ちょっとそこまで

殺陣に挑む~山形

(2011/07/12掲載)

サークルへ「たのもー」

 公開中の映画「小川の辺」では、戌井朔之助(東山紀之さん)と佐久間森衛(片岡愛之助さん)が、河畔で鬼気迫る立ち回りを演じている。澄み渡った空とは対照的に、強烈な“殺気”を放射しながら闘う二人。しょせん演技と高をくくって見たが、く~っ、残念ながら格好いい。

美しい立ち回りを披露する戸沼智貴さん(右)=山形市七日町
美しい立ち回りを披露する戸沼智貴さん(右)=山形市七日町
 「やはりお主か…」。「上意でござる。許されよ」-。  時代劇初出演の菊地凛子さん(田鶴役)は、殺陣を撮影するために、1カ月も稽古を重ねたらしい。どうやら奥が深いようだ。そう思っていると、山形市内で今年4月から殺陣好きの老若男女が集うサークルが誕生したと聞いた。これはやってみるしかない。某100円ショップで購入した愛刀「忍者刀・緑丸」を引っ提げ、夜の武道場に足を踏み入れた。「たのもー」

 訪ねたのは「魂刀(こんとう)流山形殺陣剣術乃会」。メンバーは6月に山形市のほっとなる広場で繰り広げられたイベントで、さっそうと立ち回りを演じたサムライたちだ。代表の佐藤敦行さん(52)がにこやかな笑顔で迎えてくれた。神奈川県から指導に訪れる魂刀流代表師範の戸沼智貴さん(35)は殺陣の魅力をこう語る。「立ち回りは相手とのコミュニケーション。息がぴったり合えば、爽快感も感じられる」

愛刀抜き猛者と対峙

 早速、愛刀を手に稽古に参加しようとしたが、刀を差すには帯が必要なことに気付いた。もちろん、優雅に着物を着こなすほど風流な記者ではない。結び方も分からない。メンバーの一人に「一文字結び」なる着付けをしてもらうが、記者の見事な腹周りを見て、おそらく「届くのかしら…」と思ったのだろう。ぐいぐい締め付けられた。でも、はかまをはけば、いっぱしのサムライ風。おのずと、背筋はピンと伸びる。

「む、無念…」。見事に斬られる記者=山形六中
「む、無念…」。見事に斬られる記者=山形六中
 互いに礼を重ねた後、いよいよ稽古開始。気勢を上げ、すぐに派手な立ち回りが始まると思ったが、スタートしたのは「すり足」の練習だった。地味だが基本が大事ということか。軽く“空気椅子”状態で動くため、太ももはパンパンに張った。「慣れれば、すり足の方が動きやすいですよ」(佐藤代表)。にわかには信じ難い。

 ようやく愛刀を抜く瞬間がやってきた。腰を落とし、刀を持つ左手を少しひねり、鯉口(こいくち)を切る。しゅぱっ。おおっ、われながら様になっている。刀の重みを感じてとの指導だが、残念ながら愛刀はすこぶる軽い。

 簡単な動作を学び、実戦空手や忍術に取り組んだこともあるというつわものの佐藤代表と対峙(たいじ)する。「うりゃー」、キイン、「おのれー」、サッ、ズバッ、「む、無念…」(想像してください)。負け惜しみを言うわけではないが、最大の敗因は刀の短さだったに違いない。

 稽古後、山形市下宝沢の馬見ケ崎川河畔にある「小川の辺」ロケセットに立った。未熟な技量とこの愛刀では、佐久間と相対するわけにもいくまい。ここは出直してまいろう。いつか「上意でござる」と格好よく言える日まで。

(報道部・小関裕之)

【メモ】 魂刀流は立師戸沼智貴さんが創設した流派で、全国各地に道場がある。魂刀流山形殺陣剣術乃会(佐藤敦行代表)は今年4月に発足し、現在の会員は小学生から50代までの8人。稽古は毎月第2、4日曜日に山形市内の公民館で行っている。会費は月3500円。現在会員募集中で、問い合わせは佐藤代表023(674)0670。
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