ちょっとそこまで

銅板鍛金に挑戦~舟形

(2011/08/24掲載)

愛好会の教室に参加

打ち込みたがねで文字の周りをつぶしていく作業。リズムよく打つ音が響く=舟形町生涯学習センター
打ち込みたがねで文字の周りをつぶしていく作業。リズムよく打つ音が響く=舟形町生涯学習センター
 舟形町の町民らが愛好会を組織し「銅板鍛金」に取り組んでいるという話を聞いたとき、この「鍛金」という言葉にピンときた。ちょうど新庄市で金属工芸60周年記念展を開催していた人間国宝の鍛金作家奥山峰石さん(新庄市出身)が脳裏に浮かんだ。「制作活動に没頭する感覚とはどういうものだろう」と思っていたところ、愛好会員が講師を務める鍛金教室が同町生涯学習センターで開かれると知り、参加を申し出た。

 銅板鍛金は、銅板に文字や絵を描き、3種類の「たがね」という道具を使ってその周りをつぶしていくのが主な作業。こうすることで、文字や絵が浮かび上がったように見える。会員のように画数の多い漢字や複雑な絵柄に取り組むには腕が未熟。「初心者でも作りやすいから」ということで、漢字の「一心」に挑戦することにした。

 今回の作品には縦9・5センチ、横24センチにカットされた銅板を使用。最初は銅板に写した文字の縁に沿って「文字切りたがね」を木ハンマーで打ちつけ、切れ込みを入れる。その後、先がとがった「打ち込みたがね」を縁と字の周りに細かく打ちつけ、「押さえたがね」で文字を浮き上がらせていく。

 ハンマーで打ちつける力が強すぎると穴が開いてしまうし、弱すぎても文字が浮き出てこない。「カンカンカンカン…」と会員がリズムよく打つ音に若干の焦りを感じながら地道に作業を続けていたら「やんばいだ」と会員からお褒めの言葉をいただいた。意外と筋は悪くないらしい。

作業「一心」渋い作品に

完成した作品。黒色と銅の色のコントラストが美しい
完成した作品。黒色と銅の色のコントラストが美しい
 銅板のひずみを押さえた後、いよいよ色付け。文字に塗料を塗り、硫黄が入ったいぶし液を混ぜたぬるま湯にくぐらせて一気に酸化させる。乾かしてから塗料を落とすと、文字の部分だけに銅の色がきれいに残るという仕組みだ。周りの黒色とのコントラストが美しく、渋い色合い。会員の皆さんにかなり助けていただき、なんとか完成させることができた。

 出来栄えに満足していると、「一」の字に5ミリほどの傷を発見。たがねを打っているときに付けてしまったらしい。「一心」には「心を一つのことに集中すること」という意味があるそうだが、残念ながらこの文字の通りの状態で制作活動に没頭できていなかった。いつか必ず再挑戦しようと決めた。

(新庄支社・手塚秀雄)

【メモ】舟形銅板鍛金愛好会(大場義次会長)は約10年前から活動を続けており、2003年には舟形町内4小学校の校章を制作、寄贈した。現在は例会を同町生涯学習センターでほぼ毎月開き、同町や新庄市、大石田町などの会員男女約20人が、鍛金で絵画や漢詩を再現したり表札などを制作している。
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