤孝弘の支持派が多数となった。佐藤は既に9月の市長選への再選出馬を表明しており、市議選の“敗戦”を受け、非自民勢力の出方が注目される。

 上位3人は4回連続で同じ顔触れとなった。最大会派で自民系の翔政会会長である長谷川がただ一人、4千票を超え、初のトップ当選を果たした。斎藤淳は前回から800票近く減らして4回連続で守ってきた首位を明け渡したものの、2位に付けた。武田聡は地盤周辺に新人が立ったことで危機感を募らせ、母体の電力労組や地元票を引き締めて3位を保った。

 自民系は現職が安定した戦いを見せて11人全員が当選。新人は公認を得た井上が江南や下条を拠点に支持を広げ、現職勢に割って入り上位で議席を得た。推薦を受けた鈴木進も地元の銅町や宮町などに浸透して集票、中心部から出た佐藤清は党県議らの全面支援で滑り込んだ。

 これに対し、非自民系は立憲民主が存在感を示した。NTT労組出身で公認の新人荒井は4位に入り、同じく公認で7期目を目指したベテラン石沢は村木沢などもまとめて貫禄を示し、県内市町村議会で初の立民議席2を手にした。

 さらに「小さな声を市政につなぐ」とアピールしたNPO共同代表の新人松井、市職労出身の小田が、ともに若手への期待票などを集めてそれぞれ上位、中位で当選した。

 一方、ともに無所属で5期目を狙った小野、再選を目指した高橋昭が新人台頭のあおりを受ける形で涙をのみ、共産は再び4議席を狙ったが、同じ3議席にとどまった。社民は1議席を守った。

 自民系が「悲願」としてきた過半数を握ったことで、執行部と議会における与野党のねじれが解消した。今後、市長佐藤は自身のカラーを政策に反映しやすくなり、議会側がチェック機能の役割を果たすことが、より重要になる。さらに、投票率が47.15%と過去最低となったことを踏まえ、勢力争いに終始することなく、市政に対する市民の関心を高めていく努力もますます求められる。

【米沢】最年少、混戦抜け首位
 24議席を巡って現職21、元職1、新人6の計28人が争い、現職19人、元職1人、新人4人が当選した。今秋に市長選を控えており、新しい会派構成の行方や各議員の市当局との距離の取り方が注目される。

 投票率が過去最低の57.15%で多くの候補が票を減らす中、首位争いは28票の間に3人が入る大混戦となった。トップ当選は最年少の成沢。地元窪田を固めたほか、市全域で若年層に浸透し、前回から332票を上積みした。公明の山田が5票差で続き3回連続の2位。元職の遠藤正は地元南原で着実に支持を得た。

 鳥海、島軒は地元の支持をまとめて安定した戦い。共産の高橋寿も組織票と地元票を固めた。新人トップの古山は、六郷、塩井を中心に支持を広げた。中村、佐藤、相田は各地盤の支持を手堅く集め1500票を確保した。小久保、我妻、小島は前回から票を減らすも、支持基盤をまとめ切って1400票台を維持。太田、山村、工藤、島貫も地元や周辺の新人の侵食を受けながらもしのいだ。

 関谷は草の根で支持を広げ、次点だった前回から266票を増やした。愛宕地区で激戦を展開した斎藤、新人の影沢は、それぞれ地元票に加えて女性票、労組票も確保して議席を得た。堤は地元窪田に浸透し、最下位当選の前回から票を伸ばした。高橋英は支持層以外への広がりに苦戦しつつも共産の2議席目を死守。前回までの空白地山上の新人井上は地元をまとめ、副議長の木村は300票以上を減らす苦戦も地盤の東部の票を守り滑り込んだ。

 中部の新人遠藤隆は地区内で支持が進まず落選。三沢の鈴木、南原の皆川はそれぞれ地区内の新人、元職の攻勢を防ぎ切れず議席を失った。新人縮は支持組織以外に広がりがなかった。

 現職の会派別当選者数は一新会5、明誠会4、桜田門3、市民平和クラブ3、公明2、共産2。最大会派の一新会は現職2人が落選し、会派構成次第では、各勢力が拮抗(きっこう)する。市庁舎の建て替えなど大型事業が相次ぎ厳しい財政状況が続く中、活発な議論によって議会の存在感を示したい。

【新庄】新顔3人が上位に
 18議席を懸けて20人が争い、現職13人と、新人5人全員が当選。現新合わせ女性5人が議席を獲得した。議長経験者らベテラン4人が勇退し、新顔3人が上位当選を果たすなど世代交代を印象づけた。

 トップ当選の議長小野は、地盤が重なる新人の台頭で組織が引き締まり得票を伸ばした。元副市長の新人八鍬は、行政経験で培った人脈を生かし全域で浸透。公明高橋は組織票を手堅くまとめ、ともに新人の押切、佐藤文は知人友人を軸とした組織がフル稼働し上位入りした。小嶋、共産佐藤悦は根強い支持を引き続き集めた。

 中位の今田は前回票から大きく後退したが、地元を中心に集票。市街地の小関は浮動票を一定程度取り込んだ。いずれも北部が地盤の山科正、新田、石川は堅調な戦いを展開。基礎となる地元票を後ろ盾に、それぞれの支持層を危なげなくまとめた。

