社説

女性活躍社会に向けて 理解不足を改める時だ

 安倍晋三首相が「女性活躍」を目指すとのスローガンを掲げる一方で、実際に女性が躍進する様子を目の当たりにする機会も珍しくなくなった。

 例えば、山形市で25日に開かれた全国消防長会東北支部の消防職員意見発表会である。東北6県と新潟県から1人ずつ選ばれた代表7人が、救命活動から得た教訓、火災予防や初期消火のための提言などを発表した結果、最優秀賞1人、優秀賞2人に全て女性職員が選ばれた。出場したのは男性4人、女性3人だった。

 最優秀賞の吉田瑞穂さん(秋田県代表、大曲仙北広域市町村圏組合消防本部)は、心臓マッサージに対する住民の不安や恐怖を考慮して、実際に体験した介護士を講師に高校生向けの救急講習会を開いた経験を紹介。救命措置中に相手の骨が折れたものの必死にマッサージを続けたという介護士の話が共感を呼び「(経験者の言葉は)未経験者の力になることを証明できた」と語った。吉田さんは6月の全国大会(東京)に出場する。

 優秀賞の2人は「大災害の発生時、避難所に女性で編成する救急隊が待機すれば、被災女性にきめ細かな対応ができる」(中村美穂さん=青森県代表、下北地域広域行政事務組合消防本部)「妊婦を対象にした母親学級に救命講習の項目を加えると、乳幼児突然死症候群(SIDS)から救える命が増えるのではないか」(浅沼今乃美さん=岩手県代表、奥州金ケ崎行政事務組合消防本部)と述べた。3人とも、現場活動中に女性ならではの視点で気付いたことを基に意見をまとめて説得力豊かに発表、高い評価を得た。男社会の色合いが強いはずの組織で、女性がこのように生き生きと輝いていることは喜ばしい。

 半面、このところ世間をにぎわせているのは、福田淳一前財務事務次官のセクハラ疑惑を巡り、女性の活躍を結果的に阻害しているように感じさせるいびつな発言の数々である。

 疑惑はまず週刊誌が報じ、「胸、触っていい?」「抱きしめていい?」といった音声データを公開。さらにテレビ朝日が被害者は自社の女性社員と明かし「福田氏から、わいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あった」と財務省に抗議したが、福田氏自身は「あんなひどい会話をした記憶はない」と否定を通した。

 すると政治家サイドから、被害女性を非難する声が上がった。下村博文元文部科学相は講演で「隠しとって週刊誌に売ること自体がはめられている。ある意味で犯罪だと思う」と発言。批判を受け撤回したが、今度は麻生太郎財務相が福田氏辞任を認めた閣議後の記者会見で「はめられ訴えられているんじゃないかとか意見はある」と語った。

 自民党の長尾敬衆院議員は、野党の女性議員らがセクハラ撲滅を訴える場面の写真を添付して「私にとって、セクハラとは縁遠い方々」「私は皆さんに、絶対セクハラはいたしません。宣言いたします」とツイッターでやゆしていた。

 女性活躍は政権の方針にとどまらず、人口減少が進む日本社会全体が必要としていることでもある。理解不足に基づく安易な発言はその流れに逆行していることを認識し、改めるべきだ。

(2018/04/27付)
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