ちょっとそこまで

空き缶使って料理~遊佐

(2011/05/17掲載)

サバイバル能力に磨き

 東日本大震災で県内全域が停電した3月11日、ヘッドランプの明かりを頼りに夜を過ごした。その後、電池を節約するために廃食油を使うランプを空き缶で自作して備えていたところ、4月7日の停電でこれが大活躍。アウトドア関係の本で調べると、空き缶はストーブや食器、ランプなどさまざまな用途に利用できることを知った。サバイバル能力を高めるため、空き缶を使った料理に挑戦してみた。

カレイ釣りに挑戦するが、音沙汰なしで終わった=遊佐町・吹浦漁港
カレイ釣りに挑戦するが、音沙汰なしで終わった=遊佐町・吹浦漁港
 久々に海釣りをしたいという思惑もあり、酒田支社のS記者に相談。メニューを白飯と釣った魚の薫製に決め、早速、空き缶のアルコールストーブと薫製器作りに取り掛かる。

 ストーブ作りで用意したのはアルミ製の空き缶2個。中身をよく洗った缶の下部をそれぞれ高さ2センチ、3センチ残してカッターで水平に切り取る。ふたとなる2センチの方の中央部を丸くくりぬき、周囲に千枚通しで八つの穴を開放。残った空き缶から縦3・7センチ、横16センチの長方形を切り取り、円筒状にして高さ3センチの方の溝にはめた後、その上からふたをかぶせて完成だ。一回り大きいサバ缶で五徳と風防も作った。

 ふたをはめる作業にこつがいるが、作り続けるうちに1個15分ほどで仕上げられるようになった。缶の切り口でけがをしやすいので、やすり掛けは必須。薬局などで手に入る燃料用アルコールを注ぐと、50ミリリットルで30分ほど燃焼する。火力は弱いが、簡単な調理には十分。薫製器はパイナップルの缶詰2個の底をくりぬき、重ね合わせて上から魚をつり下げる方式にした。

 いよいよ薫製にする魚を得るために庄内へ。釣り具屋で情報収集すると「カレイが好調」とのこと。S記者と共に遊佐町の吹浦漁港でカレイ釣りに挑むが、ついに一度も当たりがないまま夜を迎えた。翌朝も再度チャレンジするが結果は同じ。泣く泣く釣りを断念し、近くのスーパーでクチボソカレイを購入した。

ストーブやランプにも

いよいよ調理開始。砂浜で米炊き(左)と薫製(中央)に挑戦する。右は震災時に作った空き缶ランプ
いよいよ調理開始。砂浜で米炊き(左)と薫製(中央)に挑戦する。右は震災時に作った空き缶ランプ
 空き缶に県産水稲品種「つや姫」1合と水を注ぎ、アルミホイルでふたをしてストーブの上へ。薫製器の底にはお茶の出し殻を敷き、カレイをつるした。待つこと10分。順調にお湯が沸き始める米とは対照的に、空気穴のない薫製器は蒸し器として機能し、カレイはぐずぐずの煮魚と化していた。苦肉の策でカレイの胴体を割り箸で挟み、二つの空き缶の間につるす形に改良したところ、これが奇跡的にうまくいった。

 さらに15分が経過。米からほのかに立ち上る焦げのにおいは炊き上がった証拠だ。10分ほど蒸してふたを取ると、つやつやと輝くご飯が現れた。味も申し分なし。空き缶でも十分においしいご飯を作れるという自信を得た。

 2時間ほどいぶしたカレイはまだ水分が残り、「薫製もどき」といったところ。塩漬けや乾燥などの下準備をしていないためだが、「この条件なら上出来」と無理やり及第点を与え、おいしく食べた。

 通常のガソリンストーブに比べてコンパクトで軽く、燃料も手に入りやすい空き缶ストーブは登山や渓流釣りでも活用できそうだ。一家に1台置いておけば、いざというときの備えにもなる。「たかが空き缶、されど空き缶」との思いを強くしながら帰路に就いた。

(上山支社・小林達也)

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