社説

小国に「地域総合商社」 問われる司令塔の力量

 「白い森」を旗印に町全体のブランド化に取り組んでいる小国町は、魅力ある地場産品や観光資源を掘り起こし、新たな戦略のもとで町外に売り込んでいく「地域総合商社」の設立準備を進めている。商社の中核となって経営戦略の立案やマーケティングを担う人材「経営戦略責任者(CSO)」を6月上旬から約1カ月間、公募したところ、396人もの応募があった。町は8月下旬までに採用者を決めたいとしており、まずはその人選が待たれる。

 小国町は、他自治体と同様に人口の減少と高齢化が進んでいる。先端技術を持つ大企業が町内で操業している関係で、1人当たりの町民所得は全国平均を上回っているが、買い物などの消費流出額も大きく、地域内の経済循環に課題を抱えている。

 町が有する地域資源に目を向けると、農産物は山菜とキノコが高い評価を得ているが、小ロット・多品種で、安定的な販路を獲得できない状況にある。交通環境の問題から生じる輸送コストの高さや、主要市場と位置付ける新潟圏や首都圏での知名度不足といった課題もある。

 こうした状況を受け、町は地域内での経済循環を促進し、「稼ぐ力」を生み出そうと、地域総合商社の設立へと動きだした。今年3月、国から地域再生計画(2020年度までの3年間)の認定を受け、地方創生推進交付金などを活用して事業を進めていく。商社の設立は19年度の早い時期を目標としており、20年度からは自立した運営への移行を目指す。

 商社は、魅力ある地場産品について生産段階から流通・販売までの一貫したマーケティングを行い、従来以上の収益を引き出す役割を担っていく。今後の運営を考えた場合、最も重視すべきことは消費者ニーズを捉えた商品開発や販路開拓といったマーケティング力と言えよう。

 町は、CSOに町内事業者の既存商品や観光資源などを分析してもらった上で、▽小国町を「稼げる地域」とするための最適な戦略の策定▽商社の組織立ち上げ▽戦略に基づく商品開発や販路開拓の実行▽商社の自立に向けた人材の育成―といった役割を求めている。契約期間は3年間(毎年度の更新)を想定しており、待遇は最高で年収1千万円。着任は今年11月ごろを予定している。

 全国における地域商社の先行事例を見ると、その運営形態や得意分野はさまざまだ。小国町の商社も、軸足を地場産品の販売に置くのか、それとも着地型の観光誘客とするのかといった点は着任後のCSOに委ねられている部分が大きく、全体像が見えてくるのはまだ先となる。

 商社を軌道に乗せていくためには、CSOが町内の事業者や町民の懐にうまく飛び込み、溶け込んでいけるのかが焦点の一つとなる。そして、町民もその人材を温かく受け入れ、活発な意見交換をしながら経済の好循環につなげていこうという前向きな姿勢を保ち続けていく必要がある。地場産品を既に扱っている町内の団体・企業や、観光振興に取り組む第三セクターとの調整や役割分担も欠かせない。新たなまちづくりを担う司令塔として着任するCSOが、小国町に新風を吹き込んでくれることを期待したい。

(2018/08/14付)
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  • 8月14日
  • 小国に「地域総合商社」 問われる司令塔の力量

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