県内ニュース

地震発生1週間、その時どう動いた 迅速行動、生きた経験

2019年06月25日 08:40
地震発生直後から多くの住民が避難した豊浦中。住民意識をより高めていくことが課題となっている=19日午前0時41分、鶴岡市三瀬
 本県沖を震源とする18日夜の地震発生から25日で1週間。震度6弱を観測した鶴岡市を中心に家屋の損傷、観光客の落ち込みなど各地で住民生活にも影響が生じている。津波の危険と日頃から向き合っている庄内地方沿岸の自治体、住民は今回の地震にどう対応したのか。迅速な行動だったとの見方が示される一方、危機意識の醸成、夜間のスムーズな避難など課題を指摘する声も上がっている。

 鶴岡市は午後10時22分の地震発生から2分後、防災行政無線などを通じ、沿岸地域の全3705世帯、9429人に対し避難指示を出した。市の集計では、19日午前1時段階で25カ所に約2千人が避難。沿岸地域でない場所も含むが、発生直後はより多くの住民が避難していたとし、市は迅速な行動が図られたとする。

 酒田市では地震発生直後、全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動し、緊急地震速報と津波注意報を防災ラジオで伝達。18日午後10時40分と同52分、沿岸地域住民に高台に至急避難するよう呼び掛け、市内76カ所に最大1249人が身を寄せた。遊佐町もJアラートと連動した防災行政無線の放送後、沿岸部に近づかないよう2回にわたり伝え、吹浦地区住民ら約50人が高台に移動した。

 新潟県境に接し、震源にも近い鶴岡市鼠ケ関地区では、自治会の役員や隣近所同士で声を掛け合い、避難を促した。「都会と比べコミュニティー機能は果たされている」と五十嵐伊都夫同地区自治会長(67)。1人暮らしの女性は「足が悪くて歩くペースが遅い中、近所の人が付き添ってくれ安心だった」と振り返る。

 課題も見えた。多くの人が車で避難していたことだ。「道路の陥没などで渋滞が起きているところに津波が来たら、大きな被害が出たかもしれない」と五十嵐会長。「家にいたい」「津波が来ても、たいしたことはない」などと言って動かない高齢者もいたため、対応の仕方を考える必要も感じたという。

 同市三瀬地区では、決めていた役割分担に基づき、四つのエリアごとに住民の安否を確認。コミュニティセンターに設けた自主防災対策本部で情報を集約し、被害の把握に取り組んだ。加藤勝地区自治会長(69)は「年2回の避難訓練を行っていたので、スムーズな対応ができた」と語る。一方で鼠ケ関同様、「実際に避難したのは5割ほどではないか。津波への危機感が年々薄れている印象がある」。各家に直接避難指示が伝わる防災ラジオなどの配備も必要と指摘する。

 酒田市の最上川下流域の住民は昨年8月、大雨による水位上昇で2度にわたり避難指示、勧告が出された経験から行動が早かった。市との協定で津波避難ビルとなっている同市山居町1丁目の山新放送庄内会館には、周辺住民が早くから続々と避難。一方で、別の津波避難ビルでは人がいないために中に入れない住民が100人ほど集まっている状況も見られ、夜間避難の課題が浮き彫りになった。

 地元の港南自主防災連絡協議会の小野英男会長(69)は、入れずにいた住民の半分を同会館、半分を近くのホテルに誘導。双方を行き来しながら各自治会長、市と連絡を取り、避難状況を把握した。午前0時を過ぎると「自宅に帰りたい」と言う人が続出し、帰宅判断の難しさも感じたという。「新潟地震より揺れを大きく感じた上、夜だったため恐ろしかった。訓練の在り方を見直し、住民一人一人の自主防災力を高める内容にしたい」と語った。

庄内の観光復興途上―クルーズ船寄港に光明
 地震は庄内地方の観光に影響を及ぼしている。発生後初の週末となった22、23日も来訪者数が落ち込む施設が相次いだが、一部では外国クルーズ船の寄港による活況も見られた。

 鶴岡市のあつみ温泉では7旅館のうち3旅館が予約キャンセルもある中で営業を再開した。あつみ観光協会長の若松邦彦あつみホテル温海荘支配人は「これからが不安。復旧の取り組みを地道にPRしていくしかない」。全国的に知名度が高い萬国屋とたちばなやは今月いっぱい休業とし、施設の修復や点検を続ける一方、予約客に電話などで「お断り」の連絡をしているという。全ての旅館そろっての営業再開できるのは7月1日となりそうだ。

 同市の庄内観光物産館ふるさと本舗は地震発生以降、団体客のキャンセルが25件ほどの約800人に上り、このうち先週末は約110人減と苦戦が続く。

 一方、酒田市の相馬樓(ろう)も県外からの団体客のキャンセルが10件以上あったが、23日は外国クルーズ船の寄港で300人超が来場。クルーズ船効果は鶴岡市立加茂水族館でも見られ、担当者は「先週末の1日当たり来館者数は、昨年同期の約3千人に対し2500人ほど。それまで半分以下に落ち込んでいたので、回復の兆しも感じる」と語った。

住宅再建費に不安―支援法の適用外か
 新潟、山形両県で震度6強と6弱を観測した地震は建物の被害が比較的小さく、住宅再建に公費が支給される被災者生活再建支援法は適用されない見通しだ。「資金をどうすればいいのか」。地元の自治体は独自の財政支援を検討するが、住民からは不安の声も上がる。

 住宅が壊れた場合、支援法が適用されれば、被害規模などに応じて最大300万円の公的支援が受けられる。ただ、適用には「市町村で全壊が10世帯以上」などの条件があり、新潟県村上市と、震度6弱の鶴岡市は24日の段階で、条件を満たさない可能性が高い。

 鶴岡市小岩川地区の1人暮らしの男性(67)方は窓枠がゆがむなどしており、市の「応急危険度判定」で「要注意」とされた。男性は1964年の新潟地震を経験し、教訓として保険に加入していたが、被害の半額しか負担してもらえない。保険だけで修繕費を賄うのは困難だといい「まさか人生で2回も大きな地震に遭うとは。資金はどうすれば」と途方に暮れる。

 村上市、鶴岡市は支援法が適用にならないことを見据え、住宅リフォームの際に補助金を出す制度を活用する方向で検討している。ただ、市の予算から捻出するのは厳しいのが現状。村上市の高橋邦芳市長は、国や県にも協力を求めるとし「実現できるよう取り組んでいきたい」と述べた。

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から