社説

中国人のビザ発給緩和 東北一体で誘客に注力

 外務省は、中国人観光客向け数次ビザの発給要件緩和措置を本県に広げると発表した。岩手県、宮城県、福島県を対象訪問地としている「東北3県数次ビザ」を、新たに本県と青森県、秋田県も含めた「東北6県」に拡大する。5月8日に運用を開始する。中国からの訪日観光客にとっては利便性が向上し、インバウンド(海外からの旅行)の増大が期待される。東北地域全体の連携強化を基軸にして誘客策に力を入れ、リピーターも取り込んで入り込み増大に結び付けたい。

 東北の中国人観光客の数次ビザは2012年7月から、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県を対象に始まった。今回の発給要件緩和によって一定の経済力を有する中国人観光客とその家族が最初の訪日の際、東北6県のいずれかに1泊以上すれば、有効期間3年の数次ビザ(1回の滞在期間は30日以内)を取得できる。同時に過去3年以内の日本への渡航歴という従来の要件が廃止される。

 こうした措置について、外務省は日中間の人的交流の拡大、「観光立国」の実現に加え、地方創生の取り組みに役立ててもらうことを目的に掲げる。「地方を世界へ」「世界を地方へ」とのスローガンのもと、東北、地方の魅力を世界に発信していくことを求めている。

 観光庁の宿泊旅行統計と、立ち寄り施設を対象とした県独自のアンケートを基にした集計によると、16年に本県を訪れた外国人旅行者は延べ12万7891人に上り、2年連続で過去最多を更新。国・地域別で、台湾が6万5930人で最も多く、次いで中国が(香港を除く)1万3104人。

 実績もさることながら、「巨大マーケット」中国の今後の可能性に寄せる観光業界関係者の期待は大きい。とはいえ、観光庁の宿泊旅行統計で16年の都道府県別の外国人延べ宿泊者数は、本県が8万8360人で全国41位。東北6県合計でも日本全体の1%にとどまる。「独り負け」の状況から脱却を図る上で中国からの訪日客取り込みは欠かせない。

 観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、16年の国籍・地域別の旅行消費額は中国が1兆4754億円(構成比39・4%)と最大。1人当たりの旅行支出は、最も多いオーストラリアの24万6866円に次いで中国が23万1504円で2番目だった。1人当たりの費目別旅行支出で買い物代は中国が12万2895円でトップ。「爆買い」現象は沈静化に向かいつつあるとされるが、その経済効果は依然として大きく、誘客によって地域経済に取り込まない手はない。

 中国での東北地方の認知度は低いという。一方で東日本大震災の風評被害が尾を引く。観光案内や多言語の観光パンフレット、無料「Wi―Fi(ワイファイ)」などの受け入れ態勢の拡充、環境整備を歩調を合わせて着実に進めていきたい。同時に東北地方ならではの旅の統一コンセプトを打ち立て、一体感を持ったアピールが求められよう。各県、自治体ごとの取り組みでは効果は限定的と言わざるを得ない。広域観光の視点に立って魅力を見詰め直し、東北地方が結束して訴求力を高め、誘客につなげたい。

(2017/04/25付)
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