ちょっとそこまで

騎馬武者トレッキング~最上

(2011/08/31掲載)

草原に立つ騎馬武者一行。「時代劇のワンシーンのようだ」と本人たちは自己満足=最上町・前森高原
草原に立つ騎馬武者一行。「時代劇のワンシーンのようだ」と本人たちは自己満足=最上町・前森高原
 忘れもしない昨年7月27日、本紙夕刊「ちょっとそこまで」を読み、歯ぎしりした。別の記者が甲冑(かっちゅう)姿で米沢市内を歩いた記事。実は自分も同様の企画を温めていたからだが、あれから1年経過したので実行に移すことを決めた。ただし二番煎じでは面白くない。人馬一体となって戦場を駆けた騎馬武者を体験することにした。

甲冑、わらじは“持参”

 まずは甲冑の調達。河北町職員A氏のご厚意で借りることができた。家族のコレクションで製作年代や名称は不明。レプリカのようだが鉄が使用されており、総重量は25キロ超。わらじは時代劇などの履物を手掛ける軽部草履(寒河江市)に提供していただいた。

 どこで馬に乗るか。騎馬武者には草原や野山が似合う。前森高原(最上町)の乗馬体験施設フロンティアファームに頼み込んだ。最上町は源義経と弁慶らが平泉への逃避行に通ったとされる土地。武者修行にぴったりの舞台だ。

 前森高原に到着し早速、スタッフや撮影担当の先輩I記者の助力で甲冑を着用した。重さがずしりと体に響く。観光客の子どもや女性から「かっこいい」「義経ー」などと声援を受けたが、なぜか自然と眉間にしわが寄り、笑う気分になれない。戦場に向かう武者の「ゾーン」に入ってしまった。

夏草が生い茂る中を進む。見た目より急な坂だが1馬力は伊達じゃない
夏草が生い茂る中を進む。見た目より急な坂だが1馬力は伊達じゃない
 乗る馬はフロンティアファームの重鎮で、白い体がまぶしい18歳の「ポチ」。ヨモギが好物らしい。体重と甲冑合わせて90キロ超の武者が背中にまたがっても涼しい顔でパワフルに歩く。1馬力は伊達じゃない。

 案内してくれたのは、馬で最上町から岩手県平泉まで旅した経験を持つ同町在住のスタッフ小林守さん(44)。和風の装束を身に着け、先導役の雰囲気はばっちりだ。

まるで時代劇の一場面

 トレッキングコースは周辺を30分で1周する全長約2キロ。野山に入り、涼しげな小川、夏草が生い茂る斜面、畑などを眺めながらのんびりと馬上で揺られた。こうした道のりが命の危険と隣り合わせだった戦乱の世。故郷を離れ、山や川を越えて戦地に向かった武者たち。どんな気持ちだったのかと思いをはせた。

 終わりが近づき、眼前に青々とした草原が広がった。「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」。松尾芭蕉が平泉で義経主従や藤原氏を詠んだとされる句が頭に浮かんだ。敵味方の軍勢が見え、ほらがいが聞こえた気がした。妄想が最高潮に達し、心の中で「かかれえー」と叫んだが、愛馬は「もう疲れた」と言わんばかりに厩舎(きゅうしゃ)の方に体を向けた。

 人馬一体の域にはまだまだ遠いようだが“騎馬武者トレッキング”の魅力と可能性を勝手に実感した。甲冑の調達などクリアすべき課題はあるが、時代劇や戦国ファンの人気を集める要素は十分にあると思う。もし前森高原で採用されて名物になったら“元祖”として注目されるかなと、ひそかに期待している。

(寒河江支社・五十嵐聡)

【メモ】フロンティアファームの乗馬体験は引き馬(500円)や乗馬レッスン(5回2万円)、周辺のトレッキング(8000円~1万円)など多彩なメニューを用意。ファームの馬に乗り芭蕉の足跡をたどる「おくのほそ道 馬旅(うまたび)ツーリズム」を今秋から新たに商品化予定。同ファーム080(1828)2670。
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