NIBフロントライン

角田商事社長
角田裕一氏
角田裕一氏
【インタビュー】
 -現状を踏まえ、どんな人材を求めているのか。

 「2024年に創業100周年を迎える。そこで11年に100周年プロジェクトを立ち上げ、将来安定した会社に、山形県を代表する会社になるにはどうすれば良いか考え、実行してきた。本社を移転し、社名を変更し、初の自社工場を造った。会社が発展するには良い人材が必要だ。まずは角田商事という会社を知ってもらい、仕事を好きになり、仕事を見つけてもらう。そして、仕事を任せられる人材になることを期待している。実際、事後報告のケースもある」

 -仕事を任せられる人材に成長してもらうために、どのような指導をしているのか。

 「人間なので失敗はする。やってみて失敗し、その失敗を検証することが大事だ。商品を扱う以上、予測できない事故に対して保険は掛けるが、失敗からしか学べないことはある。そもそも『好きではない仕事はやめよう』と話している。人生を豊かに過ごすためには、その大部分を占める仕事が楽しくなければならない。それが仕事をすることの喜びにつながる。仕事には厳しさもあるが、従業員が相互に信頼し、補完し合うシステムをつくることが大切だと考えている」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「当社の経営理念は『私たちの最大の喜びは、私たちを必要としてくれる人たちのためにお役に立てること』。つぶれない会社になるには、世の中から必要とされる会社にならなければならない。TKC全国会の創設者で初代会長の故飯塚毅さんは『自利とは利他をいう』と言った。自分の利益も人の利益も同じものだという仏教用語だ。自分が幸せになりたかったら、人を幸せにしなさいと理解している。人のために尽くすこと、誰かの役に立つことが、結果的には自分のためになるからだ」

 ★角田裕一氏(つのだ・ゆういち) 明治大商学部卒。1975(昭和50)年角田商店(現角田商事)に入社し、取締役課長。常務を経て、1989年5月から現職。2001年から関連会社で介護用品レンタルなどを手掛けるアシスト社長にも就いている。寒河江市出身。66歳。

 ★角田商事 1924(大正13)年角田商店として創業し、73(昭和48)年に法人化。果実缶詰・果汁などの製造販売、貿易、倉庫・物流事業などを多角的に展開している。2013年に本社を現在地に移転し、現社名に変更した。資本金3千万円。本社は寒河江市越井坂町38の1。

【私と新聞】紙面の先を読み、頭の体操
 「山形新聞はコミュニティー新聞。地元の瓦版だ。だから最初に見るのはおくやみ欄」と角田裕一社長。基本的には地域ニュースを主に読んでいるとし「それでも半分以上ある。話題作りのための情報収集に役立てている」と語る。

 一般的に紙面に出てくるような経済情報は「既に終わっていること」と指摘する。それを理解した上で、先を考えることが大事だという。「新聞には、紙面の先を読むという頭の体操の部分はある」という。

 紙面で面白いと思った場所や人には、積極的にその場に行き、会ってみることにしている。そこにイノベーションの可能性があるからだ。「紙面上で新しい考え方が載っていればメモし、他のメディアや本で深め、参考にしている。そういうことはたくさんある」

【週刊経済ワード】地理的表示(GI)保護制度
 酒類、農産物などについて、特徴的な原料や製法で作られた商品だけが独占的に産地名(地域ブランド)を名乗ることができる。国税庁から現在、清酒で地理的表示の指定を受けているのは「日本酒」の他に「山形」と「白山」(石川県白山市)だけ。農林水産省では本県の「米沢牛」「東根さくらんぼ」など48品目が登録されている。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)では産地名のブランドを互いに保護する食品・酒類などの品目として、本県のGI3品目はいずれも合意された。
[PR]