社説

新庄中核工業団地に活気 持続の鍵は人材の確保

 新庄中核工業団地(新庄市)への立地企業が近年増えている。県の「やまがた森林(モリ)ノミクス」プロジェクトに貢献する大型集成材工場や木質バイオマス発電所などが整備されている。この勢いを継続させたい。高速交通網整備に向けた一層の働き掛けや地元の働き手の確保が鍵になる-との認識が関係者にあり、取り組みの強化が求められる。

 同団地は全国9番目の中核工業団地として、中小企業基盤整備機構が造成し1984(昭和59)年に分譲を始めた。総面積は207ヘクタールで最上地域最大の企業集積地。52社が立地し、未分譲区画は3、分譲率92%という状況だ。

 ここ数年の立地数の伸びが特筆すべき点で、2014年以降は板金加工、婦人服、製材、貨物輸送など約10の企業が用地を取得した。高規格道路の整備が今後進み、中長期的にストック効果が得られるとの観測が大きな要因になっている。

 新庄市を中心に交わる「高規格道路十字連携軸」の構築は関係者の悲願。縦軸の東北中央自動車道は「真室川雄勝道路」の事業化が決まった。横軸は、国道47号バイパスとして整備する新庄酒田道路のうち「余目酒田道路」が本年度内に全線開通し、「新庄古口道路」が一部開通の見込み。石巻新庄道路の方は候補路線からの格上げへ運動が続いている。

 縦軸、横軸の高速化が図られ、複数の交通ルートが確保できれば、輸送コスト面を含め企業の経済的メリットは大きい。例えば新庄酒田道路から酒田港を経由して海外取引を行うなど、新たな事業参入の可能性も広がるかもしれない。

 東日本大震災を契機に、製造拠点を各地に設けてリスクを分散させる考えが浸透した。これも立地数アップの一因。新庄では大きな地震が比較的少ないことや、分譲価格が割安に設定されていることも理由となっているようだ。

 団地の活性化は、地域にもいい影響を与えている。4月に本格稼働した協和木材(東京都)の大型集成材工場は50人以上を地元から採用した。年間12万立方メートルの原木消費と3万6千立方メートルの製品出荷を目指す同工場は、「やまがた森林ノミクス」を先導する拠点の一つとして注目されている。マルカ林業(新庄市)が建設中の木質バイオマス発電所も同様で、県産木材の安定した利活用と林業振興への期待を担っている。

 さらに、自動車部品製造の2社が優良取引先企業だとしてトヨタ自動車東日本(宮城県)から表彰されたことも話題を呼んだ。技術力の向上に貪欲な両社の姿勢は、団地内の異業種企業にも大きな刺激を与えた。

 人材確保が今後の課題だろう。地方の製造業者が若い世代を欲しても、少子化や人口流出の影響で見つけづらい状況にある。最上地区雇用対策協議会は高校生の企業見学バスツアーや、中学校に出向いた企業説明会を行っている。若いうちから興味を持たせるいい試みだ。団地内では、女性が働きやすいように企業主導の保育施設も検討されているようだ。

 県と市、民間が連携の幅を広げ、新庄・最上の経済を押し上げていってほしい。それが交流人口拡大や地方創生にもつながっていく。

(2017/05/29付)
最新7日分を掲載します。
  • 5月29日
  • 新庄中核工業団地に活気 持続の鍵は人材の確保

     新庄中核工業団地(新庄市)への立地企業が近年増えている。県の「やまがた森林(モリ)ノミクス」プロジェクトに貢献する大型集成材工場や木質バイオマス発電所などが整備されている。この勢いを継続させたい。高速交通網整備に向けた一層の働き掛けや地元の働き手の確保が鍵になる-との認識が関係者にあり、取り組みの強化が求められる。[全文を読む]

  • 5月27日
  • 山の事故増える季節 油断せず行動は慎重に

     県内は山菜採りや新緑を楽しむ春山シーズンの最盛期。6月に入れば各地で夏山開きも相次ぎ、本格的な山歩きが始まる。入山者が増えるこの時季に例年、多く見られるのが遭難事故だ。[全文を読む]

  • 5月26日
  • 加計学園問題、前次官が会見 疑念は深まるばかりだ

     文部科学省の前川喜平前事務次官が25日、記者会見に臨み、学校法人加計学園(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る記録文書について「確実に存在していた。あるものをないと言うことはできない」と強調した。文書は、昨年秋に担当する省内の専門教育課から説明を受けた際に示されたという。計画を巡る国の対応については「将来の人材需要への明確な見通しが示されず、薄弱な根拠の中で規制緩和が行われ、公正、公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」と述べた。[全文を読む]

  • 5月25日
  • 行政の婚活サポート 縁結びの環境育てよう

     独身男女の出会いの場づくりやマッチングといった結婚を支援する事業が全国の自治体で活発化している。[全文を読む]

  • 5月24日
  • 英中部で爆発テロ 卑劣な凶行が許せない

     英中部マンチェスターで自爆テロがあり、20人超が死亡、約60人が負傷した。英国のメイ首相は「凄惨(せいさん)なテロ」として全容解明を進めているとの声明を出し、警察が捜査を開始した。標的となったのは米人気歌手のコンサート会場でファンの多くは10代。前途ある若者の未来を無差別に奪う卑劣な凶行を、断じて許すことはできない。[全文を読む]

  • 5月23日
  • 眞子さま婚約へ 皇室安定策も熟考の時

     「本当におめでたい。大学時代の同級生との恋愛結婚ということで、日ごろは遠い皇室を身近に感じます」。秋篠宮家の長女眞子さまが22日、両親の秋篠宮ご夫妻と共に東京・上野の国立科学博物館を訪れ、特別展「大英自然史博物館展」を鑑賞された際、上野公園の観光の途中で偶然居合わせた三重県四日市市の会社員(56)はこう話した。[全文を読む]

  • 5月22日
  • はしか終息宣言 風評被害防止へ検証を

     県内で感染が拡大したはしか(麻しん)は4週間、新たな発症例がなく、県は17日、終息を宣言した。最初の感染者が宿泊した長井市のタスパークホテルは、県が施設名を公表して以降、深刻な風評被害に遭った。感染拡大を防ぐため公表はやむを得ないと理解するが、同様の事態は今後も起こり得る。県には今回のケースをしっかり検証してほしい。[全文を読む]

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

週1回ふるさとの話題をお届け

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2017年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2017年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から