社説

指導救命士、配置へ 救命率向上につなげよ

 救急救命士の指導的な立場となる「指導救命士」の制度が、来月から県内で始まる。救急のレベルアップを図ることで救命率の向上を目指す。

 具体的には救急救命士として活動している職員のうち、専門的な研修を受けた人を県救急業務高度化推進協議会が認定する。制度創設を見据えて山形市など7消防本部の13人が既に研修を終えており(今月7日時点)、3月の制度開始後、認定を受けて活動を始める運びだ。

 この制度は総務省消防庁が2014年に教育指導体制を構築するよう全国に通知し、県が準備を進めてきた。東北では青森、秋田両県で既に始まっており、本県と岩手県が同時期の開始になる。

 搬送途中の救急車の中でも、医師の指導の下で特定医療行為を行うことができる救急救命士は医療的な知識や対応力が求められる。今年1月現在、県内では291人が現場で活動している。県では指導救命士を全消防本部へ配置し、救急救命の質の向上を図りたいとしている。確実なレベル向上につなげてほしい。

 一方で、そうした救急のプロを乗せた救急車が現場に到着するまでには時間を要する。県のまとめによると15年の場合、平均所要時間は8.9分。

 県内の救急搬送者はこのところ5年連続で4万人を超えており、全国でも15年は547万人余で過去最多だった。救急車の到着時間を早めることが求められるが、一気に早まるとは考えにくい。

 到着までの市民の行動が救命の最初の鍵になる。総務省の統計によると、心肺機能が停止した傷病者を目撃したケースで一般市民が心肺蘇生を実施したのは15年の場合、約1万4千人(55.8%)で、うち1カ月後生存者は16.1%。1カ月後に社会復帰した人は11.7%だった。心肺蘇生を実施しなかった場合に比べ、1.8~2.5倍高かった。

 先ごろ県内の消防職員による意見発表会があり、その中でも救命率の向上をテーマにした発表は多かった。

 最優秀賞に選ばれたのは西置賜行政組合消防本部の坂康平消防副士長。心肺停止の119番通報が消防に寄せられた際、通報者に特別な知識がなくても心肺蘇生法を自動音声でガイドする仕組みを考案中で、自らの体験を基に取り組みを発表した。運用に向けた検証のため講習会参加者約100人にアンケートを行ったところ効果が感じられたという。

 同発表会には地区を勝ち抜いた12人が出場、さまざまなアイデアや提言が出された。救急だけでなく、豪雨時に自主避難する際の目安となるペットボトルを使った雨量計の紹介などもあった。

 若い消防職員たちが日々の活動の中で問題意識を持ち真剣に考えたアイデアや提案で、消防の活動現場に実際に生かされるものが現れることを期待したい。

 健康な人でも何らかのきっかけで心肺停止状態になる可能性はある。いざという時に慌てないよう人工呼吸や自動体外式除細動器(AED)の使い方など対処法を身に付けておきたいところだ。そのための講習会の機会を増やしたい。

 いかに空白の時間をつくらず患者を医療機関に運ぶか。素早く的確なリレーで救命の可能性を高めていきたい。

(2017/02/22付)
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