社説

日産・ルノー提携見直し 明確な経営理念必要だ

 日産自動車とフランス自動車大手ルノーが、3社連合を組む三菱自動車も含めた提携関係の見直しに着手した。前会長カルロス・ゴーン被告の逮捕によって、体制の再構築と企業統治の強化を迫られていた。

 当面焦点になるのは、日産会長の人選や出資比率の変更だ。信頼関係を立て直し、ここを盤石にしなければ、具体的な協業体制の組み直しは難しいだろう。

 自動車業界は電気自動車(EV)や自動運転の大波が打ち寄せ、IT企業など他業種を巻き込んだ世界的な再編が進んでいるさなかだ。トヨタ自動車と携帯電話大手ソフトバンクは昨年10月、自動運転車に関する戦略的提携に合意。一方ホンダは、英国南部のスウィンドン工場での四輪車生産を2021年中に終了すると発表した。「電動化の加速に対応できる生産体制づくりを、需要が望める中国や米国、日本で進める」という。

 日産、三菱自、ルノーは短期的な損得勘定ではなく、中長期的な観点から連合の在り方を展望するべきだろう。漫然と生産規模拡大を進める時代は既に終わっている。地球温暖化防止のための排ガス規制強化や、所有から利用への流れなど、自動車を巡る社会的環境は一変した。

 どんなサービスを提供するのか、世界規模で展開する自動車メーカーの社会的な責任とは何なのか、そのための体制をどのような考え方で築いていくのか、明確な経営理念を固めてほしい。

 ルノーが日産の経営危機を救ったことから両社の提携が始まった。ただし現在の提携関係は、両社の現状に照らすと適正ではないのは明らかだ。提携の中でそれぞれの強みをどう伸ばし、弱点を補っていくのか。世界の自動車市場の現状を勘案した上で既存の操業形態を点検する作業が欠かせない。

 ルノーの大株主であるフランス政府との関係も見直しが不可避だ。フランスの産業政策は公的関与が強く残っており、日米などと比べると違和感は否めない。フランス政府とルノーは密接不可分な関係なのだろうが、国際的な企業連合としてこの際、フランス政府との関係について考え方を整理しておいた方がいいのではないか。

 日産とルノーはこの間、首脳レベルの協議を続けてきた。日産の西川広人社長が1月末に訪欧し、ルノーのジャンドミニク・スナール会長と会談。今月に入ってからはスナール会長が来日し、日産側と協議を重ねた。肝心の会長人事などには踏み込まなかったが、提携の維持・強化という大枠では意見が一致したようだ。

 協議を進める雰囲気が醸成されたことは前進だろう。これからは日産会長の人選や出資比率など核心部分について、突っ込んだやりとりが予想される。フランス政府が狙う両社の経営統合も俎上(そじょう)に載せられよう。どのような提携の形が最適なのか、真摯(しんし)に協議を重ねるべきだ。

 統治強化では、ゴーン被告に決定権が集中し過ぎたことが不正の温床になったことを考えると、社外取締役を活用して役員人事や報酬などを決める権限分散の仕組みが軸になる。外部有識者らで組織する「ガバナンス改善特別委員会」の議論に注目したい。

(2019/02/21付)
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