社説

山の事故増える季節 油断せず行動は慎重に

 県内は山菜採りや新緑を楽しむ春山シーズンの最盛期。6月に入れば各地で夏山開きも相次ぎ、本格的な山歩きが始まる。入山者が増えるこの時季に例年、多く見られるのが遭難事故だ。

 県内では今シーズン、いずれも山菜採りに出掛けた高齢者が既に3人亡くなっている。行き慣れた山だからと過信したり、多少の雨なら大丈夫と油断したりすると、重大な結果を招きかねない。山菜採りや散策などの軽登山でも決して山の自然を侮ることなく、大半の遭難事故は入念な準備と慎重な行動で防げることを肝に銘じたい。

 近年の登山ブームで山を楽しむ中高年が増え、事故に遭う高齢者の割合が多くなっている。毎年のように山に入るという人でも、まずは経験と体力に見合った計画をしっかり立てて準備するようにしたい。本格的な山行は登山届を出す必要があるが、日帰りの山菜採りでも行き先を家族に告げておくなど、万一に備えることが肝心だ。とかく「山菜がたくさん採れる場所を知られたくない」などと考えがちだが、単独行動は危険だろう。アクシデントに見舞われても、行き先が分からなければ捜索に時間を要する。

 夢中になって山菜を探していると、慣れた山でも道に迷う危険性がある。慌てて動き回ったり、戻れると過信してさらに進んだりすると、体力を消耗しマイナスだろう。この時季は雪が残る所も多いほか、無理に山を下りようとすれば沢に入り込むなど滑落の危険も増す。迷ったら無理をせず、見晴らしの良い場所で救助を待つのが最善の策と心得よう。

 もしもの際には、救助を要請できる携帯電話やスマートフォンが有効だ。衛星利用測位システム(GPS)付きの端末を持っていれば、本人が意識を失ってしまったような場合でも捜索、救助は格段に容易になる。予備のバッテリーと一緒に携行したい。

 山では天候の急変にも備えよう。出発前の予報チェックはもちろん、山にいる間もスマホなどで天候情報をこまめに見ておくことが望ましい。たとえ出発時に暑くても軽装は禁物だ。ハチやツツガムシ対策の上でも肌の露出が少ない服装にし、急な雨に備えた雨具はもちろん、体温を維持する予備の衣類も持参したい。変わりやすい空模様を慎重に見極めながら、天気が崩れそうな場合は早めに引き返す決断も必要だろう。

 さらに高齢者の場合は自身の体調管理が重要となる。普段元気な人でも突然、体調を崩すことは少なくない。また知らず知らず足腰が衰えている自覚のないまま、気付けば過労で座り込み、山中で身動きが取れなくなる心配もある。自分の体力を過大評価せず、常に「下山できる体力が残っているか」を慎重に考え行動することが何より大切だ。

 加えて気を付けなければならないのがクマなどの野生動物。この時季は冬眠から覚めたクマが食料を探し、活動が盛んになっている。気温が上がり草木が葉を茂らせると、クマも身を隠しやすくなるので要注意だ。クマとの遭遇を避けるため、遠くからでもクマに人の存在を知らせるラジオや鈴、笛などを持って山に入ることを心掛けたい。

(2017/05/27付)
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