ちょっとそこまで

ぜいたくすぎる自転車教室~山形

(2011/12/07掲載)

プロ・土井選手から直接

さっそうと登り坂を走る土井選手
さっそうと登り坂を走る土井選手
 小さいころは自転車が怖くて、自転車に乗る友達の後ろを走ってついていった。自転車通学の高校時代は何度か転倒。そんな“自転車音痴”の記者が今夏、スペインで開かれた世界三大ロードレースの一つ「ブエルタ・ア・エスパーニャ」にはまった。「私でも楽しめるかな」。ふと思い、恐れ多くもそのレースに日本人として初出場し、帰省していたプロロードレーサー・土井雪広選手(スキル・シマノ、山形電波工高出)に講師を依頼。土井選手が走っていたコースを巡る「ぜいたくすぎる自転車教室」が実現した。

 青空が広がり、風もない絶好の天気。「土井先生」はスニーカーにスパッツと短パン、パーカー姿で現れた記者を見るなり、「ザ・素人」と命名した。山形市の熊谷自転車(熊谷安倫社長)にヘルメットや自転車などを借り、車で出発地の東北芸術工科大へ。記者の知り合い2人も加わり、待望の教室がスタートした。

 まずは駐車場で練習。細いタイヤに、20段階の変速ギアが付いている。十数年前に乗っていた自転車とは訳が違う。予想以上にバランスが取りづらい。「最初の踏み出しで勢いを付ける」。先生のアドバイスを受け、何とか形になったところで、ギアチェンジやブレーキのかけ方など基本中の基本を学んだ。欧州ではどこでもサインを求められるスター選手が、右も左も分からない「ザ・素人」に嫌な顔一つせず、一から教えてくれる。「自転車の面白さをたくさんの人に知ってほしい」という熱意がひしひしと伝わってきた。

 コースは芸工大発着の約3キロ。小学生のころには毎日10周していたというから驚きだ。月山がくっきりと浮かび上がり、眼下には山形市街が広がる。いつもは車で通る道が違った光景に見える。最初は自転車も通行できる歩道を試走。ひじを伸ばしてハンドルをつかむ。「登りではギアを軽くする」「はい!」。返事だけは一丁前の記者。調子に乗り走り続けたが、うまくブレーキをかけられず、無理やり足を地面について止まり右足をつる始末。大爆笑された…。

心地よい風とりこに

土井雪広選手が小学生のころに走っていたコースをともに走る=山形市
土井雪広選手が小学生のころに走っていたコースをともに走る=山形市
 コースを外れ、延々と続く登り坂にも挑戦。必死に後を付いていったが、当然のように差は開き、あっという間に見えなくなった。肩で息をしながら追い掛けたが、わずか30メートルで断念。ひょんひょんひょんひょん-。風を切りながらさっそうと駆け抜ける先生の自転車の音が印象的だった。

 こうして約2時間にわたる教室が終わった。足はがくがくだったが、風は心地よく、知らぬ間に時間が過ぎていった。親切丁寧に指導してくれた土井先生のおかげで、マイ自転車を購入する決意が固まった。入社後に増えた体重が戻ることを期待しつつ…。

(報道部・木村友香理)

【メモ】土井雪広選手は山形市出身の自転車ロードプロ選手。山形電波工高でロードレースの全日本ジュニア、法大で全日本学生選手権優勝。2005年からオランダを拠点に欧州での活動を開始。プロチーム「スキル・シマノ」に所属し、約3週間にわたる「ブエルタ・ア・エスパーニャ」に日本人として初出場。エースのアシスト役を務め、約3300キロを完走した。28歳。
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