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クラウドファンディングを検討したい。

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共感と資金を集め、夢実現

 「地元の食材『なまり節』を全国に届けたい」「誰もが利用できる病児保育サービスをつくろう」「組み立て式ロボットを商品化したい」-。なまり節は気仙沼市の高校生らによる商品開発の事例。「ぼくらがクラウドファンディングを使う理由(わけ)-12プロジェクトの舞台裏」(学芸出版社)が紹介している。

 最近耳にする機会が増えた「クラウドファンディング」。英語で大衆を意味する「クラウド」と資金調達の「ファンディング」を組み合わせた造語だ。

 発案者が、行いたい事業をインターネット上で説明し、資金提供を呼びかける。事業に共感してくれた複数の賛同者が小口の資金を提供する。そうした資金調達の手法である。

 寄付は昔からあった。公共事業や社寺などに金銭や物品を贈る。あるいは母校への寄付や社会福祉への寄付もある。また資金調達といえばビジネス上の投資もある。最近は「ふるさと納税」による新たなお金の流れも生まれている。

 一方、クラウドファンディングは、社会活動や文化活動など、さまざまな分野で活用が進みつつある。医療、社会福祉、芸術、スポーツ、途上国支援、ものづくり、地域振興等々。成功事例も相次いで報告されている。

 そもそもは米国が発祥で、日本では2011年から活発化した。折しも3・11の東日本大震災で甚大な被害を受け、復興のために何かしたいと考える人たちの資金集めの場として目を引いた。

 タイプは大きく三つに分けられる。▽金銭的な見返りがなく無償で提供する「寄付型」▽資金提供者が何らかのモノやサービスを受け取る「購入型」▽金銭的な見返りを伴う「投資型」。

 国内の市場規模は拡大しており、15年度は前年度比44%増の283億7300万円(東京・矢野経済研究所)とされ、今後も増大が見込まれている。

 「山形サポート」の名称で山形新聞でも先月から展開している。「資金があれば夢がかなうのに」「起業したいが、お金がない」「農産物をもっと売り込むためには設備投資が必要」-。そんな悩みを持つプロジェクト(事業)の実行者を、荘内銀行との連携を核に、山形銀行、きらやか銀行、県などと提携し支援していく。専用サイトも立ち上げた。

 第1弾は長井市の「キクイモの商品開発」(目標額150万円)、第2弾は地域で野良猫を世話する山形市の「地域猫活動」(同70万円)。いずれも購入型クラウドファンディング。県内外で徐々に支援の輪が広がっている。

 目指すは地方創生だ。地域の活力や課題解決につながりそうな新しい取り組みと起業家を懸け橋となって応援する。

 県内ではこれまでも河北町の永昌寺と支援団体が仏像修復に活用するなど取り組み事例はある。河北町では仏像ファンや遠くは海外からも支援があった。

 冒頭の本に、本紙「時を語る」の執筆者の一人で元陸上選手の為末大(ためすえだい)さんがこんな言葉を寄せている。「クラウドファンディングはお金を集める手段というより、自分の夢をみんなの夢に変える装置に見える。これからの時代は“共感集め”ができる人が活躍するんだろう」

 地方の若者が都会へ流出する傾向が続いている。地元定着を図るためにも、斬新な事業が芽生えることを期待したい。プロジェクトを創出し、地域課題の解決や地域振興に結び付けていきたい。(論説委員長・小林裕明)

[2017年2月11日掲載]