社説

庄内三大祭り 地域見つめ直す機会に

 港町の繁栄を今に伝える酒田まつりは20日、本祭りが行われた。25日には「化けものまつり」として知られる奇祭・鶴岡天神祭が鶴岡市の目抜き通りで繰り広げられ、来月5日には「めっけ犬」の伝説に由来する大山犬祭りが同市大山地区で開催される。「庄内三大祭り」と呼ばれるこれらの祭りは、地元に暮らす人々の伝統を受け継ぐ心によって支えられた祭礼として長い歴史を刻む。

 伝統的な祭りは、地域経済を潤す重要な観光資源である。同時に、子どもたちにとっては祭りに参加することで学校の教室では得難い体験ができる点で大きな価値を持つ。庄内三大祭りの開催日は、いずれも地元の小学校が休校となる。家族そろって祭りに参加し、自分が暮らす地域を見つめ直す機会としてはどうだろうか。

 酒田まつりは1609(慶長14)年、日枝神社の例大祭「山王祭り」として始まった。酒田大火からの復興を記念し、79年から現在の名称になり、400年以上一度も途絶えることなく開催されている。この祭りのユニークな点の一つに、観光庁が推進する「家族の時間づくりプロジェクト」を活用し、本祭りが行われる5月20日を「ふるさと休日」としていることが挙げられる。酒田市など4市町で構成する「庄内北部定住自立圏」の取り組みとして事業所に休暇取得を呼び掛けるなど、家族がそろって祭りに参加できる環境づくりに力を入れている。庄内空港には「家族で楽しい時間を過ごしましょう 酒田まつり 5月20日はふるさと休日」の垂れ幕を掲げた。

 酒田市企画調整課によると、5月20日が平日だったおととしは、市内26小学校のうち24校が全休し、1校が半日休校とした。残る1校は学校行事として祭りに参加した。隣接する遊佐町でも6小中学校が全休だった。

 街の中心部で繰り広げられる鶴岡天神祭では今年、市中心部などの7小学校が全休し、13の小中学校が半休となる。また、実行委員会内で「家族みんなが楽しめる祭りにするために、日中だけではなく夜のイベントを加えてはどうか」という提案が示され、宵祭りの24日、荘銀タクト鶴岡を会場にしたステージイベントを新たに組み入れた。

 椙尾(すぎのお)神社の裏山にすむ化けものを退治しためっけ犬に由来し、300年以上の歴史を持つ大山犬祭りでも、地元の2小学校が休校する。JR羽前大山駅を出発する行列では、「子どもめっけ犬みこし」や子どもたちが引き手を務める「ミニからぐり」、保育園児による「ミニやっこ振り」など、大人に交じって多くの子どもたちが参加し、世代を超えた交流が続いている。

 「祭りは子どもを育てる」。鶴岡市黒川地区に伝わる国指定重要無形民俗文化財・黒川能を題材にした絵本「やくそくの『大地踏』」を出版した同市出身の絵本作家土田義晴さん(60)は、祭りが持つ教育的機能をこう話した。祭りを通して大人たちとの関わりが深まり、地域社会を構成する一員であるとの自覚が子どもたちに芽生える。古里の歴史への興味が湧くきっかけにもなるだろう。郷土愛を醸成する上で祭りの役割は大きい。

(2018/05/21付)
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