NIBフロントライン

オリエンタルカーペット社長
渡辺博明氏
渡辺博明氏
【インタビュー】
 -業界の現状を踏まえ、自社の取り組みは。

 「国内の繊維産業は段々と縮小均衡になっている。人口減少のほか、海外から安い製品が入ってくることが主な理由だ。こうした現状の中、魅力あるものづくりをしていかないと、若い人材は集まらないという危機感がある。個人向けブランド『山形緞通(だんつう)』は奥山清行さん(山形市出身)らデザイナーとコラボレーションした製品も展開している。こうした新しいチャレンジが大切だと考えている」

 -求める人材は。

 「根本的には手作業、ものづくりが大好きな人を求めている。それがあれば一人前の職人に育てられる。入社した後に努力、継続することでものづくりが好きになるケースもある。新しいチャレンジをする中では若い感性も必要になる。インテリアの世界は時代と共に変化する。伝統的なものづくりに若い感性を入れていくことが重要だと思っている」

 -具体的な育成方法は。

 「オン・ザ・ジョブ・トレーニング(職場内訓練)として、先輩からものづくりを教えてもらいながら時間をかけて育てている。指導するのは50代以上のベテランの職人ではなく、あえて30~40代の中堅の職人に担当してもらっている。教える側にも成長してほしいからだ。育成に関しては焦らずに、まずは『ゆっくり丁寧に』から『丁寧に早く』という過程を経る。技術面以外では週1回の全体朝礼で3分間のスピーチをしてもらっている。この経験が自信になり、各種展示会では職人自らが製品を対外的にきちっと説明できるようになっている。実際に作っている人が思いを伝えると、より感動が伝わる」

 -自らが仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「いろいろな人との出会いがあって今の自分がいる。あえて挙げれば2011年に54歳で亡くなった税理士の兄(後藤敬一郎氏)だ。奥山(清行)さんとの出会いも兄が親友だったことがきっかけだった。奥山さんとの出会いから他のデザイナーともつながることができ、『トランスイート四季島』(JR東日本の豪華寝台列車)などさまざまな仕事に携わらせてもらうこともできた。時にはぶつかることもあったが、決して人のことを悪く言わなかった兄の姿勢を尊敬している。人生では悔しいことや面白くないこともある。自分が悪く言われたとしても自分からは言わない。そうした生き方を見習っている」

 ★渡辺博明氏(わたなべ・ひろあき) 青山学院大文学部英米文学科卒。山形テレビを経て1991年にオリエンタルカーペットに入社。企画部長、総務部長、常務を経て2000年に専務に就任し、06年から社長を務める。東根市出身。57歳。

 ★オリエンタルカーペット 1935(昭和10)年に創業。手織り技術を受け継ぎ、国内外の有名施設に製品を納入している。2013年に個人向けブランド「山形緞通」を立ち上げ、16年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では製品が展示され、国内外で注目を集めた。17年には「山新3P賞」の繁栄賞を受けた。資本金4千万円。従業員数は59人。本社は山辺町山辺21。

【私と新聞】海外でも地元の情報確認
 渡辺博明社長にとって山形で何が起こったかについて把握することはルーティンになっている。「新聞はさまざまな情報を集積した媒体」とし、毎朝のチェックは欠かさない。県外や海外出張時には読者限定電子新聞「やましんe聞」が重宝している。

 「山形を離れたときは特に地元の情報が知りたくなる」といい、「シンガポールやドイツにいても、山形にいるときと同じように地元の経済情報などを継続的に知ることができ、電子新聞の存在は大変ありがたい」と話す。自社関連の記事は特に印象深く、製品が取り上げられると職人たちの励みにもなっているという。

 自社関係以外にスクラップしているのが、趣味の一つである家庭菜園に関する記事。「毎年毎年、試行錯誤しながら畑仕事をしている。幅広い情報が載っている新聞は趣味でも役立っている」と評価している。

【週刊経済ワード】洋上風力発電
 海上に設置した巨大な風車により発電する風力発電。陸上は風力発電の適地が少なくなっており、周囲を海に囲まれた日本にとって有望な再生可能エネルギーとして、研究が進んでいる。海底に固定した土台の上に風車を設置する「着床式」と、海上に風車を浮かべる「浮体式」の2種類がある。発電した電気は海底ケーブルを通じて陸地に送る。
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