社説

衆院選・安倍政権継続へ 重い責任、謙虚な政治を

 第48回衆院選は22日、全国で投開票が行われ、有権者の審判が下った。5年近く続く「安倍政治」の是非が最大の争点となったが、自民党が単独過半数を制し、安倍政権の継続が決まった。

 選挙戦は「自民・公明両党」の与党勢力に、「希望の党、日本維新の会」、「共産、立憲民主、社民各党」の野党2勢力が挑む3極対決の構図となった。安倍晋三首相(自民党総裁)の経済政策「アベノミクス」や消費税増税、憲法改正の是非のほか、学校法人森友学園と加計学園問題を踏まえた首相の政治姿勢などを中心に論戦が展開された。

 安倍首相は選挙戦でアベノミクスにより経済が回復したと主張、北朝鮮対応には安定政権が必要だと強調した。訴えが一定の支持を集めたとみられる。一方、景気回復の実感は地方や中小零細企業にも行き渡ったとは言えず、北朝鮮情勢は国民心理に影を落とす。安定した内政・外交への有権者の切なる願いであり、多くの難題を抱える政権の責任は極めて重い。国民の期待を裏切ることのないよう国政にまい進しなければならない。

 県内小選挙区は、1区は遠藤利明氏(67)、2区は鈴木憲和氏(35)、3区は加藤鮎子氏(38)といずれも前職が勝利、前回同様、自民勢が占めた。

 選挙戦の中で各自民候補は、山形新幹線の安全な高速化やインフラの整備促進のほか、消費税で税収を確保して子育て世代への支援、高齢者の医療福祉の充実、若年層の収入増対策、攻めの農業の環境づくりなどを訴えた。

 政権党の一員として、本県など地方の実情を知る議員として有言実行、今後の政治活動に反映させてほしい。

 衆院選に勝利したことで安倍首相は来年秋の自民党総裁選での3選も目指し、2021年までの長期政権を視野に入れた政権運営に臨むことになる。

 首相は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の脅威と深刻な少子高齢化を「国難」と位置付け、野党の虚を突くように衆院を解散した。だが選挙戦を通じて明確な将来展望が示されたとは言い難い。

 国民の信任を得たとはいえ、自民党の勝因には、野党が離合集散の揚げ句、候補者が乱立し、政権批判票が分散したことが大きい。推定投票率は約54%と低く、政権への積極的な支持を得たとは言えない。安倍首相はおごることなく謙虚な政権運営を心掛けるべきだ。

 森友、加計学園を巡る疑惑も残る。選挙によって問題が清算されたわけではない。首相にはさらに説明を求めたい。

 一方で野党の混乱は目に余るものだった。野党内では候補者一本化の協議が続いていたが、首相の解散表明直後に民進党が候補者を立てないことを決定、小池百合子東京都知事が率いる新党・希望の党への合流に動いた。ところが安全保障法制への見解の転換を迫る「選別」と「排除」によって民進党は分裂、政権批判票の受け皿は分散してしまった。

 希望の理念・政策に賛同しない勢力が結成した立憲民主党が躍進したのは、政党にとって基本理念や政策がいかに重要かを示すものだろう。野党側は今回の教訓を基に今後、安倍政権に対抗する勢力をつくり上げていけるかが課題となる。

(2017/10/23付)
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