社説

阪神大震災から22年 真冬の減災対策今こそ

 22年前の1995年1月17日。本紙1面は県内各地が大雪に見舞われ、山形新幹線をはじめ前日のJRダイヤが大幅に乱れたことを伝えていた。強い寒気が入り込み、山形市の最低気温が10年ぶりに氷点下10度を下回ったという、まさにその朝だった。午前5時46分、兵庫県南部を襲ったマグニチュード(M)7.3の直下型地震。「阪神大震災」だ。

 本県では、間もなく丸6年を迎える東日本大震災や、昨年4月の熊本地震を実感を伴って思い出す人が多いだろう。だが、あえて阪神大震災が発生した22年前の「1・17」に、もう一度焦点を当てたい。寒波や大雪の日が多く通勤・通学もままならない季節、家々でも雪片付けに追われるこの厳寒期に、もしも大地震が襲ったら―。最悪のケースを想定した備え、心構えができているだろうか。今こそ真冬の防災・減災対策を考えたい。

 県がこれまで策定した断層帯ごとの地震被害想定は、いずれも最大の死者数が予測されるケースに「冬の早朝」などを挙げている。昨年2月には津波による浸水などの被害想定もまとまり、最悪のケースとして「冬の深夜から未明」に庄内沖の地震で津波が発生、避難が遅れた場合に沿岸部で津波による死者が最大5060人と予測した。一方、たとえ真冬の深夜でも「早期に避難行動を開始した場合」の津波の死者数は960人になり、8割も減少するとしている。

 この被害想定が示唆するものは何か。阪神大震災の1月17日前後は寒の時季に当たり、本県にとってまさに「最悪」のケースに合致するが、早期に避難を始められる態勢が整っていれば、大幅な減災も期待できることを示している。

 県内では、東日本大震災を契機にした春や、防災の日前後の秋に防災訓練を行うことが多いが、雪のない季節と「厳寒期」ではリスクの度合いが全く異なる。むしろ「厳寒期」を意識した防災・減災対策こそが、最悪の事態を回避することにつながるのではないか。せっかくの被害想定を生かさない手はないだろう。

 こうした視点から長年、真冬の防災サバイバル訓練に取り組む住民組織が北海道にある。札幌市北区拓北地区の「ひまわり連合自治会防災会」だ。ライフラインが断たれた状況下、どう酷寒と飢えをしのぐか。住民が知恵を絞りながらの宿泊体験や、雪の吹きだまりなども考慮した図上訓練を毎年この時季に実施している。阪神大震災翌年に創設された消防庁の防災まちづくり大賞で2005年度、優良事例に選ばれた取り組みだ。本県でも参考になる点は多いだろう。

 厳寒期には、住宅などの倒壊危険度が屋根の積雪量に比例して増大することが容易に想像できる。暖房器具による火災も心配だ。津波に備えた高台への避難経路が雪に埋もれていないか、雪崩が起きて寸断されそうな道路はどうか。電気も燃料もない中で、凍結しない非常食や飲料水の確保も重要。避難のためには寝室にも防寒着や長靴を常備したい。考えるべきことは山ほどありそうだ。

 「災害は忘れたころに―」。それは今日、明日かもしれない。備えを先送りせず、今からでもできることを探そう。災害はこちらの都合を待ってはくれない。

(2017/01/17付)
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