社説

小学校教科書検定 教員への支援が大事だ

 ページ数が増え、大判の教科書も多くなる。検定を合格し来春から小学校で使われる教科書である。約10年ぶりに改定された学習指導要領を反映し、「学びの質」が変わる。変化する社会に対応できる子どもを育てる上で期待は大きい。

 「脱ゆとり教育」で内容が大幅に増加した2009年度検定より22.8%もページ数が増えた。新指導要領のキーワードは「主体的・対話的で深い学び」。先生が教え込む知識偏重型でなく、自分で調べて考え、討論して課題を解決する。そのための工夫が教科書からうかがえる。例えば社会の教科で、平安時代の文化をキャッチコピーで表す、国語では、誰もが楽しめる新しいスポーツを考える、といった試みも登場した。

 一方、新たな詰め込み教育になり消化不良の子を出さないか、配慮が必要だ。教える側からすれば「質も量も」充実を求められ、働き方改革の中で「新しいことを教えよ」と言われる学校もつらい。教員への支援が欠かせない。国や自治体は人を増やし研修の工夫が求められる。

 大量採用世代の退職で若い教員が増え、教えやすいように親切な教科書が多い。板書例や授業の時間配分まで示したものもある。一方で、教科書に頼り切った授業にならないかと不安にもなる。子どもに合わせて創意工夫するべき授業が画一的になっては深い学びは遠い。

 5、6年は英語が教科になり、コンピューターのプログラミング教育も始まる。3~6年の授業は週1こま増える。

 特に懸念されるのは、初めて教科書が使われる英語だ。国際社会への対応で早くから学ばせる意気込みはいいが、英語嫌いが増えないか。多くの子が「英語は楽しい」と感じられる授業を望む。

 “What sports do you like?”(あなたはどんなスポーツが好きですか)などの文章が並び、単語は600~700語に上る。文部科学省の担当者は「単語を丸暗記させることは想定していない」と話す。「聞く」「話す」ことで慣れ親しみ、その延長で「読む」「書く」力も身に付けさせる、という理屈だ。だが、成績をつけるために単語テストを繰り返すようなことがあれば、みんな英語が嫌いになる。教員の力量が問われる。

 現場には戸惑いが広がる。小学校は学級担任がほぼ全教科を教える。英語を教えるなど想定してこなかった年配の教員ほど抵抗感が強い。既に「外国語活動」の形で英語に慣れ親しむ授業は始まっている。ただ外国語指導助手(ALT)に支えられて何とかこなす学校が多い。

 文科省は、小学校高学年の授業を専門教員が受け持つ教科担任制を推進していく考えだ。一つの対策だろう。

 多くの教科書にQRコードが付いたのも今回の特徴で、端末をかざせば単語や文章が音声で流れる。発音が苦手な先生の味方になる。自宅学習にも使えるが、スマートフォンのない子は困る。機器を貸し出すなど知恵を絞る必要がある。

 手厚い研修で「英語は楽しい」と思う先生が増えてほしい。教える側が思わないのに、子どもが楽しく感じるはずがない。教科書会社の労作を生かせる教育環境の充実が不可欠だ。

(2019/04/18付)
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