社説

山形大がパワハラ認定 対応の遅さは否めない

 山形大xEV飯豊研究センター(飯豊町)でパワーハラスメント(パワハラ)を理由に職員が相次いで退職した問題で、山形大は学内の特別対策委員会による調査結果を公表し、センター長を務める50代男性教授によるパワハラを認定したことを明らかにした。7月中をめどに教授の処分を決める方針という。

 調査対象者の身分にも関わるだけに、大学側が調査に慎重を期すのは理解できるが、学内外の8人で構成する特別対策委員会が設置されたのは昨年11月。当初、2カ月以内をめどにまとめる方針だった調査結果は大幅に遅れた。大学側からは「委員の日程調整で時間を要している」という理由が伝えられ、事案解明が進まないまま月日が経過してしまった。

 山形大職員組合などによると、パワハラ被害を理由に少なくとも3人の職員が退職している。退職者の中には心的外傷後ストレス傷害(PTSD)のような状態になった人もいる。そうした被害の訴えに加え、退職に追い込まれたという事案の重大性を勘案すれば、迅速な対応を迫られていたと言えよう。

 この問題を巡っては、2016年9月に職員が大学の相談窓口に対策を求め、17年5月には職員組合がパワハラを告発していた。大学側の立ち上がりの遅さ、対応の鈍さが目立つ。

 小山清人学長が定例会見で特別対策委員会の調査結果を説明した。それによると、男性教授は人前で職員を「偏差値40」「小学生以下」と呼び、侮辱した。電子メールで職員に対して「無能で非常識なお馬鹿(ばか)さんへ 着いたのか着いてないのか? そういう報告をしないのは、背任です」と過度に叱責(しっせき)。「ボケ」「役立たず」と記した貼り紙をした。こうしたパワハラ行為の認定を踏まえて、調査報告書は「懲戒処分が相当」との意見を付した。

 小山学長は男性教授について「調査の中で本人も(パワハラを)認めていると、私は理解している」と言及。職員の退職に関しては「ハラスメントとの関係は調査対象になっていない」とする一方で「(影響があった)可能性は否定できない」との認識を示し、補償については「話し合っていきたい」と述べた。調査結果を踏まえれば、大学として被害救済に早期に取り組む必要がある。

 飯豊研究センターは、飯豊町と山形大などが連携して同町萩生に整備したリチウムイオン電池の研究開発拠点施設だ。開発から性能評価、安全検証まで、リチウムイオン電池製造の全工程を担えるパイロットプラント(試作工場)として16年に開設された。同センターを拠点に電池の駆動長時間化や軽量化、長寿命化などに取り組み、将来的には蓄電関連産業の一大集積地を形成する「飯豊電池バレー構想」の中核を担う。

 今回の問題がプロジェクトに与えたマイナスイメージは計り知れない。大学側には処分に当たって厳正な対処が求められる。ハラスメント対策の制度的改善のみならず、全学挙げて根絶に向けた組織文化を培うことが急務だ。同時に、同センター設立の経緯を踏まえれば、地元への責任を果たす上で、揺るぎない運営をしていくことが求められる。

(2018/06/23付)
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