衆院の東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が告示され、28日の投開票に向け本格的な選挙戦が始まった。
対象選挙区ごとに固有の課題を抱えているとはいえ、国政選挙として共通する争点は明白だ。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件などで増幅した政治不信解消への取り組みである。
与野党の候補者が対決するのは島根だけだが、6月までの今国会中に、岸田文雄首相(自民党総裁)が衆院解散・総選挙に踏み切る可能性が取り沙汰されている。各党は来たる衆院選での有権者の投票判断にも資するよう、政治改革の具体策と実行への本気度を競うべきだ。
3補選は、東京15区が買収など公選法違反事件による柿沢未途前議員の辞職、島根1区が細田博之前衆院議長の死去、長崎3区が裏金事件を巡る谷川弥一前議員の議員の辞職に伴って、行われる。
いずれも自民の議席だったが、「政治とカネ」問題が直撃した東京と長崎は候補擁立を見送った。長崎では次期衆院選から定数減になるという事情があるものの、候補を立てて敗北するより「不戦敗」の方が政権の被る打撃は少ないとの打算が働いたのではないか。選挙によって明らかになる有権者の意思をぼやかそうとするかのような対応だ。
一方、島根では自民と立憲民主党の候補による一騎打ちになった。
前議長は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との不明朗な関係を指摘されていた。さらに、裏金事件で巨額の裏金還流が明るみに出た安倍派の前身派閥で会長を務めていたことで、自民に逆風が吹き、厳しい戦いを強いられている。
裏金事件を巡っては、関係議員らの一部が処分された。だが事件の真相は解明されず、岸田派の元会計責任者が有罪になりながら、会長だった首相は不問に付された。旧統一教会問題を含め、国民が納得するけじめはついていない。
首相は自身の責任の取り方に関し「政治資金規正法の改正による再発防止、政治改革に全力で取り組むことが総裁としての責任だ」と述べた。その言葉に偽りがないなら、規正法改正など政治改革の自民案を早急に示し、補選で有権者の審判を仰ぐべきだ。連立政権を組む公明党との具体案が補選後にずれ込むような事態になれば、争点隠しと批判されてもやむを得まい。首相の指導力も疑われる。
他党は既に、国会議員が連帯責任を負う連座制の導入や、裏金化しやすい政策活動費の廃止などを提起している。
主要な野党陣営では、立民が全3選挙区で、日本維新の会が東京と長崎で候補を擁立している。東京では国民民主党が推薦する無所属候補のほか、前参院議員らも立候補した。
補選で野党が政治改革を訴えて勝ち越しても、国会で自民、公明両党が多数を占める状況には変わりない。裏金事件の究明と併せ、改革を実行に移すには、野党をまとめ、与党と対峙(たいじ)するしかない。党首らにその決意と力量があるかどうかも問われる選挙戦だ。
同時に政権交代を目指すというなら、次期衆院選に備えて実効性ある経済活性化や少子化対策を打ち出し、有権者の理解を得る必要があろう。
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