社説

GDP年率4%増 本格回復へ手緩めるな

 内閣府は2017年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。物価変動を除く実質で前期比1.0%増、年率換算4.0%増だった。プラス成長は6四半期連続。近年で最長の05年1~3月期から06年4~6月期までと並んだ。輸出は減少に転じたものの、個人消費や設備投資など内需が補い、成長率は前期(年率1.5%増)から大きく改善し、15年1~3月期(同4.8%)以来の高水準となった。

 内需主導による久方ぶりの景気回復となったが、力強い成長とは言い難い。内需の柱の個人消費は天候など一時的な要因に支えられ、先行きには海外に不安要因を抱える。家計が潤ったという実感は乏しく、景気を持続させる上では課題が残る。本格的な回復を実現するためにはここで手を緩めてはならない。

 今年4~6月期の実質GDPは項目別で、全体の約6割を占める個人消費が前期比0.9%増(1~3月期は0.4%増)と高い伸びを示した。自動車や家電が好調だった。08年のリーマン・ショック後に政府が購入を支援した耐久財の買い替え時期が到来。気温が高く推移し、エアコンなどの販売が伸びた。

 企業の設備投資は2.4%増(同0.9%増)と大幅に伸びた。人手不足に対応した省力化投資がその要因とみられる。個人消費、設備投資とも消費税増税前の駆け込み需要が起きた14年1~3月期以来の高い伸びになった。

 公共投資は16年度第2次補正予算の効果で5.1%増となった。これらを合わせた内需は実質GDPを1.3%分(年率換算で5.1%分)押し上げた。

 一方、成長をけん引してきた輸出は0.5%減。4四半期ぶりに減少に転じた。アジア向け電子部品の伸びが一服した。輸入は1.4%増で、輸出から輸入を差し引いた外需はマイナスに作用した。

 日銀山形事務所が先月発表した県内経済概況(月例)によると、県内景気は「着実に回復している」とし、同一表現は4カ月連続。公共投資は持ち直し、設備投資は増加した。個人消費は底堅く推移。生産は緩やかに持ち直し、雇用・所得環境は着実に改善している-とした。

 個人消費の回復が本物ならば、堅調な設備投資と相まって日本経済はデフレからの完全脱却、内需中心の自律的な成長軌道に結び付く可能性がある。しかし、不安要因がある。人手不足にもかかわらず、賃金は伸び悩んでいる。6月の毎月勤労統計調査によると、1人当たりの現金給与総額は1年1カ月ぶりに減少した。大手企業の夏のボーナスも昨年夏を下回った。企業業績が好調なのに、家計への分配が不十分で、こうした状況が続けば、消費の好調も一時的な現象に終わってしまう。物価もなかなか上がらない。消費者物価の上昇率は0%台で低迷している。賃金、物価の上昇につながるかが、持続的な回復の鍵を握る。

 トランプ米政権の混迷、北朝鮮情勢の緊迫化、中国経済のバブル崩壊懸念など、海外のリスク要因もある。国内外の環境悪化によって景気が減速するシナリオも想定される。政府、日銀には、今回の高い成長率に安心することなく経済運営に万全を期すことが求められている。

(2017/08/16付)
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