ちょっとそこまで

ブドウ農家の朝仕事をお手伝い~南陽

(2010/08/31掲載)

 取材の行き帰り、田んぼの緑や空の水色につい見とれてしまう自然豊かな「菊とぶどうといで湯の里」、南陽市に赴任して5カ月。日差しが強い季節になると、取材で「観光ブドウ園」や「ワイン」など、何かとブドウ関連の文字を目にすることが多くなった。ブドウジュースやゼリーが好きでよく食べる私は「取材はしたことあるけど、農家の人って実際はどんなことをしてるんだろ?」という素朴な疑問から、ブドウ農家の朝仕事をお手伝いさせてもらうことにした。

仰ぎ収穫、まるで登山

ひたすら上を向き、熟したブドウだけを探し続ける。涼しい朝にもかかわらず汗がしたたり落ちる=南陽市松沢
ひたすら上を向き、熟したブドウだけを探し続ける。涼しい朝にもかかわらず汗がしたたり落ちる=南陽市松沢
 お邪魔したのは南陽市松沢の漆山和志さん(41)、陽子さん(43)夫妻が経営する漆山果樹園。「涼しいうちに作業した方がいいから」とのことで約束した朝6時に伺うと、漆山さん夫妻はもう一仕事終えていた。農家の人ってすごい…と早くも感動していると、もぎたてのデラウエアを私の手に乗せてくれた。

 「まずは食べてみて」とのお言葉に甘え、何もしないうちに1粒パクリ。甘酸っぱい果汁がじゅわっと口の中にあふれ、思わず「おいしいー」と叫んでしまった。「さわやか」という言葉がぴったりのおいしさに、ブドウは夏の果物なんだと実感する。仕事をしに来たんだから…と気を取り直してお手伝い。人生初のブドウ収穫作業だ。

 和志さんの運転する軽トラックの荷台に乗り、近くの農園に向かう。日光をたっぷり浴びることができるよう山の傾斜に沿って広がるブドウ畑の雨よけテントが朝の澄んだ空気の中に現れた。

 「結構、こう配があるから気を付けてね」という陽子さんの言葉通り、作業はまさに山登り。十分に熟したデラウエアだけを選び、はさみで切り取って収穫するのだが、息を切らせながら斜面を登り、滑って落ちないよう足を踏ん張りつつ食べごろのブドウを探して上を向き続けなければならない。首が痛い…腕もプルプルする。予想以上の肉体労働。しかし手に握る房は赤ちゃんの肌のように弾力があり、しっとりと水分をたたえている。漆山さん夫妻の愛情をたっぷり吸い込んだ“作品”だ。

箱詰め一つにもプロの気概

家族で力を合わせて箱詰め作業をこなしていく
家族で力を合わせて箱詰め作業をこなしていく
 ブドウを箱やパックに詰めるのも大事な仕事。同じサイズの房を選び、特に粒同士がきゅっと詰まっている部分を上にして詰めていく。「お客さんにおいしそうに見せることも大切」という陽子さんに、農家は職人であると同時に売り方のプロでなければならないんだと感じた。

 朝8時、漆山さんがブドウを卸している市内のスーパーに同行し、商品陳列を手伝った。パックに丁寧にラベルを張り「よりきれいに見えるように…」と注意深く並べていく。朝の労働の達成感もあってか、蛍光灯の涼やかな光を浴びたブドウは宝石のようにキラキラして見えた。

 ふと見るとポップには「漆山さんのデラウエア」の文字。スーパーでこうした文句や生産者の写真をよく目にするが、今までは何か遠い世界のように感じていた。でも「ブドウは手をかけると次の日すぐに応えてくれる。本当にかわいい子どもなの」と話してくれた陽子さん。「漆山さんの」という形容詞がとても温かく感じられた。

(南陽支社・佐藤友理)

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