 下位には現職4人が600票台で滑り込んだ。下山は実績を訴え、支持離れを食い止め8選。中心部の叶内は票の掘り起こしに注力し、前回得票を上回った。票の目減りが続く奥山は、切り崩しの影響を最小限に抑えた。佐藤卓は支持層が重なる新人の出馬で得票を伸ばし切れなかった。

 当落ラインでは、幸福実現の山科春、共産の庄司の2新人が知名度不足をはねのけ議席を得た。農業票をまとめ切れなかった現職の星川と、返り咲きを狙うも高齢批判があった山口が及ばなかった。

 市長山尾順紀に対する議会の立ち位置は二極化しており、改選後もどちらかに偏重することはなさそうだ。地域医療を支える人材確保などを目的に山尾が推進する看護師養成所開設を巡り、議会の賛否は割れたまま。今後、どう議論を深め、結論を導き出すかに注目が集まる。

【上山】新人、2位に食い込む
 定数15に対し18人が争い、現職11人、元職1人、新人3人が当選し、現職1人、新人2人が涙をのんだ。議会の勢力図は、改選前10人だった市政与党の保守系議員が今後も多数を占めるとみられる。人口減少対策など市の課題は山積しており、同日程の選挙で4選を果たした市長横戸長兵衛に対し、議会として是々非々の姿勢が求められる。

 得票が千票を超えたのは4人。金生の枝松は、過去に市長選や県議選に出馬した知名度を生かし、初当選から4回連続のトップ当選。本庄の高橋要は隣接する空白区・東の票も取り込み、新人ながら2位に付けた。大沢は縁故関係を通じて地元金生だけでなく、市周辺部でも支持を拡大。矢来の中川は社民系の組織票のほか、女性票も獲得した。

 激戦区の中川は名乗りを上げた3人全員が当選。議長高橋義は広い人脈で安定した戦いを見せた。長沢は農林業関係者らの票を手堅く集め、新人川口はスキー関係者やPTA活動をつてに支持を広げた。金生の副議長尾形は女性層の支持を得て当選者の中で最多の5選を果たした。石堂の川崎は青壮年層に浸透し、4年前の前回から120票ほど伸ばした。鶴脛町の共産守岡は組織を引き締め、党唯一の議席を死守した。

 新湯の神保は市長選の新人候補と連動しながら、自転車による独自の運動で初陣を飾った。石崎の谷江は地元からの新人出馬に危機感を強め、他地域でも票を積み上げた。矢来の棚井は地元や縁故関係を軸に当選圏入り。旭町の佐藤はスポーツ団体や温泉旅館関係者をまとめて滑り込んだ。山元の元職石山は市中心部でも票を集め、最下位で返り咲いた。

 再選を狙った高橋恒は地元西郷などでも広がりを欠き、6票差で落選。ともに新人で新丁の松田と石崎の大泉は、告示1カ月を切ってからの出馬表明と出遅れが響き、苦杯をなめた。

【長井】4新人躍進1000票超
 定数16に対し17人が立候補した少数激戦は現職11人が議席を守り、新人は5人全員が当選した。支援組織や団体の後押しを受けた新人4人が千票超を獲得。現職勢も地盤を固めて対抗した一方、大票田・中央地区は他候補の切り崩しに遭い、1人が涙をのんだ。

 五十川の渡部正は地元の分厚い支援とPTAや商工会青年部などの幅広い人脈を集票につなげ、トップで初陣を飾った。勧進代の平は新人の切り崩しを最小限にとどめ前回に続く2位。寺泉の公明赤間は組織票を積み上げて上位を守った。

 前回トップ当選した成田の金子は同地区の渡部正の躍進もあり票を減らしたが、地元を手堅くまとめた。上位の新人勢は、芦沢の竹田が空白地だった伊佐沢地区全体の支持を集め、市職員OBで泉の鈴木一は行政関係やスポーツなどのつながりを軸に他地域に食い込んだ。時庭の勝見は70歳ながら、長井高同窓会や企業関係の人脈を生かし、支援の輪を広げた。

 九野本の梅津、寺泉の鈴木富、平山の蒲生は地盤を軸に安定した集票力を発揮。九野本の小関は農業関係を中心に票を上積みし、館町南の新人鈴木裕は地元に支えられて奮闘した。

 下位5人は現職で、このうち4人が中央地区。十日町の渡部秀と今泉の内谷は前回からやや票を増やし、当選圏を確保した。四ツ谷の共産今泉は組織票を軸に踏みとどまった。いずれも市職員OBの東町の浅野、花作町の宇津木は新人出馬のあおりを受けて大きく票を減らし、宇津木がただ1人400票台と低迷した。

 現職4人が勇退または辞職し、改選後の会派構成は、最大会派で執行部寄りの長井創生が1人減の5人となり、第2会派の緑風会は3人を維持。残る2会派は各1人、無会派(共産)が1人となった。市役所新庁舎の建設など大規模事業が進む中、当選した5新人の会派対応は市長内谷重治の議会運営にも影響を与える可能性があり、動向が注目される。

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から